幅広く愛されるアコースティックナンバー

King Gnu【Don't Stop the Clocks】歌詞の意味を解釈!なぜ時は止まったの?の画像

King Gnu(キングヌー)というロックバンドが流行っているらしいけどロックはうるさくて苦手。

彼らに対して、そんなイメージをお持ちの方もきっと多いのではないかと思います。

もちろんロックでかっこいい曲も、彼らの楽曲にはたくさんあります。

しかし彼らが人気の理由はずばり、楽曲の引き出しがそれだけではないこと。

しっとりしたポップスや、切ないバラードもあったりするんですよ。

そんなゆったりした曲が好きな方にもぴったりなのが…。

Don't Stop the Clocks」(以下ドント・ストップ)です。

サブスクやラジオで偶然聴き「King Gnuってこんな曲もあったの?」と驚いた方もいるかもしれません。

井口理(いぐち さとる)さんの透明感あふれるボーカルが冴えわたり…。

アコースティックギターとフィンガースナップ(指パッチン)が優しく寄り添います。

さらにストリングス(弦楽器)のオーケストラサウンドも重ねられていて非常に豪華です。

バイオリンを弾いているのは常田大希(つねた だいき)さんとお兄さん。

その実際の音色を、常田大希さん自身がプログラミングしているわけですね。

東京藝術大学の声楽科(井口さん)とチェロ専攻(常田さん)のご出身。

2人が素養として持っている、そんなクラシックの心得が遺憾なく発揮されています。

ライブでは新井和輝(あらい かずき)さんがウッドベースを担当し…。

勢喜遊(せき ゆう)さんが箱型の打楽器カホンを叩いたこともありました。

バンド編成というよりは、どちらかといえばクラシックやアコースティック。

そんな雰囲気を楽しめる曲となっています。

いずれのアレンジにしても至福のひとときを堪能できること間違いなし!

このまま時間が止まってほしいほど濃密なナンバーですが…。

時計を止めないで」という意味のタイトルがつけられています。

いったいどのような歌物語が展開されているのでしょうか。気になる歌詞を解説します。

孤独な君への呼びかけ

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「ドント・ストップ」はKing Gnu(以下ヌー)の2枚目のアルバム「Sympa」(シンパ)収録曲。

彼らのメジャーデビューを華々しく飾った1枚という事で、多くの人に聞かれた作品でもありますね。

収録曲は「Flash!!!」、「Slumberland」、「Prayer X」などなど。

CM曲やタイアップ曲など、有名な曲も多数入っています。

インタールード(幕間)4曲も含め、全13曲がおさめられた歴史的なこの名盤。

その7曲目を飾るのが、こちらの曲となっています。

前半にアグレッシブなロックナンバーが続き、後半には壮大なバラードが待ち受けているため…。

中盤に位置する「ドント・ストップ」では流れをつなぐという役割があるでしょう。

孤独を癒す優しい歌声

Lonely Lonely Lonely
泣かないで
愛しい人よ
この街が僕らを孤独にするのなら

出典: Don't Stop the Clocks/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta

冒頭から井口さんの優しい歌声がピタリとはまる物語が展開されます。

どうやら主人公の男性は大切な人をなぐさめているようです。

なぜならその人は涙しているから。

どうして泣いているのかというと、孤独を感じるから…なのでしょう。

結局のところ人は生まれるときも亡くなるときも1人なのでそもそも孤独な存在かもしれません。

それでもまわりの人々と関わることによって絆が生まれ、楽しい日々を過ごしたりするものです。

ところがその大切な人はさびしさを感じて涙を流しているわけですね。

孤独感の原因は何かというと、街。

なにか悲しい出来事があったとき…。

人混みにまぎれるほど自分だけが浮いているような感覚にとらわれることもあるかもしれません。

日本の中心都市である東京には、たくさんの人が日々蠢いています。

ですが、人と人とのつながりは非常に希薄とも言われていますね。

こんなにたくさんの人がいるのに、自分は誰とも繋がることができない。

あるいはこんなに人がいる中で、自分という人間は一体何なんだろう。

そのような思いから、孤独感を抱える人も都会には多いようです。

もしくはたくさんの人々や出来事に疲れてしまって、ナイーブになっているのでしょうか。

たとえば恋人同士の2人がまわりから孤立して、彼女が泣き、彼氏がなぐさめている感じです。

ただ、登場人物は「僕と愛する人」という幅広い設定です。

そのため、夫婦でも友だちでも当てはまるような表現にもなっていますね。

そして「ヌーがリスナーに呼びかけている」という解釈も可能でしょう。

風まかせ?

Calling Calling Calling
君と夢を見ていたいんだよ
この風に身を委ねて踊ればいい

出典: Don't Stop the Clocks/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta

一緒に夢を見たいだけ。風にまかせて踊ろうよ」と男性が呼びかけているニュアンスです。

わかりやすい言葉ばかりが並んでいますが具体的な物語は聴く人それぞれに委ねられるでしょう。

どのような状況でも当てはまりやすい、間口の広い歌詞になっています。

そこをあえて「ヌーとリスナーの物語」に落とし込みたいのがファンのサガかもしれません。

ヌーというバンドには「ロック好きにもJ-POP好きにも届けたい」というコンセプトがあります。

ところがアルバム「シンパ」はゴリゴリのロックナンバーが前半にかたまっているわけです。

美しい歌モノ好きの方は置いてけぼりにされた気分になり、泣き出してしまったかもしれません。

ちなみにヌーにとっての「街」とは「混沌とした東京」のこと。

さまざまな要素を混ぜ合わせた新しい東京スタイルの音楽…を表していると考えられます。

風=音楽。どちらも目に見えません。

ド派手な音楽で驚かせたけど、僕は君と一緒に夢が見たいだけ。

大丈夫、君たちを置いてけぼりにしたりはしないから。

どうかもう少し、俺たちについてきて。そのような形で解釈できるでしょう。

時間は止まっていた?

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タイトル「ドント・ストップ」を日本語に訳した歌詞が出てくる部分です。

「Don't Stop the Clocks」を翻訳すると、時計の針を止めないで。

時間を止めないで…というからには「時間は止まっていたの?」とも考えられますね。

実際には、時間というものは止めたくても止まらないものはず。

その時間が止まってしまっていたということですが、それは一体どのような状況なのでしょうか。

一緒に進もう!

憂鬱が空を覆い尽くしたって
終わりの見えない土砂降りだって
未来を愛していられる
あなたとなら季節が巡り始める

時計の針を進めて

出典: Don't Stop the Clocks/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta