待ち針とは裁縫する際に仮止めする針のこと。

てっくんの正体が「ペンギンのぬいぐるみ」であることを示唆した表現です。

「待ち針を抜く」という行為は、恋愛感情が溢れだすことを表現しているのでしょう。

仮止めしていた状態は、いわば曖昧な恋愛感情だったということ。

待ち針を抜くことで完成品になったのです。

そして、「大人なセリフ」を投げかけてサビへと移ります。

魅惑的なのに面白い

サビではせき止められていた愛情や欲望が溢れだします。

ここでも魅惑的な言葉が印象的なのですが、同じくらいギャグセンスも発揮

ポイントを一つ一つ解釈していきます。

大人な描写で魅了

嘴がキミの口紅で染まり
柔らかな愛の始まりに戸惑いつつも
ゆだねた体は夏のサキュバス

出典: フェイクファー/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育

ドキッとしてしまう言葉の数々ですね。

でも、全部てっくんが主人公だと思うと、どれも笑ってしまいます。

嘴(くちばし)を赤く染めたのは口紅をした女性とのキス。

魅惑的な表現なのですがやはり「嘴(くちばし)」が絶妙に笑いを誘います

キスの柔らかい感触から始まった恋…。

そしてさらに展開していきます。

「サキュバス」とは民間伝承に伝わる、男性を誘惑する存在のこと。

セクシーさをどこまでも極めた意味合いで使われています。

でも、このセクシーな表現もてっくんの声で語られているのですね…。

手羽先でなぞる?

飛べないはずの退化した手羽先も
キミの肌を優しくなぞる瞬間は
まるで夜空を飛んでるかのようさ

出典: フェイクファー/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育

歌詞のとおり、確かにペンギンは退化して飛べません。

でも、てっくんが飛べない理由は別物な気がしますね!

このツッコミどころのある表現とセクシーな描写が重なります。

指先で女性をなぞる…かのように手羽先で女性をなぞっているのです。

もちろん「手羽先」は鶏肉を食べる際に用いる部位の名称

展開が進むほどにギャグをかましてくれるのが、岡崎体育らしいです。

繊細な内面も描写

先ほどは「情熱的」な内容でしたが、ここでは繊細な内面にも目を向けます。

しゃがれ声とのギャップがさらに強調されて堪りませんよ。

滲み出る包容力

Oh uh uh uh you’re rolling
Oh wannna be the man in your life
Oh uh uh uh you’re rolling
Oh wannna be the man in your life
幸せにするのは僕さ

出典: フェイクファー/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育

てっくんの男性としての包容力が感じられるフレーズです。

「君の生涯に寄り添いたい」

このメッセージからは背景となる深い愛情が読み取れます。

2人は恋人になれない関係性と前述しましたね。

永遠に結ばれることはないのに、生涯を捧げたいと歌っているのです。

結ばれない未来であっても女性を幸せにしてみせる。

何てカッコいい決意なのでしょう…。

ところで、なぜ2人は恋人にはなれないのでしょうか?

冷静に考えると「ぬいぐるみと人間は結婚できない」という単純なオチなのかもしれません。

オシャレな言葉選びに注目

Dope ともに咲く二輪のヴェロニカ
ハッとするような麗しきマニキュア
フェイクファーじゃない
僕のリアルな羽毛 you know?
苦悩も全部取っ払ってあげる

出典: フェイクファー/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育

「Dope」とは洋楽のヒップホップで使われる「最高」「ヤバい」というニュアンスの形容詞。

「ヴェロニカ」は夏に咲く花の名前です。

冒頭でも花火を描写に用いるなど、季節感ある風情が素敵ですね。

また「ヴェロニカ」の花言葉は、名誉、明るい家庭、忠誠心。

2人の誠実な絆を二輪の花に例えたのでしょう。

そして、ぬいぐるみの素材が「リアルファー」と歌っています。

羽ばたけそうなくらい気持ちが高ぶっているという意味なのでしょう。