裸になって
贅沢なトリプルシングル
刺激的なダンスナンバーの『NAKED』。
2011年7月に【NAKED/Fight Together/Tempest】のトリプルシングルとして発売されました。
『NAKED』は直訳すると、「裸になって」という意味です。
その意味を反映し、ジャケットが透明で写真が透ける仕様でした。
DVD付きバージョンと通常バージョンで異なった写真。
悪魔のような像にもたれかかった安室さんと、ちょっと首を傾げた安室さん。どちらも美しいです。
作詞は、ヒップホップ界で活躍するm-floのVERBAL氏。
作曲は、大手メーカーのCMソングなどを手掛けるほか、JUJUさんや山下智久さんなどに楽曲を提供している大沢伸一氏。
豪華なメンバーによる大人っぽい一曲となりました。
ファンデーションのCMソング
『NAKED』は、安室奈美恵さん自身が出演していた化粧品メーカー、コーセー"ESPRIQUE"のCMソングとして使用されていました。
ファンデーションをまとっても裸のように美しい肌、という意味だったのでしょうか。
ファンデを塗ってより透き通るような美しい肌の安室さんがとても魅力的です。
長年にわたり、男性はもちろん女性のあこがれでもある安室さん。
タイアップの化粧品CMソングとして、本当にぴったりでした。
MVテーマはレジスタンス
MVのテーマは”レジスタンス”でした。
ここで目を引くのが、大きな旗を掲げた安室さんのシルエット姿。
これは何を意味するのでしょうか。
歌詞の中に”レジスタンス”という単語が出てくる訳ではありません。
では、いったいどうして”レジスタンス”がテーマだったのでしょうか。
その意味を探ってみたいと思います。
レジスタンスとは
”レジスタンス”とは「抵抗」です。
電気抵抗などもそうなのですが、よく使われるのは権力や外国からの侵略などに対して、自由を求める運動のこと。
戦時中、ナチス軍に支配されていたフランスのレジスタンス運動を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
一方、18、19世紀に仏で起こった「フランス革命」や「フランス7月革命」などをご存じですか。
このような革命も振り返って語るならば、レジスタンス運動。
これまでの体制に抵抗し、絶対君主制を廃止した市民革命として語られています。
これらの革命が生んだ思想や制度は、現代社会の礎となっていると言えます。
少々、話が難しくなってしまいましたが、フランス7月革命で有名な絵画をご存じですか。
そう、ドラクロワが描いた「民衆を導く自由の女神」です。
『NAKED』MVの安室さんは、このフランス国旗を掲げ民衆を率いる女性に少し重なるような気がします。
現代社会への不満
なんとなくの毎日
どこ探しても テレビを見ても
答えはどこにもみつからなさそう
誰かの都合で振り回される
グルグル回る
それ見て笑ってる
出典: NAKED/作詞:VERBAL 作曲:大沢伸一
なんとなく生きているー。そんな現状が垣間見えませんか。
自分主体ではない、まわりに流され生きている、そんな若者の姿が浮かんできます。
なんとなく生きていて、なんとなくまわりに合わせていて、それでもそれなりに楽しい時間は過ぎていくものです。
馬鹿げたことを言ったり、ふざけ合ったりして、それはそれで笑えます。
毎日ってそんなものー、と思いつつ、「振り回されている」という単語から抱えている不満が見え隠れします。
また、決して明るいメロディーとは言えないこの曲も、暗に「オールハッピー」ではないことを物語っているようです。
あいまいな境界
ボスキャラは誰?
アチコチに影
敵も味方も
わからない 紙一重さ
出典: NAKED/作詞:VERBAL 作曲:大沢伸一