悲しみに打ちひしがれる主人公。

今はまだその悲しみを拭い去ることができそうにありません。

しかしあることに気が付くことで、前を向くことができるのです。

どのようにして前に進むことができるのか、歌詞の解釈を最後までお楽しみください!

あの日も一緒だったな

小雪降り続く道 見上げた瞳の中
幾つも溶かした あの日も

出典: あなたへと続く道/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

暑い日も寒い日も一緒に歩んでいた「あなた」。

主人公は雪の降る幻想的な日を思い出します。

あんな日もあったなと思い出すだけでも切なくなるのです。

雫に変わる雪が あなたの背中滲ませて
遠ざかる 白い小径に ふわり消えた風の様に

出典: あなたへと続く道/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

あの雪の日、何があったのを鮮明に思い出します。

その日は一体何があったのでしょうか?

もしかしたらその日も今と同じく悲しい気分だったのかもしれません。

悲しくて仕方がないのに、風は素知らぬ顔をして通りすぎます。

この部分の歌詞は、「どんなに悲しくても時は過ぎてゆく」という風に読み取れます。

もう寂しくない!

会いたくて 会いたくて 涙の海一人漕ぎ渡る
どこまでも どこまでも あなたの声 聴こえてきそうで
笑顔は今 空に映すから 寂しくはないから

出典: あなたへと続く道/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

主人公は、ようやく寂しさから卒業できたようです。

「あなた」へと続く道が見えたのかもしれません。

思い出すことさえも辛く感じていたあの頃。

それを乗り越え、ついに笑顔を思い出すことができるようになりました。

いつも心の中には「あなた」がいる。

そして「あなた」にたどり着ける道が空へとつながっている。

だから寂しくないということに気が付いたのでしょう。

曲に込められた想い

「あなたへと続く道」を書いた小渕さんは、この曲を作ったときの貴重なエピソードを語っています。

大切な人を失った映像の中で、大切な人との思い出の場所を歩くシーンがあったそう。

そこで片手は今いる大切な家族と手をつないでいたのですが、もう一方の手は空いたままだったそうです。

その手が大切な人とつながっているような気がしたというようなことを語っていたのです。

大切な人と手をつないでいる。

つまり、大切な人(亡くなった人)との道はつながっているのではないか?

そう感じたのでしょう。

もちろん実際に手をつないでいるわけではないのですが、手をつないでいるようだということです。

最後はこのような歌詞で幕を閉じます。

心の「あなた」と生きてゆく決意

会いたくて 会いたくて 涙の海一人漕ぎ渡る
どこまでも どこまでも あなたの声 聴こえてきそうで
今ならば 出来る事 あの時まだ見え無かった事
会いたくて 何もかも あなたの為 注げる今より
輝いてた その光と今
歩くよ 二人 この道を

出典: あなたへと続く道/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

いまはもういない「あなた」。

いなくなってすぐは、ただ悲しみがこみあげるだけで何も考えられずにいたのでしょう。

しかししばらく時が経ち、いろいろなことが見えるようになりました。

例えば「あなた」へとつながっている心の道。

それが見えるようになった主人公にはもう怖いものはありません。

いない「あなた」に全てを捧げていた時期もありました。

でもよく考えてみると、そんな時期より心の中の「あなた」と一緒に歩く今の方が素敵ではないですか?

それは自分の人生を歩んでいるのだから。

「あなた」の人生ではなく自分の人生を歩んでいる主人公はとても素敵だと思います。

最後はいつも心の中にいる「あなた」と共に歩んでいく主人公の姿が目に浮かびます。

きっとこの主人公は「あなた」を胸の中に上手にしまうことができたのでしょう。

辛い時期を乗り越えた主人公。

「あなた」を忘れることはなく、前を向いて一緒に歩んでいくことを決めたのです。

小渕さんの母親への想い?

「あなたへと続く道」は、大切な人と会えないどうしようもない寂しさを歌ったものでした。

大切な人が今側にいるなら、いなくなる前に大切にしなくてはと思わせてくれる曲ですね。

いなくなってしまった「あなた」へと続く道があることに気が付き、主人公は前を向くことができました。

実は小渕さんの母親は、彼が18歳のときに亡くなっていると言われています。

その母親への想いを歌った曲には「遠くへ…」や「蕾」などがあります。

しかし、「あなたへと続く道」にも母親への想いが込められているような気がしてなりません。

どんな母親でも、母親は誰にとっても大切な人。

あるツアーで、母の日に「遠くへ…」を歌い、その次に「あなたへと続く道」を歌ったことがあります。

そのことからも、この曲は小渕さんの母への想いも込められている曲なのでは?と感じます。

18歳といえば思春期真っただ中。

母親が亡くなったショックはとても大きかったことでしょう。

「あなたへと続く道」では何年か経って、振り切ることができた母への想いを綴っているのかもしれませんね。