吉田拓郎の素晴らしき楽曲たち
今も老若男女問わず多くの人から支持されている吉田拓郎。
あなたは吉田拓郎の楽曲というとどの曲を思い浮かべるでしょうか。
今回ピックアップしている「今日までそして明日から」はもちろん、「結婚しようよ」や「人生を語らず」、「落陽」、「旅の宿」など人によって思い入れのある曲は様々でしょう。
ここからは「今日までそして明日から」についてまずは基本情報をご紹介していきます。
「今日までそして明日から」の基本情報
「今日までそして明日から」がリリースされたのは1971年。
1971年の日本は、年明けから三島由紀夫の本葬が執り行われたり、11月には渋谷暴動事件があるなど国内の社会情勢は色々と不安定な部分がある年でした。
一方でアポロ14号の月面着陸があったり、ソ連(現ロシア)の宇宙ステーション第1号の打ち上げを成功させたりと、世界的には未来に向かう革新的な技術が次々と現実のものとなった年でもありました。
技術革新への期待と変わりゆく時代への不安を敏感に感じる人々の心に、日々を地道に生きることを歌った吉田拓郎の「今日までそして明日から」はじんわりとしみ込んでいきました。
今でこそ吉田拓郎の代表曲とも言われるようになった「今日までそして明日から」ですが、この曲の広がりは先述したように“じんわり”という感じでした。
実はリリース当初、この楽曲は売り上げが芳しくなかったんですね。
というのも「今日までそして明日から」は新曲のプロモーションがあまりされなかったために、リリース初動の認知度が低かったのです。
しかしライブなどで披露されるうちに、口コミで“あの曲は良い!”という話が広がり、じわじわと人気が出ました。
そこからはどんどんこの曲を支持する人が増え、結果この楽曲は吉田拓郎の代表曲の1つと言われるまでになったんですね。
「今日までそして明日から」を聴いてみたい!
ここまで色々と前情報をお伝えしてきましたが、やはりこの楽曲は聴いてみるのが1番!
ということで、下にYouTubeでの歌唱動画をご紹介しておきます。
古い動画ですが、吉田氏の味わい深い歌声がこの楽曲の良さを引き出しています。
「今日までそして明日から」の歌詞を味わう
率直で実直で端的な言葉が心に響く
わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかの力をかりて
時にはだれかにしがみついて
わたしは今日まで生きてみました
そして今 わたしは思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと
出典: 今日までそして明日から/作詞:吉田拓郎 作曲:吉田拓郎
筆者がこの楽曲を初めて聴いたのは確か小学生の頃、両親が見ていたテレビ番組で流れていた時だと思います。
私にとってこの楽曲の言葉ですごいな、と思ったのは“生きてみました”という部分でした。
生きていることについて受動的に思える“生きてきました”ではなく、自分の意志で選択して“生きてみました”と表現しているのがかっこいいな、と思えたのです。
この楽曲の主人公が、日々を受動的でなく能動的に日々を生きていることが伝わるシンプルな言葉です。
わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかをあざ笑って
時にはだれかにおびやかされて
わたしは今日まで生きてみました
そして今 わたしは思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと
出典: 今日までそして明日から/作詞:吉田拓郎 作曲:吉田拓郎
冒頭の部分では、生きてきた道筋に“だれかの力をかりて”とか“だれかにしがみついて”とありました。
この部分は確かにみんなが“そうだよな、人間って1人では生きられないよな”と素直に共感できる気がします。
しかし次では“だれかをあざ笑って”とか“だれかにおびやかされて”とあります。
こうした負の部分で、しかも自分の評価がマイナスになるかもしれない点について、率直な言葉で表現できる強さってすごいと思います。
どんな人だって人生について語る時は美しい部分だけにスポットを当てたいものではないでしょうか。
それを、負の部分にもきちんと光を当てて、さらして、美しいことばかりではないけれど、この先も生きていくんだと“さらり”と言ってのけるところはさすがです。
わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかにうらぎられて
時にはだれかと手をとりあって
わたしは今日まで生きてみました
そして今 わたしは思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと
出典: 今日までそして明日から/作詞:吉田拓郎 作曲:吉田拓郎
人生の中には、自分が信じていても他人からは理解されない出来事があったり、誤解したりされたり、一筋縄ではいかない時も多いですよね。
ただ裏切りに遭ったと思えても、それでも手を取り合ってくれる人が1人でもいれば、人間はまた生きていける気がします。
しかしツライ時に手を差し伸べてくれる人がいるのはきっと、誰かがツラい時に自分がしっかりと手を差し伸べていたからでしょう。
山あり谷ありの人生で、できれば大事な人の手は離さないでいたいものですね。
わたしにはわたしの生き方がある
それはおそらく自分というものを
知るところから始まるものでしょう
けれど それにしたって
どこで どう変ってしまうか
そうです わからないまま生きてゆく
明日からの そんなわたしです
出典: 今日までそして明日から/作詞:吉田拓郎 作曲:吉田拓郎
自分がこれまで生きてきた道は、この楽曲にあるように良いことばかりではないでしょう。
それは環境要因による場合もありますが、自分自身の態度や在り方が呼び込んできたものもありますよね。
では自分がより良く生きるために、自分自身の生き方を構築しようとすれば、まずは自分がどんな人間で、どんな生き方を目指しているのか振り返る必要があります。
ただ、こうだと決めても、1秒後すら何が起こるかわからないのが人生です。
起きてくる出来事に柔軟に対応しながら変わりながら生きていく、そんな自分を楽しむのも大切ですね。