大家さんと僕ってどんな曲?

アニメ版のOP

お笑い芸人である「カラテカ矢部太郎」原作の『大家さんと僕』。

原作漫画が手塚治虫文化賞を獲得するなどして大変な人気を獲得した事が記憶に新しいですね。

2020年にはアニメ化もされ、全5回に渡って放送されました。

配信限定音源

矢野顕子【大家さんと僕】歌詞の意味を解釈!デパ地下の果てしない海とは?いつでも思い出せる理由に迫るの画像

【大家さんと僕】は矢野顕子が作詞作曲を手掛けました。

本曲は配信限定の音源としてリリースされており、CDが発売されていない事も特徴です。

1度聞いただけでも原作の空気感を非常に大切にして作られた曲だという事が分かりますね。

原作とOPのタイトルが全く同じだけあって歌詞の世界観が原作漫画の内容を色濃く反映したものになっています。

優しく穏やかなメロディに乗って、矢野顕子の生活感溢れる声音が物語を引き立てていますね。

ストレートなようであってストレートでない独特な歌詞表現が多々用いられている本曲。

デパ地下の果てしない海とは一体何を表す言葉なのでしょうか?

いつでも思い出せるその理由とは?ゆっくりと歌詞の内容を紐解いていきましょう。

いつも近くに

一緒に見たもの

紫陽花の花の色
冬の朝の匂い

出典: 大家さんと僕/作詞:矢野顕子 作曲:矢野顕子

大家さんと一緒に見たり感じたりしたものを思い出している描写から物語は始まります。

紫陽花は6月~7月頃に咲く花ですね。

梅雨の時期の話に触れたかと思いきや、一気に2行目の歌詞では季節が冬にまで飛んでいます。

この2つの時期といえば、日本に存在する四季の中でも少し過ごし難い季節ですね。

まだ引越して間もない不安でいっぱいの主人公の心情を表しているのでしょうか。

穏やかなメロディとは裏腹に、梅雨のジメジメした嫌な天候と体が縮こまるような冬の寒さを感じる冒頭でした。

大家さんとの思い出

いつでも思い出せるよ
あなたのほほえみ

出典: 大家さんと僕/作詞:矢野顕子 作曲:矢野顕子

早速「思い出せる」という、本記事のタイトルにもあるワードが登場しました。

「あなた」というのは大家さんの事ですね。

しかし、何故すぐに思い出す事が出来るのでしょうか?

おそらく歌詞の中で使われている四季の表現の中に、そのヒントが隠されているように思います。

まだ紹介できていないのですが、先ほど解説した部分の他にも【大家さんと僕】には四季が登場するのです。

夏(梅雨)と冬は既に登場していますが、この先の歌詞では秋と春の様子が歌われていますね。

その全ての四季の思い出が「大家さんと一緒に過ごした記憶」であるという事が重要なポイントになっています。

2人で共有した大切な思い出があるから、季節ごとに大家さんの顔や表情を鮮明に思い出す事が出来るのです。

紫陽花が綺麗に咲いていたあの時は大家さん、あんな事を言っていたな。こんな顔をしていたな。

そうやって思い出に耽っている主人公の様子が目に浮かんで来るようですね。

哀愁の中で

虫の声に誘われ
秋の中たたずむ
いつでも思い出せるよ
あなたのその声

出典: 大家さんと僕/作詞:矢野顕子 作曲:矢野顕子

この章でも大家さんと過ごした季節の記憶が歌われています。

今度は秋ですね。

静かな鈴虫の声を聞きながら2人でどんな話をしたのでしょうか。

何か悩み事の相談に乗ってもらったりしたのかもしれません。

夜の静寂の中、寂しげな虫の声を掻き分けて優しい大家さんの声が聞こえて来るような気がしますね。

【大家さんと僕】はよく見ると実は現在ではなく過去について歌われています。

「思い出せる」という表現1つを考慮しても、大家さんが今はもう主人公の近くには居ないという事が分かりますね。

実はこのアニメが放送される前の年に原作のモデルとなった大家さんは亡くなられています。

つまりこの曲は今はもう天国に行ってしまった大家さんとの記憶について歌われた曲なのです。

永遠に残るもの