シンガーソングライター・松任谷由実
日本人の心に刻まれた歌声
今回ご紹介するのは、ユーミンこと松任谷由実さん。デビュー45周年を迎えた(凄すぎる)日本が誇るシンガーソングライターの一人です。
小さい頃は完全に「父や母が好きな歌手の一人」だったわけですが、この年齢になってわかるのは、この方の楽曲を避けて生きていくのは難しいというすんごい事実でございます。
「恋人がサンタクロース」「春よ、来い」「ルージュの伝言」、この3曲だけでも避けて通るのはかなり困難。
クリスマスは耳をふさいで街を歩く必要がありますし、春の歌番組も大体誰かがカバーしますのでこれまた見られません。みんな大好き魔女の宅急便も完全に封印です。無理だ…
というわけで、10代の方でもきっと聞いたことがあるはずです。いやーこれって凄いことですよね。
呉服屋の娘から歌姫へ
で、こんな才能あふれるシンガーなので、小さい頃から厳しい歌のレッスンを…というわけでは実はありません。
実は彼女、呉服屋の第4女として生を受けます。勝手に音楽一家に生まれた方だと思ってたんですが、全然違いましたね。
ですがやはりいいところのお嬢様だったので、6歳からピアノを始め、そのあとも様々な楽器を習っています。音楽に触れる土壌はあったわけですね。
ちなみに彼女、結婚前は当時の本名である「荒井由実」として活動していました。
結婚後、本人は一度引退を考えたらしいのですが、そのまま松任谷姓に変更して活動を続けることとなったのです。よかったー!やめないでよかったー!
彼女は1976年に結婚していますから、そこで引退していたら「自分が生まれる前になんかすごかったらしい歌手」になってるところでしたよー!よかったー!
そして潔く名前を変えて活動するのも素敵じゃないですか。女性としてもちょっと憧れちゃいます。
今回ご紹介するのは、そんな彼女が1994年にリリースした名曲、「Hello, my friend」。
晩夏を思わせる少し切ない歌詞と、優しいメロディーに注目ですよ。
映像をチェック!
この方の情景描写のうまさは、この後ご紹介する歌詞でたっぷり感じていただくとして。
まずはこの何とも特徴的な声とメロディーが、これぞ松任谷由実!ですよね。これ何なんでしょうね。耳が安心する。
この方の曲を聴くと、「なんかわからんけどえらく美しい音楽を聴いた気がする」みたいな感じになるのは、もう親の代から刷り込まれた何がしかのような気がする…すごいぜユーミン…
歌詞をチェック!
さて!それでは早速歌詞も見ていきましょう。
先ほどもちょっと書いたんですが、この方の情景描写が本当に凄いんです。気温は何度ぐらいで、きっとこれぐらいの風が吹いていて、時間は多分これぐらい…
といった、細かい風景まで目の前に広がる感じがするんですよね。
そんな彼女ならではの、繊細な描写にも注目ですよ。
切ない夏の恋
Hello my friend 君に恋した夏があったね
みじかくて 気まぐれな夏だった
Destiny 君はとっくに知っていたよね
戻れない安らぎもあることを Ah…
出典: Hello, my friend/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実
夏の終わり。これは個人的なイメージですけど、夕方なんですよね。
「ひと夏の恋」という解釈もできますが、「夏をきっかけに、突然始まった恋」という解釈もできますよね。聴く人、聴く時期によって色々な解釈が楽しめる歌詞です。何にせよ切ないですけど…
そしてその恋は、すでに失われているようです。「Destiny」と歌っていますが、これもまた強烈ですね。結ばれることがない「運命」だったのだと。
悲しくて 悲しくて 帰り道探した
もう二度と会えなくても 友達と呼ばせて
出典: Hello, my friend/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実
「悲しくて悲しくて」のメロディーのコード進行も本当にうまい。ホント悲しい。
果たしてこの二人は恋人同士だったのか。恋人と呼べる関係じゃなかったけれど、何となくつかず離れずの関係が、夏の終わりに壊れてしまったのか。
関係について実は具体的なことに全く触れていないので、本当に色々な解釈ができるのがこの歌詞の凄いところ。
ということは、幅広くたくさんの人に刺さるということで…かくいう私も刺さるところがあるわけで…ううっ…うまいっ…