アルバム「EPISODE」収録曲
楽曲「エピソード」は、星野源さんの2ndアルバム「EPIDOSDE」収録曲です。
アルバムと同名のこの曲には、とても大きな特徴があります。
それは歌詞がとても短いこと。
限られたスペースの中で、自分が伝えたいことを表現するのは大変です。
何を削り、何を残すか? 試行錯誤が求められます。
しかしその分、研ぎ澄まされたメッセージが込められているかもしれません。
この曲に込められた物語は何でしょうか?
テレビの前に座る主人公
30分番組あるある
この曲は、一体どんな場面を切り取ったものなのでしょうか?
歌詞の1行目から、主人公がテレビの前に座っていることが読み取れます。
30分の一話の中で
先の見えない苦しみは
15分あたりにくるんだ
出典: エピソード/作詞:星野源 作曲:星野源
どうやらテレビ番組を観ているようです。
番組もさまざまなものがありますが、ここでは30分完結のものを見ていると分かります。
1話が30分で終わる番組というと、アニメを連想する人も多いのではないでしょうか。
ここではそんな30分番組を観ている人の心情に触れられています。
先の見えない苦しみとは?
物語には、起承転結が必要です。
ことに30分番組だと、30分の中に起承転結を盛り込まなければなりません。
そうなると、話の流れがある程度決まってきます。
30分番組で、「承」の辺りに入るのが、大体15分あたりなのです。
戦闘シーンのある作品であれば、変身して敵と対峙する場面でしょうか。
どういう戦いを繰り広げるのか?
ケンカしていた主人公たちは仲直りできる?
勝つか、それとも負けてしまう?
次の場面に何が起こるのか、はらはらドキドキさせられます。
ですが、ここで物語と視聴者の前に立ちはだかるものが。
そう、CMです。
続きが観たいのに
お金の匂い 間にはさみ
ふと君のことを思い出す
出典: エピソード/作詞:星野源 作曲:星野源
歌詞の中で言及されている「お金」は、CMをさしていると思われます。
CMは、企業が宣伝のために打っているものです。
宣伝し、お客さんに良いものだと思ってもらい、買ってもらう。
CMはそのための手段の1つです。
資本主義なので、企業が利潤(利益、お金)を求めるのは当たり前。
しかし、それを「金の亡者」と見る見方もあるでしょう。
宣伝文句の中に「買ってね」という言外のメッセージを感じ取ることもあります。
主人公も、批判的な目でCMを観ているのかもしれません。
何といっても主人公は、番組の続きを首を長くして待っているところ。
そこへコマーシャルなど挟まれたら、批判したくなる気持ちも否定できません。
続きが知りたいのに、CMが明けるのを待たなければならない。
それが、最初の歌詞に出てくる「苦しみ」の正体だと思われます。
テレビから流れてくるCMは、必ずしも興味の持てる内容とは限りません。
主人公の前で流れるCMも、関心の薄い内容だったのでしょうか。
主人公の意識はさまよいだし、「君」と呼ばれる人物について考えます。
「君」への想い
楽しい時間 あっと言う間だろ
出典: エピソード/作詞:星野源 作曲:星野源
ここからの歌詞は、主人公の回想と想像だと考えられます。
CMを観ながら「君」のことを考える主人公が、はじめに思ったのが上の言葉。
まるで「君」に親しく語りかけるかのような口調です。
「君」が男性か女性か、歌詞から推測することはできません。
友人か、恋人かも不明です。
聴く人の想像にゆだねられている部分でしょう。
しかし「~だろ」という口調から、主人公と「君」は仲が良さそうだと分かります。
楽しい時間ほど早く過ぎるというのは、多くの人が経験していることではないでしょうか。
反対に退屈を感じていると、時計の針が遅く感じられます。
「~だろ」は共感を求める言い方です。
主人公は、「君」と過ごす時間を楽しいと感じている様子。
同じように思っているか、「君」にも問いかけているかのようです。