再UP

いかがでしたでしょうか。

オリジナルバージョンとの違いは明らかですね。

加藤さんバージョンは、ストリングスやピアノが前面に出ています。

オリジナルバージョンはエレクトロ的なサウンドですが、こちらはバラード的なサウンドですね。

歌唱もだいぶ違います。

アーラ・プガチョワさんは囁くように歌唱していました。

加藤さんは情緒たっぷりに歌唱していますね。

『百万本のバラ』歌詞解説

1番

加藤登紀子「百万本のバラ」の歌詞を解説!伝えたい想いをバラに託す!人生をかけた恋愛に感動…!の画像

小さな家とキャンバス 他には何もない
貧しい絵かきが女優に恋をした
大好きなあの人に バラの花をあげたい
ある日街中の バラを買いました
百万本のバラの花を
あなたに あなたに あなたにあげる
窓から 窓から 見える広場を
真っ赤なバラで うめつくして

出典: 百万本のバラ/作詞:加藤登紀子 作曲:R.Pauls

『百万本のバラ』の歌詞物語構成になっています。

登場人物は、貧しい絵描き女優

貧しい絵描きが主人公ですね。

『百万本のバラ』は、主人公が高嶺の花である女優に恋をするところからはじまります。

主人公の所持品はお世辞にも良い物とはいえません。

あるのは「小さな家」と「キャンバス」だけです。

そんな主人公がある日、劇を鑑賞しに行きます。

そこで出会ったのが女優です。

出会ったといっても彼女と知り合ったわけではなく、主人公が一方的に彼女を知っただけだと思いますが。

そして主人公は優美な姿の女優に恋をします。

彼女に贈り物をしたい。

彼女の喜ぶ顔が見たい。

その一心で彼は街中にあるバラを買い占め、彼女へプレゼントするのです。

プレゼントするといっても、彼女に直接バラの花を贈るのではありません。

彼女からしてみれば、絵描きは全く知らない人物。

そのことを了解している絵描きは、街の広場をバラで埋め尽くそうと考えます。

広場は画家の家から見える位置にある。

もし女優が贈り物に気づいてくれたら、その光景を画家は見ることができるのです。

2番

加藤登紀子「百万本のバラ」の歌詞を解説!伝えたい想いをバラに託す!人生をかけた恋愛に感動…!の画像

ある朝彼女は 真っ赤なバラの海をみて
どこかのお金持ちが
ふざけたのだとおもった
小さな家とキャンバス
すべてを売ってバラの花
買った貧しい絵かきは
窓のしたで彼女を見てた
百万本のバラの花を
あなたは あなたは あなたは見てる
窓から窓から見える広場は
真っ赤な真っ赤な バラの海

出典: 百万本のバラ/作詞:加藤登紀子 作曲:R.Pauls

恋焦がれる女優に「百万本のバラ」を贈った主人公。

それは直接彼女に贈るのではなく、街の広場にバラを敷き詰めるという方法でした。

ある日彼女は広場を通り、「真っ赤なバラの海」を見ました。

彼女は、まさか貧しい絵描きがこんなことをするとは夢にも思いません

どこかの裕福な人がふざけてやったのだろう

そう思ったのです。

絵描きの立場としては複雑だと思います。

彼女のために自分が贈ったのだ、と彼女に気づいてほしかった。

ところが彼女は誤解してしまいます。

貧しい絵描き。

では、どうやって「百万本のバラ」を買うお金を工面したのでしょうか?

なんと彼は、自宅と商売道具のキャンバスを売ってバラを買ったのです。

彼女に対する絵描きの恋心はここまで本気なのですね。

彼女は彼がやったことを、お金持ちの道楽くらいにしか思っていません。

残念ですが絵描きの気持ちは彼女に伝わっていませんね。

3番

加藤登紀子「百万本のバラ」の歌詞を解説!伝えたい想いをバラに託す!人生をかけた恋愛に感動…!の画像

出会いはそれで終わり 女優は別の街へ
真っ赤なバラの海は はなやかな彼女の人生
貧しい絵かきは 孤独な日々を送った
けれどバラの想い出は 心にきえなかった
百万本のバラの花を
あなたに あなたに あなたにあげる
窓から 窓から 見える広場を
真っ赤なバラで うめつくして

出典: 百万本のバラ/作詞:加藤登紀子 作曲:R.Pauls

3番目で決定的な出来事が起こります。

女優が他の街へと去ってしまったのです。

彼女は「女優」といってもテレビや映画に出演する女優ではなく、「舞台」の女優なのですね。

ある一定の時期にある街へ赴き、公演する。

おそらく彼女は「旅芸人」だったのでしょう。

とうとう主人公は彼女と一度も話をせずに、その機会を失ってしまったのです。

これほど悲しい物語もなかなかありませんよね...。

彼女のためにと準備した贈り物も、彼が贈ったと分かってもらえず。

そして、彼女は彼を知らないまま、街に別れを告げる。

絵描きに残されたのは「百万本のバラ」。

その色は、彼の情熱のような「」です。

残された花々を見て彼女を想う主人公

華やかな「バラ」は、彼女の人生のようです。

こんなにも美しい花だけが残り、彼女は去ってしまった。

いっそのこと、花を彼女に直接贈ればよかった

主人公は悔やんでいるでしょう。

ここで『百万本のバラ』は終わります。

『百万本のバラ』の舞台はどこ?

ここで『百万本のバラ』の舞台を考えてみたいと思います。

加藤さんが描いたこの曲の舞台は、いったいどこなのでしょうか?

そして、時代背景はいつ頃なのでしょうか?

この曲は、貧しい画家が主人公です。

画家が多く住んでいる国と言ったらフランス

そのなかでもパリが、この曲の舞台なのではないでしょうか?

時代背景は現代ではなく1800年代後半から1920年代辺り。

この年代は、世界中からパリに多くの芸術家が集ったことで知られています。

画家でいうとピカソロートレック

文学者だとヘミングウェイエズラ・パウンド

バレエ『春の祭典』で有名なストラヴィンスキーなどの音楽家もパリに滞在しました。

特に、1920年代は「ローリング・トゥウェンティー」といい、芸術熱が高まった年代です。

現代のようにIT社会でもありません。

昼間はカフェでコーヒーを飲み、夜にはアプサンを飲む。

そうして仲間たちで芸術談議に耽っていたのです。

主人公もパリの熱気に魅了されて、パリへやってきたのではないでしょうか?

加藤登紀子さんのオススメ曲

『時には昔の話を』