トレモロ・ギターが印象的
6曲目の「UCLA」は少しクールダウンを図る導入部から、ギターを掻き鳴らす中間部へと展開していきます。
トレモロ・ヴィブラートを掛けた右チャンネルのギターが印象的。
徐々にヒート・アップしてゆく歌詞やサウンドのカタルシスを存分に感じたい一曲です。
満たされない毎日
鈍い息を吐くトラック
咳を鎮めるドロップ
灰色の空気も吸い込むしかないだろう
誰の彼がどうとか
アイツがウザいとか
割れた画面をスワイプ
撫でた指の先
満たされないけど
投げ出せそうもない
少しずつ何かを削るような毎日
だけど彼の声とか
ささやかな自由とか
わたしはわたしを抱きしめたいだけ
出典: UCLA/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh
スマホの割れた画面を指でスワイプしながら、日々の不満や鬱憤を溜め込んでいく人々。
充足した人生を送れない悩みを抱えて生きてゆく毎日。
それでも彼氏のことを大切に想うなど、わずかに許された自由を自分のものとして生きるしかない。
自分を守るだけで精一杯な人々の姿がここにあります。
凍える夜を堪えたように
怒鳴るような太陽を避けたように
今はまだ雨宿り
急ぐほど重要な理由もない
呼び声が君に届くように
出会うべき人と出会うように
君はまだ雨宿り
耳だけは澄まして時を待つ
出典: UCLA/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh
いまの人生はただの通り雨に当たっているだけなのだ。
だからいまは雨宿りして、しばらく天気の回復を待とう。
充足した生活や未来はきっとくるから安心して欲しいと歌います。
ここでも後藤正文の歌詞は愛にあふれているのです。
夜を楽しみたい「モータープール」
パワー・ポップの魅力全開!
7曲目の「モータープール」はアップ・テンポで一直線に進んでゆく楽曲。
あまりギミックに頼らないサウンドで、アルバム「ホームタウン」の中では素直な曲です。
夜に繰り出すときの高揚した気分をうまく伝える歌唱とサウンド。
サビのくだりなどは、これこそパワー・ポップといった雰囲気です。
多幸感を携えた色とりどりの風景
静まるモータープール
色のない車
街灯の明かり
オレンジの束
月夜の雲に
目を合わせて追えば
遠く旅客機が空をすり抜けて
流れる星を躱すんだ
どこまで行くんだろう
出典: モータープール/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh
真夜中でありながら、夜はまだこれからという浮いた気分。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの歌詞には自動車がある風景が欠かせないのかなと思います。
「ホームタウン」でも自動車が効果的に使われていました。
自動車が持つこの世の果てのどこまでも連れて行ってくれるイメージが大切なのでしょう。
再びリヴァース・クオモとの共作「ダンシングガール」
ファズ・ギターのエッジ
8曲目「ダンシングガール」は再びWeezerのリヴァース・クオモとの共作です。
リヴァース・クオモと後藤正文のふたりでの合作。
ファズ・ギターがエッジ立っていてザクザクと気持ちいいです。
中間部でメタリックにひかるザクザクとしたファズ・ギターの刻みに痺れます。