「FIREBALL」

1997年リリースの21thシングル

【FIREBALL/B'z】資生堂「ピエヌ」CMソングの歌詞を見てみよう♪大迫力のライブ動画に注目!の画像

「FIREBALL」は、生音にこだわって制作された21thシングルです。

前作の全英語詞の20thシングル「Real Thing Shakes」から10ヶ月程度の間が空きましたが、この間松本孝弘はアメリカに音楽留学にいっていたそうです。

8thシングルである「LADY NAVIGATION」から「Real Thing Shakes」まで連続13作ミリオンを達成。

十分に大物アーティストとして成功しているのにさらにまだ学ぶものがある、という姿勢は素晴らしいですね。

普通であれば、成功を過信して驕ってしまったり、その地位に安心してさらなる努力はしなくなってしまうもの。

ストイックに努力を重ねることで、デビューから30年という時を経ても第一線で活躍することができるのでしょう。

”生音”がテーマ

松本孝弘の帰国後制作されたこの「FIREBALL」は、留学の成果を発揮してこれまでとは少し違った作風の曲となりました。

テーマは”生音”。デビュー時からデジタルサウンドをかなり取り入れていたB'zは、だんだんハードロック色が強くなってきてはいましたが、どこかにデジタルサウンドが必ず使用されていました。

激しく歪んだギターサウンドとデジタルサウンドがミックスされる、それがB'zの持ち味の1つでもありました。

当時日本ではデジタルサウンドが隆盛を極めていたのと、日本ではあまりギター主体のハードロックが浸透していなかった、という点を考慮したのではないかと思います。

ギターメインの音作りに偏ってしまっていたらここまでB'zの曲がヒットしなかった、といえるかもしれません。

日本人になじみのあるデジタルサウンドを適度に取り入れることによって親しみやすく感じ、また随所に絡む歪んだギターサウンドが新鮮に感じて、受け入れられたのではないでしょうか。

実際、様々な記録を打ち立て十分に実績を積み、固定ファンもでき、1998年に結成10周年を記念したベストアルバム『B'z The Best "Pleasure"』は社会現象にまでなった記録的大ヒットに。

その翌年にリリースされた10thアルバム『Brotherhood』は、音作り、音楽性ともにかなりハードロックに寄ったものになりました。

当時松本孝弘は、あまりにもこのベスト=過去の作品が売れてしまったので、危機感を感じこういった作風になったのかもしれないと語っていました。

もちろんそれもあるのでしょうか、無意識のうちに揺るぎない地位を確立してから、自分のやりたい音楽を追求したのかもしれませんね。

グランジを意識して作られた曲

ベースも松本孝弘が演奏

シングル「FIREBALL」には、全て生音で制作されたことを意味する”No synthesizer & No computer used”という英語が記載されています。

グランジを意識して作られた曲だといいます。

グランジ・ムーブメントはアメリカで90年代前半にピークを迎え、その中心的存在だったバンドであるNirvanaのヴォーカル、カート・コバーンの自殺を期に衰退します。

松本孝弘がアメリカに留学していた頃はグランジ最盛期ではありませんでしたが、その名残は強くあったことでしょう。

そういう背景から、生音、そしてグランジを取り入れたのではないでしょうか。

この曲では、松本孝弘がベースも担当しています。

ライブでは松本孝弘はいつも通りギターを演奏し、サポートメンバーベースを弾いています。

「FIREBALL」の歌詞

「FIREBALL」は、1997年にデビューした資生堂のメイクアップブランド『ピエヌ』のテーマソングとしても使用されました

この時の『ピエヌ』のキャッチコピーは”メイク魂に火をつけろ”。

この言葉を歌詞に入れることを要求されたそうですが、資生堂もロックの歌詞に結構無茶を言いますよね……。

さて、この言葉はどこに入っているのでしょうか。

夜明けまで続きそうな
おしゃべりに 頭が割れそうで
僕を見ようとしない きみに声をかけるスキはない

相手の流れに 押されてる 僕の命は風前の灯

尻にしかれっぱなし 座ぶとんのような心と体よ
この形勢を逆転したいと からまわりして
びんぼうゆすり

がんじがらめかといえば そうでもない
ひまだらけの ちょっとむなしい感じ

出典: FIREBALL/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘

B'zによくある、女性に押されてるちょっと情けない男性の姿だ描かれていますね。

押されっぱなしでうんざりしているようでもありますが、それでもあまり束縛してこない彼女に、ちょっと寂しく感じる部分もあるようです。

複雑な心理ですね。

自分しかあてにならない

裏切られても コケても アレちょん切られても
いじめられても たたかれても しぶとく生きたい
どんな高級セラピーも あてになんない時代に
あと何がある

魂に火をつけろ まっ青に こおりついちゃう前に
My soul is flyin'like a fireball
クズのような 迷いも灰になれ
飛んでゆける 空を燃やしながら
夢のもとへ そして自分のもとへ

出典: FIREBALL/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘

攻撃されて、反撃することはなくても打ち負かされたりすることはなく、生き続ける。

人生は試練が多いものです。

打たれ強くないと、この先生きていけないでしょう。

他人の救いを期待していては、やられてしまうことになってしまいます。

誰のためでもなく、自分の為に熱く強い心を持って生きていきます。

だれにも よりかからないで やっていくことは
信用するなとか 友情すてろってことじゃなくて
クジがはずれても ねちねちグチらず
前にすすめるかどうかだろう

魂に火をつけろ まっ青に こおりついちゃう前に
目をとじ 耳をすまして
快感のしっぽをつかんだなら
一気に天まで届くような声をあげて
どんな国境も 自由に越えてしまえ

出典: FIREBALL/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘

信用できる仲間との関係が成立するのは、それぞれが自立しているから。

友情をはき違えてもたれかかっていては、対等な関係は存在しません。