終わりの始まり
君から始まる毎日も(もう)
箱庭壊すトワイライト
出典: 独白園/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹
「twilight」とは、夕陽の光のこと。
夕陽は夜の始まりであり、太陽が一時的に見えなくなることを暗示します。
そのことから、「終わり」を象徴する描写として使われることも多い言葉です。
ぼくが1人で温めてきた心の楽園(箱庭)が、形を変える時がきたということでしょうか。
ぼくは、君に恋をしてしまいました。
その瞬間から、完全な1人ぼっちではなくなってしまったのですから。
心の闇
恐れていること
目を閉じたまま 言葉にならないの
空恐ろしいのはさ 七色の狂気たち 深層心理
ぼくから、君へのノンフィクション
出典: 独白園/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹
ぼくはそれらの思いを、どうやって「君」に伝えたら良いのか分かっていません。
自分でも理解しきれていないことを、他者に伝えることは非常に困難です。
ぼくだけが悪いわけではないのでしょう。
その上、ぼくにはさらなる懸念もありました。
それこそが「七色の狂気」です。
これは、聖書に登場する7つの大罪を暗示しているのではないでしょうか?
七つの大罪は、キリスト教の西方教会、おもにカトリック教会における用語。ラテン語や英語での意味は「七つの死に至る罪」だが、「罪」そのものというよりは、人間を罪に導く可能性があると見做されてきた欲望や感情のことを指す
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/七つの大罪
人間は、欲望から逃れることはできません。
「三大欲求」と定義される欲望は、むしろ人類に必要です。
しかし、欲望だけに従えば狂気に苛まれる可能性も出てきます。
欲望と折り合いをつけて生きていく必要があるのです。
ただし、「独白園」はぼくの心の中を映した世界観。
ここでは統制された思いの他に、むきだしの欲望も渦巻いているのでしょう。
ぼくは欲望を抱いていることを、「君」に知られたくないと願っているのではないでしょうか。
自分の抱く欲望が、おぞましいものに見えてしまう時もあるからです。
しかし、欲を消し去ることはできません。
それは否定しようとしてもそこにあり、確実に存在しています。
創作物でないもの、まさに「ノンフィクション」なのです。
埋められない孤独
側に居て寄り添っていても独り(ちぬ)
なんてね。どこまで卑屈
出典: 独白園/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹
括弧の中の「ちぬ」は、「死ぬ」を遠回しに表す言葉と思われます。
舌足らずな感じがして、どことなく幼さも漂う言い方です。
前半のフレーズは、ある有名な俳句に酷似しています。
正岡子規の「咳をしても独り」です。
正岡 子規は、日本の俳人、歌人、国語学研究家。死を迎えるまでの約7年間は結核を患っていた。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/正岡子規
上の句は、誰も気遣ってくれる人がいないという寂しさを詠んだもの、といわれます。
それをオマージュした歌詞ですから、同様に寂しさが込められているのでしょうか。
孤独は感情の1つであり、心で感じるものです。
いくら身体的に密着して親密でも、心の寂しさが払えなければ何も変わりません。
ぼくは、それほど大きな孤独を感じているのでしょうか?
そう思いきや、次の行ではそんな自分を批判しているようでもあります。
卑屈になりたかっただけなのでしょうか。
それとも、ふざけてみせた本音かもしれません。
思案していくうちに、ぼく自身にも本音が曖昧になってしまったのでしょうか。
ささやかな想像
もし君がこの胸で泣いてくれるのなら そっと
ぼくの黒ずみ沈む核がさ 震え清むのかな…
出典: 独白園/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹