ダンシングガール
眩しくて
どうかこのまま 消えないで
覚えたての不器用なステップ
雨も風も振り回して
もうどこへでも行ける気分さ
あの娘が笑ったんだ
太陽が眩しくて
あの日のまま 佇んで
誰も彼も消え去ったって
闇も夢も連れ出して
もう どこへでも行ける気分なんだ
出典: ダンシングガール/作詞:Rivers Cuomo Masafumi Gotoh 作曲:Revers Cuomo Masafumi Gotoh
後藤正文は男性目線での可愛い女の子を書かせると上手です。
眩しいくらい輝いて見える、おそらく思春期の女の子。
彼女がいれば一緒にどこまでも行けるという浮き立つ気持ち。
大切なのはふたりの世界です。
恋が生む錯覚ではあるのでしょうが、自分の中にある潜在的なチカラをあの娘のためにすべて捧げられる。
そんな想いを紡いでいます。
武装解除を促す「さようならソルジャー」
USオルタナティブ・ロックの香り
9曲目は「さようならソルジャー」。
USオルタナティブ・ロックの香りがするサウンドの所以は、おそらく唸るベースがかっこいいからです。
軽く歪ませたファズ・ギターが左右のチャンネルで呼応しあっています。
ラストの徐々に消え入るようなフィードバックがいつまでも印象に残るのです。
南北朝鮮の融和などが影響した歌詞
境界線の向こう
不意に腕を握って
急に好きだと言って
自由に空を渡った水鳥のように
数十年 羽をたたんで
今まで この風を待って
遂に君と出会った
もう離れないでよ
さようならソルジャー
オールライト
出典: さようならソルジャー/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh
南北朝鮮首脳会議の成功などで一時は開戦論が叫ばれていたような緊迫した状況が溶け去りました。
兵士の出番は未来永劫、もうなくなるといいです。
国境という境界線があっても水鳥は自由に上空を飛び越えていきます。
「さようならソルジャー」はとてもスケールの大きいラブ・ソングです。
国家と国家の融和を促すようなとても大きな愛がテーマ。
一筋縄ではいかない歌詞ではありますが、時勢を読みながら聴くと意味が分かります。
アルバム・ラストは「ボーイズ&ガールズ」
傑作アルバムを締めくくる名曲
10曲目はシングルにもなった「ボーイズ&ガールズ」。
ミドル・テンポでとても落ち着いた演奏です。
その分、後藤正文のボーカルや歌詞がくっきり浮かび上がります。
明日の世界への希望を抱かせる名曲といっていいはずです。
傑作アルバム「ホームタウン」を締めくくるに相応しい曲といえるでしょう。
ボーイズ&ガールズ、人生は始まったばかり!
夕闇が背中から忍び寄って 君を捕まえて
「あの娘がうらやましい」
「アイツが妬ましい」とか こぼして
彼らと馴染めなくても
何かが正しい 僕らに相応しいこと 見つけて
それをギュッと握りしめて
嗚呼 いつか老いぼれてしまっても 捨てずに
新しい 扉を開こうか
We've got nothing
はじまったばかり
We've got nothing
出典: ボーイズ&ガールズ/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh
誰かを羨ましく想い、妬ましく想うネガティブな気持ちを抱えてしまうことは誰にでもあるはず。
それでも自分たちにとって何が大切な価値なのか見極めて生きていこうと歌います。
とりわけ若い人たちの人生はまだまだ始まったばかりです。
この先の社会がどんなものであっても、自分の中の価値観をよく見極めてゆけば結果はよい方向に向かう。
そんな確信を後藤正文が「ボーイズ&ガールズ」に伝えているようです。
2018年9月26日にシングル・カットされたASIAN KUNG-FU GENERATIONの新たなアンセム。
ぜひご覧ください。
まとめ:アルバム「ホームタウン」は紛うことなき傑作アルバム
UKからUS?
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのサウンドの軸がUKオルタナティブ・ロックの影響から脱した印象です。
今作「ホームタウン」ではWeezerのリヴァース・クオモらとの共作がその証拠を示します。
USオルタナティブ・ロックとの共振。
この傾向は前作「Wonder Future」からも窺えましたが、いよいよ本格的になった様子。
それでもASIAN KUNG-FU GENERATIONのアイデンティティは揺らいでいないです。
むしろ強固にブレなくなった印象があります。
日本のオルタナティブ・ロックを牽引するASIAN KUNG-FU GENERATIONが届けてくれた傑作。
それがアルバム「ホームタウン」です。
繰り返しになりますが、その圧巻の重低音に驚きますので必ずヘッドフォン以上の環境で聴いてください。
何よりもこのアルバム「ホームタウン」を皆さんにご紹介できたことを幸せに思います。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。