GOING STEADY後期の名曲「夜王子と月の姫」
2つのGOING STEADYバージョン
時代を超えて愛される楽曲。
そして自分にとっての大切な楽曲はいつまでも心に刻まれるのです。
今回は私にとって、そして多くのみなさんにとっての宝物のような楽曲を紹介いたします。
「夜王子と月の姫」
GOING STEADY(以下ゴイステ)が2002年に「若者たち」とのカップリングでリリースした楽曲です。
「さくらの唄」の大ヒットで人気絶頂を迎えていたゴイステ。
同時に解散を間近に迎える中レコーディングされたのが「夜王子と月の姫」です。
LESS THAN TVレーベルのコンピ「友達以上・恋人未満・TV以下」にリテイク版も収録されています。
なおアコースティックにリテイクされたバージョンのみ「夜王子と月の姫 vs the World」とタイトルが変更。
その理由は闇の中です...。
銀杏BOYZでも再録
ゴイステ解散後に結成されたのがご存知銀杏BOYZです。
修行のような過酷な環境下でレコーディングされた2枚のデビューアルバム。
そのデビュー作の1枚「DOOR」に再び「夜王子と月の姫」は収録されます。
ファンの間でもこの3バージョンのどれが好きかは意見が分かれるところです。
結論、どれも最高の仕上がりということにしておきましょう。
世代を超えて受け継がれる
セントチヒロ・チッチのカバーがスゴイ♪
冒頭で「時代を超えて愛される」と表現した理由はこちらです。
2018年9月に突如発表されたカバーバージョン。
歌うのは”楽器を持たないパンクバンドBiSH”のセントチヒロ・チッチ。
そして演奏は世界に名を届かすリーガル・リリーです。
必見のMV
セントチヒロ・チッチの歌声とリーガルリリーの演奏は原曲に魔法をかけてしまいました。
芋生悠さんを起用したMVも含めゴイステ/銀杏BOYZの世界観を拡張。
こうして後世にも歌い継がれるのは楽曲の持つ普遍的な魅力が要因なのでしょう。
そこで今回は「夜王子と月の姫」の歌詞に込められた意味を丁寧に紐解いてゆこうと思います。
解説「夜王子と月の姫」
冒頭で説明した通り「夜王子と月の姫」には4つのバージョンが存在します。
ゴイステの2バージョン、銀杏BOYZバージョン、セントチヒロ・チッチのカバーバージョンです。
アレンジはそれぞれ微妙に異なりますが歌詞はほとんど変更されていません。
そして「夜王子と月の姫」は2部構成になっているのはご存知でしょうか?
本編とその後の約2分弱のギターソロ+かくれんぼの合図から始まるエモーショナルな演奏です。
その第2部と本編の歌詞はある文学作品を元に構成されています。
まずはその前提条件から紐解いてゆきましょう!
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」へのオマージュ
「夜王子と月の姫」は全編「銀河鉄道の夜」からの影響を色濃く残しています。
宮沢賢治が残した1934年の文学作品です。
余談ですが「銀河鉄道の夜」はもう1つの有名な詩「雨ニモマケズ」と対になっています。
両方とも宮沢賢治の死後に出版されたこと、そして宮沢賢治の個人的な作品であることがその論拠です。
筆者も偶然見たテレビ番組でオリラジの中田さんが解説していて初めて知りました。
峯田和伸さんに強い影響を与えたであろう「銀河鉄道の夜」。
ゴイステ時代から歌い続ける作品にはズバリ「銀河鉄道の夜」というそのままのタイトル曲もあります。
一見難解にも見える「夜王子と月の姫」の歌詞はこのことを前提にすることで読み解くことができるのです。