これもまさに同じ気持ちで発している言葉なのでしょう。
3行目では丁寧に、それらの議論がただのお節介であることを明言しています。
ちなみに【社会の窓】にも3行目と同じようなフレーズがあるのです。
シリアスな場面に差し込まれた、ファンにだけわかるちょっとした仕掛け。
こんなところで元になった楽曲を感じさせてくれるとは、彼ららしい遊び心なのかもしれません。
「皆さん」とは誰なのか
皆さんの為を思って
やむ負えず決断しました
皆さんの幸せなんて
手に負えず決断しました
出典: 社会の窓と同じ構成/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
1行目と3行目に登場する「皆さん」。これは同じ言葉ですが、おそらく別々の相手を指しています。
まず1行目に登場する「皆さん」とは、きっと愛をもって接している相手です。
クリープハイプを慕っているファンの存在と考えられるでしょう。
続く3行目の「皆さん」に対しては、どことなく嫌っているような素振りを見せていますね。
これは推測ですが、かつて所属していたレーベルのことを指していると考えられます。
「自分たちの未来のため」だとしていた移籍の理由。その裏に隠された本音を垣間見ることができます。
似ているのは何?
【社会の窓】とつながるストーリー
あっ何か似てる何か似てる前回の時と何か似てる
なんか似てる何か似てる
幸せになる確率10%以下
出典: 社会の窓と同じ構成/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
似ているのはもちろん、彼らの楽曲である【社会の窓】。
楽曲構成が同じであることを皮肉って、さらに歌詞にまでしてしまったようです。
似ているのはいいとして、3行目のパーセンテージが気になるところ。
これはきっと、【社会の窓】の歌詞世界と関連があるのではないでしょうか。
実は【社会の窓】、なんとなくスッキリしないモヤモヤとした感情が歌詞で綴られているのです。
曲も演奏も凄く良いのになんかあの声が受け付けない
もっと普通の声で歌えばいいのにもっと普通の恋を歌えばいいのに
でもどうしてもあんな声しか出せないからあんな声で歌ってるんなら
可哀想だからもう少し我慢して聴いてあげようかなって
出典: 社会の窓/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
楽曲の主人公は受け入れてもらえないもどかしさを抱きながら、幸せになり切れずに終わっています。
この楽曲も構成が同じ、かつストーリーもどことなく暗い話題が多く登場していますね。
【社会の窓】がハッピーエンドでなかったのなら、同じく【社会の窓と同じ構成】もハッピーエンドではない。
そんなことを意味しているのではないでしょうか。
蹴散らすのは何?
いらねーいらねーいらねーいらねーいらねーいらねーいらねーよそれ
出典: 社会の窓と同じ構成/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
【社会の窓】では先程引用した通り、周囲から同情を寄せられているかのような描写がなされていました。
つまり本楽曲でも「いらない」と拒否しているのは、周囲からの同情だと考えられます。
レーベル移籍の本当の理由、隠された事情、クリープハイプの気持ち。
これらは当然ながら本人たちにしかわかりません。
しかし中には知ったような口をきく人たちだっているはずです。
彼らの気持ちをわかったフリして、同情を寄せる人も多かったのでしょう。
しかし彼らはそんな同情を振り払っています。
【社会の窓】発売時から変わることのない、クリープハイプの芯を感じることができますね。
まだまだ繋がるストーリー
いまの自分たちを歌う
こうやってバスドラ踏んでたら
いつの間にかなんか売れちゃって
今ならなんとありきたりな
ギターリフもセットでついてきます
出典: 社会の窓と同じ構成/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
ここでは自分たちのことを歌っているようです。
これまで歩んできた道を振り返り、あっという間だったと想いを馳せているようにも感じられますね。
レーベル移籍前にベストアルバムの話が出たくらいですから、彼らの知名度はその頃から高かったといえるでしょう。
そんな自分たちを、移籍先のレーベルにこんな風に紹介しているようにも思えます。
「こんな僕たちだけれど、これからよろしく」といったところでしょうか。