アンバランスなKissをしての歌詞の登場人物と物語について
「アンバランスなKissをして」の歌詞の中には、登場人物として描かれている二人がいます。
それは悲しみにくれ泣いている『君』とその君をそばで支えたい『僕』。
君に好意を寄せている僕目線で物語が描かれています。
深い哀しみからひとりになる『君』を『僕』は救いたいのです。
しかし君は哀しみにより気持ちを自分の殻に閉じ込めてしまいました。
それでも僕は、君が自分を必要としてくれる日までそばにいたいという内容になっています。
それでは歌詞の内容を細かく見ていきましょう。
二人の気持ちと僕の一方的な想い
まずは、二人の気持ちと僕の一方的な想いを描いた一番の歌詞から解説していきます。
君と僕の気持ちが表されているAメロ
一番の歌い出しから特徴的な表現がされています。
割れた鏡の中 映る君の姿
泣いている 泣いている
細い月をなぞる指
誰を呼んでいるの 消えた恋の背中
何度でも 何度でも
君の窓を叩くから
出典: アンバランスなKissをして/作詞:山田ひろし 作曲:高橋ひろ
鏡に映る君は泣いているというのですね。
割れているという表現から、彼女の心が傷ついていることが窺えます。
そして、鏡の「中」という表現を使うことで君の心が閉ざされてしまっていることを表しているのです。
「泣いている」と二回繰り返すことでより悲しさを深く印象付けています。
その先の歌詞を見てみると、「消えた」とあるので君は大切な誰かを失ったのかもしれません。
ふつうの別れではなく、もう二度と会えない別れであるために君は泣いているのだと思います。
そして僕は何度だって君を呼び続けるからと一途な気持ちがここで伺えますね。
「何度でも」と二回繰り返すのは先ほどの泣いている彼女の悲しみとの対比です。
君の悲しみ以上の僕の想いで救ってあげたいという気持ちが伝わってきます。
高橋ひろさんの歌い方にも注目
一番のAメロでは「泣いている」と「何度でも」が同じ二回繰り返しの表現で歌われています。
よく聴いてみると同じ繰り返しでも歌い方が違うのでよく聴いてみて下さい。
「泣いている」は君の哀しい気持ちを現すために、語尾が消えそうに歌われています。
一方で「何度でも」は僕の君への一途な気持ちの表れです。
そのため、こちらは語尾がしっかりと歌われています。
聴いてる人に二人の気持ちをさり気なく伝えるために、歌い方を分けているのです。
僕が動き出すBメロ
Bメロの歌い出しもAメロ同様、特徴的な表現がされています。
夜の加速度に 背中押されて
糸が切れるように
ただ君を 君を強く 抱いてた
出典: アンバランスなKissをして/作詞:山田ひろし 作曲:高橋ひろ
暗くなったあとも時間が経つにつれ、どんどん夜は深まっていく。
「夜が深まっていくと君の気持ちが僕の届かないところまで行ってしまうのではないか。」
そんな衝動に駆られ、夜が深まっていくにつれ僕の気持ちが動いていきます。
背中を押された後は、どこか抑えていた気持ちが溢れ出し気付いたら君を抱いていた。
「君じゃなきゃ」「君だからこそ」という僕の強い気持ちが表れています。