なぁブラザー もう泣かないでいいよ
今日を生きるもんで捨てるのさ昨日
おあつらえ向きだ 派手に散ろう
忘れやしねぇ お前こそがヒーロー
出典: Divine Wind -KAMIKAZE-/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI,AK-69
泣いているだけでは前に進めません。
例え泣いているのが自分ではないとしても、泣いている者からバトンを受け取るわけにはいきません。
負けた者は「次こそは勝つ」と思い、次がないからこそ次の世代に勝利を託します。
ですからまずは涙を拭いて、次の勝利を確信してもらいたいのです。
負けたという事実は残りますが、負けた悔しさを消す方法があります。
それは、次の世代が勝利をもたらすことではないでしょうか。
「派手に散る」とは負けを前提とした言葉のように感じますが、そうではありません。
「勝てる」という確信が強ければ強いほど、負けたときの衝撃は大きくなります。それが「派手」に繋がります。
ですから、とにかく「勝つ」気で進んでいこうと歌っているのでしょう。
そして、こうした気持ちにさせてくれた先代へのリスペクトも描かれています。
命を懸けて戦った者たち
迎えた今日この日を片道切符で走る何キロ
TRY あいつなら此処に
TRY 纏う誇り
出典: Divine Wind -KAMIKAZE-/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI,AK-69
神風特攻隊を彷彿とさせるフレーズですね。
神風特攻隊は片道分の燃料だけを積んで出撃しました。
命と引き換えに戦況を変える力になりたいとして、自ら志願した兵士もいたことは有名です。
兵士としてのプライドももちろんありました。
海外も認める「誇り高き神風特攻隊」と、全力でぶつかって敗退を喫した者たちを重ねているのでしょう。
彼らの意志は常に主人公の胸の中に存在します。
神風特別攻撃隊(かみかぜとくべつこうげきたい[1]、しんぷうとくべつこうげきたい[2])は、第二次大戦で大日本帝国海軍によって編成された爆装体当たり攻撃隊と直接掩護並びに戦果確認に任ずる隊で構成された攻撃隊[3]。攻撃目標は艦船[4]。略称は「神風」、「神風特攻隊」[5]。隊名の発案者・猪口力平によれば、「神風」の読みは「しんぷう」であるが、当時のニュース映画で「かみかぜ」と読み上映したことでその読みが定着した[2]。
努力の末に残るもの
特にチームスポーツでは、捨て身の努力が美化されることがあります。
皆のために自分が駄目になっても良い。
果たしてそれはチームのためになるのでしょうか。
正しい努力とは
嗚呼 馬鹿だよ なんでこれ程に懸ける
もう構うな 生きる ありったけ
見つめるあの日 旅立ったあいつ 微笑む写真 振られたダイス
まるでTop Gun いざTake off あなた想い勇気手に取る
出典: Divine Wind -KAMIKAZE-/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI,AK-69
このセクションも神風特攻隊のエピソードをイメージさせます。
自分を犠牲にして何かを変えようという考えを否定しているようです。
一方で、片道の燃料しか積んでいない戦闘機を目の前にして、怯むことなく出撃した勇気には賛辞を送っています。
自己犠牲の精神を否定はしているものの、それが正しいのか間違っているのか判断するのは主人公ではありません。
だからこそ主人公は賽を投げたのです。
勝利へ進む正しい道はどちらなのか。簡単に答えが出ないという心境の現れでしょう。
死んだら元も子もない!
悔しかったろ? 苦しかったろ? また会う日に夜通し語ろう
不合理 愚かと笑え 我のみぞ知る想いの丈
「今日は死ぬには良い日だ」
こう覚悟決め 踏み出すだけ
これが“死ぬほど生きる”証さ
出典: Divine Wind -KAMIKAZE-/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI,AK-69
捨て身の行為で得るものがなかったときのショックは計り知れません。
それは特攻でもスポーツでも同じです。
選手生命をかけて、怪我を押して闘いに挑んだのに負けてしまったときの悔しさ。
こんなに悪条件で闘ったのに、観衆は「負け」という結果しか受け入れません。
恐らくこの苦しみは同じ境遇の者にしか理解できないはずです。
こうした苦しみを自分に置き換えて共感していくうちに、転がっていたサイコロは結果を出したのでしょう。
命を犠牲にして何かを得るのではなく、命を落とすかもしれないギリギリまで力を注ぐこと。
主人公はこう決意しました。
神風は吹くのか
自分が出せる最大の力で挑むことを決意した主人公。
彼の元に吹いてきた風の正体とは…?
勝つことしか許されない道を選んだ
Here’s one way 行くだけ
その羽根もげようと忘れんじゃねぇ
修羅場からI can’t stay away
Live like a warrior
出典: Divine Wind -KAMIKAZE-/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI,AK-69