Bメロは歌詞というより掛け声に近いですね。
Bメロは「ライラ」という掛け声が立て続けに入ります。
ここで思い浮かべるのがデレク・アンド・ドミノズの『愛しのレイラ』。
「ライラ」ではありませんが、この曲のサビで「レイラ」という歌詞があります。
邦楽に目を向けると、アリスの『チャンピオン』。
この曲の終盤に、「ライラ」と繰り返し歌う箇所があります。
桜井さんは『ロックンロールは生きている』を作った際、この二曲が頭の中にあったのではないでしょうか?
次の「サディスティック」は「残酷なことを好むさま」です。
こちらもオマージュですね。
サディスティック・ミカ・バンドやX JAPANの『Sadistic Desire』などです。
もしかしたら桜井さんは、ロックンロールのオマージュ作品を作りたかったがためにこの曲を作ったのかもしれません。
このように、この曲には元となるネタが多いです。
サビの出だしが「ロックンロール」
サビ
でも
ロックンロールは生きている 君のそばに
自由と希望を意味している OH Oh oh
出典: ロックンロールは生きている/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
サビは「でも」という「否定形」から入ります。
Aメロで記されたことを否定するのですね。
この「否定形」がすでに「ロックンロール」だと思います。
退屈な日常を蹴っ飛ばし、権力に逆らい、予定調和を乱す。
これぞロックンロールの持つ力です。
桜井さんが言うように「ロックンロール」とは、すべての人間が持つ衝動です。
衝動とはいっても、すぐに消えてしまう衝動もあるでしょう。
反対に、消えずにくすぶり続ける衝動もあると思います。
その衝動をいかに形にするか。
これが「ロックンロール」を体現する人と体現しない人の違いだと思います。
語り
削り取られて 切り捨てられて 安売りされたあげく価値落として
首を傾げて 意義を唱えてもこれが現実と押さえ込まれた
天国と地獄しかない時代で 地団駄踏んで縮かんだ手をねじ込んだ
ポケットの中握りこぶし 今日も痛み隠し
出典: ロックンロールは生きている/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
この部分はメロディーではなく、桜井さんの語りになっています。
やはり曲中に語りが入る『名もなき詩』を彷彿とさせますね。
さて、ここで語っている人物に名前はありません。
というのも、この楽曲の主人公は個人ではないからです。
この曲は「くすぶって、抑圧されて、躓(つまづ)いて、ボロ雑巾のように扱われている」人が主人公。
たとえば、学校や職場で周りの人と上手くコミュニケーションできない人がいたとします。
他人と上手く関われない人を無下に非難することはできませんよね。
もしかしたらその人はただ無口なだけで、内(うち)に熱いものを秘めた人物かもしれません。
この曲の主人公は、そういう人間すべてを指しています。
2番Aメロ
慌てないで ほら1、2の3の きっかけで飛ぶんだ清水の舞台
氏名住所血液型なんて 皆忘れていいんだ 君をすっとばせ
出典: ロックンロールは生きている/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
周りの空気ばかりを読んでいては何事も成功しません。
時には「清水の舞台」から飛び降りる覚悟も必要。
いわば「見る前に飛ぶ」必要があるのですね。
名前や住所、性別や血液型にとらわれる必要性はないはず。
しかし人間は、そういった俗っぽいものに振り回されがちです。
詰まらないことは捨てて、自分を高みに置き、成長しなければいけません。
それには、既成概念など打ち破って前に進む行動力が必要です。
2番サビ
ロックンロールは生きている 君の中に
未知なる可能性を探っている OH Oh oh
出典: ロックンロールは生きている/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
歌詞の2行目のフレーズにあるように、人間には「未知なる」能力があるのかもしれません。
それは探そうと思っても見つからないものです。
まず、やりたいことに向かって行動しないと何もはじまりません。
「ロックンロール」とは音楽の1ジャンルにとどまらず、行動や思想そのもの。
行動や思想が、曲や歌詞に表れるのではないでしょうか?
2番目のBメロは1番目のBメロと同じ歌詞ですので、掲載は割愛します。