映画主題歌として大ヒット
1963年リリースの『高校三年生』は、発売から1年で100万枚を超える空前の大ヒット。
リアル高校三年生だった舟木一夫のデビュー作です。
舟木一夫は同名の映画にも出演。さわやかな高校生を演じて一躍スターに。
この歌を聴けば、自転車通学をする高校生姿が目に浮かぶという人も多いのではないでしょうか。
作詞作曲は?
作詞は丘灯至夫。テレビ局から新聞記者へ転職した後、作詞家に転身するという変わった経歴の持ち主です。
作品世界は穏やかで明るいものが多く、岡本敦郎のヒット曲『高原列車は行く』『憧れの郵便馬車』も。
後年は『みなしごハッチ』『ハクション大魔王』などのアニメ主題歌も手がけています。
作曲の遠藤実は言わずと知れた日本歌謡界のレジェンド。
美空ひばり、島倉千代子、山本リンダ、渥美二郎、小林旭らに曲を提供。
日本歌謡界の礎を築いたと言っても過言ではありません。
多くの歌手も育て上げ、舟木一夫以外では、森昌子や千昌夫らがビックネームに成長。
『高校三年生』を聴いてみよう
口ずさみやすいメロディーと、五七調を意識した日本人に馴染みやすい歌詞。
恋や友情、青春の1ページを歌った歌として、学校でも聴ける、流せる歌謡曲の先駆けです。
作詞家の丘灯至夫が取材先で実際に見た光景を織り込んでいるのも特徴。
よりリアルで臨場感のある場面が取り入れられました。
当時は高校に進学できない人も多く、そのような人々の高校生活への憧れも表現されました。
リアルな高校生活と理想の高校生活がミックスされた歌詞です。
詳しくみてみましょう。
卒業間近
懐かしの校舎
赤い夕日が 校舎をそめて
ニレの木陰に 弾む声
出典: 高校三年生/作詞:丘灯至夫 作曲:遠藤実
卒業を控えた高校の校舎。見慣れた学校の建物、すべてが輝いて見えます。
希望を胸に入学したあの日。友達と過ごした3年間。楽しいことも、辛いこともありました。
長いと思っていた3年も、過ぎてみればあっという間です。
もうすぐここから羽ばたいていく自分。
もうこの校舎に通うこともなく、友達はみなちりじりになっていきます。
スマートフォンもインターネットもない時代。
一度離れ離れになってしまったら、次はいつ会えるのかわかりません。
騒がしいと思っていた、級友たち、後輩たちの声さえも今はただ懐かしく感じられます。
離れがたい思い
ああ 高校三年生 ぼくら
離れ離れに なろうとも
クラス仲間は いつまでも
出典: 高校三年生/作詞:丘灯至夫 作曲:遠藤実
卒業すればはなればなれになることは入学した時からわかっていたはず。
もうすぐそれが現実になる今、心の中は寂しさでいっぱいです。
ともに学び、励ましあった同級生たち。
目に見えない強い絆で結ばれたクラスメイト。
3年という長い月日、青春の全てを注いだ高校生活。そこで育まれた友情はなにものにも代えがたい思いです。
しかし、時は過ぎいよいよ旅立ちの時。それぞれが自分の道を見つけ、飛び出していくのももうすぐ。
どんな遠くにいてもこの絆が永遠に続くように祈ります。