アルバム『球体』に収録

どことなく「民族」を思わせる曲

三浦大知【飛行船】歌詞を徹底考察!列に並んだ人はどうなった?周囲と違う結末を求めた真意が知りたい!の画像

三浦大知さんの7枚目のアルバム『球体』。

安室奈美恵さんやBoAさん、J Soul Brothersの楽曲を手掛けたことで知られるNao'ymt(ナオ'ワイエムティー)さんが全曲プロデュースを担当した力作です。

今回ご紹介するのは同アルバムの7曲目に収録されている『飛行船』という曲。

聴いてみると分かる通り、不思議な笛の音が入っています。

尺八やケーナ(南米ペルー、ボリビアの楽器)を思わせる音色ですが、とてもオリエンタルな雰囲気を醸し出していますね。

歌自体は静かな旋律ですが、情熱も感じ取ることができる緩急のついた展開で気に入っているファンの方も多いのではないでしょうか。

今回はこの『飛行船』という曲の歌詞を改めて独自に考察してみました。

タイトルの飛行機とは一体何を表しているのでしょうか?

まずは迫力のあるライブ映像からチェックしてみましょう。

ライブ映像をチェック!

大阪城ホールの映像!

残念ながらMVは公開されていないので、ライブ映像をお楽しみください。

DVD/Blu-ray「DAICHI MIURA LIVE TOUR ONE END in 大阪城ホール」からの映像です。

ステージの真ん中は昇降する仕掛けになっており、曲の盛り上がりとともに下へと下がってゆき…

ステージ上へと降りてきた三浦さんは歌詞通り、前方へと走って登場。

そして激しいダンスをしながら、ブレの少ないボーカルを見せてくれます。

美しい歌声を堪能した後はまたもや激しいダンスブレイクが。

歌詞の内容を表した「何かを打ち破ろう」とする姿をダンスでも表現しているように感じました。

もちろん三浦さんのパフォーマンスが素晴らしいことは確かですが、それを上手く捉えるカメラワークにも注目です。

さて、かっこいいライブ映像を見た後は、歌詞の世界へと飛び込んでみましょう。

この後は歌詞を独自に考察していきたいと思います。

歌詞を考察!

列に並ぶ人たち

開く扉
放たれた光
程なく
吸い込まれる人たち
生まれてきた理由が
その先にあると信じて
列は続いている

いまだに消えない疑問点が
裾つかむ
これは必要なことなのか
次々と飛び立つ飛行船が
巻き上げた塵の先
高く広い空

出典: 飛行船/作詞:Nao'ymt 作曲:Nao'ymt

この歌詞の主人公は世の中の「当たり前」に対して疑問を持っているようです。

「人生はこうあるべきだ」という漠然としたモデルケースを元に、なんとなくその道を進む人々。

良い学校へ通い、卒業したら良い会社へ就職する。

そして、収入が安定してきたら結婚して子供をもうける。

現在でもその生き方が「当たり前」で、みんなそうなるはず、それを目指しているはずと思う人は多いです。

主人公もそのうちの一人でしたが、彼には払いのけることができない「心のひっかかり」がありました。

足を止めた主人公が空を見上げると、そこには「当たり前」の人生へと向かう「飛行船」が無数に…

まるで小説のように、光景がそのまま頭に浮かぶ描写ですね。

「みんなそうしているから同じようにすれば間違いない」

果たしてそうなのでしょうか?

自分が本当に望んでいない生き方をしていると、どこかで「虚しさ」という感情が襲ってきます。

「若い頃に別の人生を選んでいれば…」

という後悔は良く聞くものです。

主人公は無意識のうちにそうなってしまうことに対して、危機感を覚えたのかもしれません。

ただ自分でいたいだけ

いつしか摩耗して…

印などいらない
保証などいらない
ただ自分でいたいだけ
湧き上がる熱が
枷を溶かして
今、走り出す

並ぶボタン
でも押すのはひとつ
いつしか磨耗して
劣る機能
そんな日々で隙間をどう塞ぐ
いつでも足らなくて
求めてはみ出して

出典: 飛行船/作詞:Nao'ymt 作曲:Nao'ymt

主人公は安心できる未来よりも、「自分らしくいること」の方が大事だと気づきました。

その気づきは確実に主人公の心へと影響を与え、行動を起こすきっかけに。

知らず知らずのうちに押し殺していた自分を、解き放つ決意をしたのです。

何かを得るためには何かを犠牲にしなければいけない。

そんな風に何かを捨てる選択をいくつも迫られる人生。

生きがいを失っていくなかで、心も枯れていく花のように輝きをなくしてゆきます。

一つしか選べなかったことで満たされなかった気持ちは、他のことで埋めることはできません。

「虚しさ」を抱えて生きる毎日。

生きながら死んでいるような心境に、主人公はもううんざりしていたのかもしれません。

人々を連れ去る飛行船とは

行き先も知らない