東京事変「能動的三分間」
カップ麺ソングにしたいところですが、歌詞が非常に良いことを言っているのでチェックしてみましょう。
東京事変の「能動的三分間」ですが、ジャケットデザインのとおり「3分」がコンセプトになっている楽曲です。
収録アルバムは「閃光少女」や「勝ち戦」などが収録されている『スポーツ』です。
また、同曲はCM曲として起用されたことでも話題になりました。
抜擢されたのはグリコの「ウォーターリング キスミントガム」のCMです。
東京事変はこの時、立て続けにキスミントガムのCM出演を果たしています。
同曲以外にも、「勝ち戦」など同じアルバムに収録されている楽曲もまた起用されました。
CMではラストの一番盛り上がるサビ部分が切り取られています。
躍動感のあるメロディと、相反して虎視眈々とした椎名林檎。
画面を射抜くように見つめるカットが印象的なCMとなりました。
PVはこちら
PVでは時計が23:57をさしています。日付が変わるまで、ミッドナイトを迎えるまでの3分間でもあるわけですね。
しかし光の色が違うシーン(朝と昼と夕方?)もあり、同じ3分間でも全く違った表情があるということに気付きます。
と思ったら、1分半あたりでメンバーの腕時計の時刻が映し出されます。
4(16)時、10時、11時、そして12(0)時。
そのあとはメンバーの傍らでさまざまな行為をする林檎さんが楽しめます。
ムーンウォークもしてらっしゃいます。花束ばちこーーーーんはひどいけど痛快!
楽曲のほうは、ポップほどライトではないけれど、グランジほど荒くもない、という上級品格ソングに仕上がっています。
ギターの浮雲さんの甘いコーラスも耳を幸せにしてくれますね。
メンバーのそれぞれの持つ時計が、異なる時間を指しているのが印象的なPV。
皆がそれぞれの時間を生きていることの暗喩とでもいうべきでしょうか。
それぞれの人生、それぞれの生き方、といったものを表現しているように思えます。
しかしサビ部分では全員が集結し、同じスタジオで曲を奏でます。
この演出が「時は共通でゆるぎないもの」という事実を浮き彫りにします。
メンバーが躍動しているのは紛れもなく同じ時間。
1分1秒という共通の認識のうえで、ぴったりと狂うことなく泊を刻みます。
ちなみに、ぴったり3分というのは編集でもなんでもありません。
実際に彼らの演奏が3分きっかりで終わるように仕組まれているのです。
これはライブ映像などを見れば一目瞭然。
コンマ1秒もずれることなく、彼らは3分きっかりの演奏をやり切ります。
そこには圧倒的なグルーヴ感があるといえるでしょう。
気になる歌詞は?(和訳あり)
3分間で如何するの?
You're all alone
You're fixing ramen
You pour hot water in
Where are your thoughts wandering as you wait there?
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=Z00073
意訳:「あなたはひとりぼっちでラーメンをこしらえている、(といっても)熱湯を注いで」
「そこで待ってる間一体何するつもりなの?」
カップ麺がふやけるのを待つ間、あなたはいつも何をしていますか?ほかの家事?それともスマホを触る?
その3分間という有限の時をどう過ごすか、というあまり意識しない瞬間を切り取って提示してくださっています。
何気ない日常生活の中の3分間。
そんな特に意図せず過ごしてしまうような時間を、歌詞であえて浮き彫りにしています。
3分など、造作もなく過ぎてしまうでしょう。
ぼんやりとしていれば、すぐになくなってしまう短い時間です。
しかし歌詞では、そこであえて「何をする?」と問うています。
きっとほとんどの人が返答に困ってしまうでしょう。
それと同時に、まぎれもなく有限な時間が存在することを認識できるのです。
Come back to life and be high
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=Z00073
意訳:「息を吹き返しハイになりなさい」
その3分という制限時間を意識して夢中で過ごしなさい、ということでしょう。
時間制限があったほうが有意義にすごせた、なんてことはありませんか?
例えば通勤通学中に本を読んだら意外と集中できたとか、〆切ギリギリで火事場の馬鹿力が出たとか。
カップ麺の完成を待つ3分間、死んだように何もせず過ごすのではなくイキイキと活動してみましょう。
ここでは時間を有効に使うことを示唆しています。
何も考えずに生きていれば、一生などあっという間でしょう。
泣き、笑い、努力し、楽しむからこそ生きている実感が持てるのです。
また、何かに集中すれば生きる実感を持ちながら時を過ごすことができます。
これが歌詞でいうところの「ハイ」な状態です。
人は常に人生のリミットを意識しながら生きているわけではありません。
時に何も考えない時間というのも必要です。
しかし、当然今日と同じ明日が来る保証はどこにもないのです。
文字通り、時間は有限です。
遅かれ早かれ終わりは訪れます。
このカップ麺が出来上がっていく間にも。
刻一刻と自分の大切な時間は過ぎているのです。
音楽こそイノチが長い
遣る瀬無い沙汰止みを
溜息にして無常
嘆いても時は男女平等
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=Z00073
ここの見解はハッキリ示すことが不可能なのですが、筆者個人的な意見としては約束をドタキャンされて時間と虚無の気持ちを持て余している状況ではないかと。
こんなとき、どうしましょうね。
ちなみにこのフレーズに似た楽曲があります。
それは椎名林檎の丸の内サディスティックです。
「東京は愛せど何もない」というフレーズ。
どこか諦めのような雰囲気を感じさせる文章ですね。
ちなみに同曲の二番では、「怨親平等」という熟語が登場。
つまり同曲では「平等がうたわれる世の中」を取り上げていると考えられます。
そんな世間のへの諦めや落胆を表現しているのではないでしょうか。
実態の伴わないきれいごとの平等に嫌気がさしているのか。
平等という言葉をかさに着て、冷たい態度を取る世間への落胆なのでしょうか。
歌詞の真意は分かりません。
しかしいずれにしても、世間に対していい思いはないようです。
才能開花した君は
ヒッチハイクの巧いベテランペーパードライバー
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=Z00073