B'zの43枚目のシングル「永遠の翼」

2007年に発売された、B'zの43作目のシングル「永遠の翼」。

前作「SPLASH!」から、約1年の間を開けてのリリースとなりました。

印象的なピアノの旋律から始まるこの曲は、映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」の主題歌として書き下ろされた作品です。

この映画は、石原慎太郎が製作総指揮、脚本を担当したこと、また岸恵子や窪塚洋介、筒井道隆などの豪華俳優陣の出演で大きな話題を呼びました。

太平洋戦争の末期、鹿児島県の知覧飛行場で訓練を受けていた、特攻隊の青年たちを描いた作品です。

B'zはこの映画主題歌の依頼を受け、実際に映画の舞台となる知覧を訪れ、特攻平和会館を訪れたり、色々な話を聞いたりしたということ。

最初に映画のストーリーを聞いて、戦争の為に自らの命を差し出すという重厚なテーマなので、実際に現地を訪れるというB'zにとっては稀な制作の仕方となりました。

やはり台本を目にしただけでは伝わらない、実際にその地に立って初めて感じたものも多くあったらしく、2人ともに非常に深い感銘を受けたといいます。

松本孝弘は、この時実際に目にしたもの、体験したものを曲にするということの大切さを改めて実感したと語っています。

そうして制作された「永遠の翼」は、B'zらしい貫禄の漂う、壮大なバラードとなりました。

「永遠の翼/B'z」は映画○○のために書き下ろされた主題歌!豪華俳優出演のPV&歌詞の意味に迫る!の画像

繊細、かつB'zらしい壮大なバラード

ピアノのみで静かに聞かせるオープニング。

松本孝弘のシンプルなハーモニクスのサウンドと、稲葉浩志の声が入ると、一気に曲に深みが増します。

曲に奥行きが出て、まるで風景が見えるようにさえ感じてしまいます。

サビにはストリングスが効果的に用いられ、壮大さに拍車をかけます。

緩急のついたアレンジで、最後まで一気に聴かせるのは、さすがB'zといわざるを得ません。

イントロではピアノのみで奏でられたフレーズがラストにも登場し、今度は松本孝弘がギターで同じフレーズを追います。

余韻を感じさせる、いつまでもこの曲の世界が頭の中から離れなくなってしまうような見事な終わり方です。

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PVには豪華俳優陣が出演!

この「永遠の翼」にはPVがありますが、このPVにはとても豪華な俳優陣が出演しています。

まず最初に登場する少年は本郷奏多。映画「GANTZ]の西丈一郎役や、テレビドラマ「ラブホの上野さん」の上野さん役などでおなじみですね。

そしてPVの中盤、彼が握りしめている写真に移っている女性が、人気急上昇中のモデル、本田翼。

彼女は女優としても活躍しており、2017年12月に公開された「鋼の錬金術師」の実写映画において、ウィンリィ・ロックベル役として出演しています。

ここでご覧いただけるPVには写真の中でしか彼女が登場しませんが、フルバージョンでは終盤に彼女の姿をたっぷりとみることができます。

PVをご紹介

悲しいストーリー

PVのストーリーは、曲の内容に沿った少し悲しいものとなっています。

傷ついて倒れている少年。

必死で起き上がって、足を引きずりながら、時には倒れながら、懸命にどこかに向かおうとします。

握りしめた手の中には、少女の写真が。

傷ついた体で、なんとか彼女に会いに行こうとしているのです。

現在B'zの公式YouTubeチャンネルで公開されているのはここまでですが、実はこの先には悲しい結末が待っています。

彼は結果的に、彼女に会うことができ、二人の時を過ごします。

ですが唐突に、彼の姿は消えてしまいます。

おそらく、彼はもう最初の時点から亡くなっていて、それでも彼女に会うために魂だけが戻ってきた、そして願いがかなった彼は本来いるべきはずの場所に召されたのでしょう。

そして希望を感じさせるかのように、白い鳩が飛んでゆきます。

映画の内容にもリンクした、切ない内容のPVですが、このフルバージョンは ”B’z The Best XXV 1999-2012[2CD+DVD付初回限定盤”の特典DVDで見ることができます。

「永遠の翼/B'z」は映画○○のために書き下ろされた主題歌!豪華俳優出演のPV&歌詞の意味に迫る!の画像

「永遠の翼」の歌詞の世界

ではここからは、「永遠の翼」の歌詞を見ていきましょう。

真白い雲のただよう果て 何があるの?
桜の丘で ねころんで 夢を見てた

いつか戻ってきたい場所は きっとここにある

永遠の翼がほしい また会う瞬間(とき)のために
はかないこの命を 朝日のように燃やしながら
はばたいてゆこう

出典: 永遠の翼/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘

よく時を過ごしていたお気に入りのあの場所。

そこでは、美しい桜が咲き乱れ、晴れ渡った青空にぽっかりと浮かび白い雲が見えていたのでしょう。

まるで目の前にその風景が浮かんでくるような、生き生きとした風景描写がなされています。

そしてこの場所こそが、自分が戻って来たい場所だと実感します。

命が尽きてしまうことだわかっていながらも、出撃する。

君のために、そして国のために。

もう戻ってこれないことは分かっているけれど、それでももし翼があったなら。

例え体は失っても、この魂だけは此処へ帰ってこられるように、永遠に無くなることのない翼があったらと、願います。

その笑顔を守るために

街灯(あかり)の下を ふたりのり 自転車こいで
強く抱きつく あぁぬくもり 涙が出そう

失ってはいけないものを 知ってしまったよ

永遠の翼広げ ただ君のためだけに
まばゆいその笑顔が 消えないように願いながら
はばたいてゆこう

出典: 永遠の翼/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘