時が流れる
B♭m G♭6 A♭ D♭M7
君に預けし 我が心は
G♭ A♭ D♭ A♭ Fsus4 F
今でも返事を待っています
B♭m G♭6 A♭ D♭M7 A♭
どれほど月日が流れても
B♭m Fm7 G♭ A♭ B♭m
ずっと ずっと待っています
出典: 春よ、来い/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実
1番Aメロは君との別れの前、2番Aメロは君と別れた後を歌っています。
かなりの年月が流れたことが推測できます。それでも「君」を愛し待ち続けているのです。
1番と異なり平易な言葉で語られるのは、「君」を思う語り手の率直な気持ち。
1曲通して聞いたときに難しすぎる印象を与えないのは、松任谷由実のバランス感覚が優れているからですね。
難しい文語が使われている分、分かりやすい言葉でストレートに書かれている部分が印象深く残ります。
一番と真逆の歌詞
G♭M7 A♭/G♭
それは それは 明日を越えて
G♭M7 D♭/F E♭m6 E♭m7/A♭ D♭M7 D♭7
いつか いつか きっと届く
G♭6 A♭ B♭m G♭6 A♭ B♭m
春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき
G♭6 A♭ B♭m G♭6 A♭ B♭m
夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く
出典: 春よ、来い/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実
「遠き春」は「まだ見ぬ春」へと変わりました。春は別れの季節であり、出会いの季節です。
君と再開し愛の日々を取り戻すことを「春の訪れ」に例えています。
1番で春が来て欲しくなかった主人公は、春を待ち望んでいるのです。
「君」がくれた夢とは「君と共にいること」なのでしょう。一途に「君」を思い続けているのです。
愛するあなたと、もし再び会うことができたなら。
その時の嬉しい気持ちは、厳しい冬を越え暖かな春を迎えたそれに匹敵するようなものだ。
そのようなニュアンスが込められているのでしょう。
嬉しい気持ちも楽しい気持ちも、幸福も夢も希望も、そして誰かを愛する、という尊い気持ちも。
全て自分に教えてくれたのが、きっと君だったのではないでしょうか。
そんな君と再会した時、あなたは一体どんな表情をするのでしょう。
眩い色をした春の花が咲いてほころぶ様な笑顔で、嬉しそうに笑うのでしょうか。
それとも、心の底から幸せそうに、愛おしそうなものを見るような瞳で。
私のことを見て、昔と同じようにあの優しい表情でほほ笑んでくれるのでしょうか。
大切な君の眼差しの先で、私の姿を捉えるその日を。
穏やかな色を湛えた君の瞳の中に、私の姿が再び映るその日を。
私はずっと、ずっといつまでも待ち望んでいるのです。
独りの孤独、それでも春は来る
私を見つけて
G♭6 A♭ B♭m G♭6 A♭ B♭m
夢よ 浅き夢よ 私はここにいます
G♭6 A♭ B♭m G♭6 A♭ B♭m
君を想いながら ひとり歩いています
G♭6 A♭ B♭m G♭6 A♭ B♭m
流るる雨のごとく 流るる花のごとく
出典: 春よ、来い/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実
孤独な自分の姿がクローズアップされます。
主人公の夢そのものである「君」は、世間をさ迷う「私」を見つけてくれません。
私もまた、君の姿が映るこの時を夢だと分かっているのではないでしょうか。
たとえ君に触れられなくても、たとえ君に近づけなくても。
夢の中で君の姿を見る事ができただけでも、十分幸せなことなのです。
現実ではどれだけ願っても、君の姿を見る事が出来る日はまだ訪れそうにないのですから。
だから夢の中で、せめて姿を見るだけでも。
私はその光景を糧にして、また寒く長い2人の冬を耐えようと思っているのです。
いつかきっと、必ず訪れる。
2人にとっての春である、再会の時を待ち侘びながら。
風の向くまま、気の向くまま。
流され漂う雨や風、そして花のように。
最後に歌われる童謡「春よ来い」
G♭6 A♭ B♭m G♭6 A♭ B♭m
春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
G♭6 A♭ B♭m G♭6 A♭ B♭m
愛をくれし君の なつかしき声がする
G♭6 A♭ B♭m G♭6 A♭ B♭m
春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき
G♭6 A♭ B♭m G♭6 A♭ B♭m
夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く
出典: 春よ、来い/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実
この曲は「君」への想いを抱えたまま、出会えずに終わっていく物語です。
ラストに童謡「春よ来い」が重ねられています。
「春よ来い」というフレーズは「君」を想う気持ちそのものなのです。
また再び出会い君と愛を育む春を、夢見ているのです。
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タイトルのニュアンスについて
タイトルは童謡「春よ来い」に工夫が加えられています。
「春よ、来い」という言葉の「、」の部分で、「私」の頭には様々な想いが駆け巡っているのでしょう。
君との若き日々や、再開などに強い気持ちを込めて「来い」と強く願っていることがわかります。
シンプルな中に奥深さのあるタイトルではありませんか?