「いつかまたここで」
「いつかまたここで」は、B'zのベスト盤『B'z The Best "ULTRA Treasure"』に、新録曲として収録されました。
彼ららしい、クールで男らしさを感じられる楽曲ですが、そこには包み込むような優しさも同居しているのです。
今回の記事ではそんな「いつかまたここで」の歌詞の意味を徹底解説していきます。
人生を振り返る
忘れられない光景
知らず知らず 遠くまで
来てしまったよ 旅立った日から
めぐり逢えた 数知れぬ人々の顔
消えない景色
出典: いつかまたここで/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘
「いつかまたここで」の冒頭の歌詞パートがこちらです。
これまでの自分の人生を振り返っているのでしょう。
ここでいう旅立ちの日というのは、自分にとっての起点となった日のことを指していると考えるのが妥当でしょう。
つまり何かを決心して上京したり、信念を持って何かに取り組もうと決意したりした日のこと。
彼の周りではその日から様々な出来事が起こってきました。
そしてそんな出来事に付随して様々な人々との出会いもあった。
その出会いというのは、時に人生において大きな影響を及ぼすことがあります。
ビジネスチャンスだったり、金言となるような言葉を与えてくれたりする人生の先輩。
そして、今ではもう疎遠になってしまったけれど、自分に強い刺激を与えてくれた友人などといった存在です。
過去を振り返ってみてこれまでの人生が長い道のりであったことを感じているのでしょう。
しかし進んできてみるとあっという間。
主人公の頭の中にはいつまで経っても忘れられない特別な光景があるのでしょう。
そして、この楽曲にはもう1つのストーリーが隠されていると考えることもできるのではないでしょうか。
それは、B'zというユニットの歴史についてです。
この楽曲では、ある人間の人生を描いているように見えて実際はバンドとしての人生も描いている。
そう考えることもできるのではないでしょうか。
活動を通して出会ってきた様々な人、そしてミュージシャンだからこそ見えた景色。
そんな場面を回想しながら、感慨に耽っている様子が目に浮かびます。
自分を形成する思い出たち
何ひとつ欠けても 駄目なんだよ
出典: いつかまたここで/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘
今までに数え切れないほどの経験をしてきた主人公。
その中には悲しかった思い出や、辛かった思い出も沢山あることでしょう。
しかしそんなものも含めて、全てが自分自身を形成している。
これはB'zというユニットにとっても同じことです。
自分たちが経験してきた全てのことが今の自分たちを形作っている。
もし今までの経験が1つでも欠けてしまえば今の自分たちとは違った存在になっていたかもしれない。
そんな「もしも」を想像しながら、今まで自分たちが歩んできた道の軌跡を感じているのでしょう。
今を生きる
今という瞬間
今きみと ともにいる この場所が好き
生きてれば 会えるだろう いつかまたここで
いつかまたここで
出典: いつかまたここで/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘
そんな主人公からここでは少し刹那的とも感じられるフレーズが飛び出しています。
1行目の歌詞がそれに当たります。
彼にとって、今というものの比重が大きいことが分かる表現です。
しかしそれは単純に生き急いでいるという訳ではないのでしょう。
瞬間の積み重ねによって、人生というものは徐々に構築されていきます。
主人公はそんな自分の人生を構築してくれた人たちともう1度いつか出会いたいと考えているのです。
それぞれが自分の人生を懸命に生きながら、いつか再会した時にお互いをたたえ合える。
前向きに未来を捉えることの大切さを感じます。
その「再会を誓う場所」とはどこを指しているのでしょう。
それはこの楽曲がベストアルバムに新曲として収録されたことを考えれば自ずと見えてきます。
つまりB'zの2人が大切にしている表現の場を指しているのではないでしょうか。
それは大勢のファンと一体になれるライブ会場。
ライブ会場というのは、自分たちの声や演奏を生で届けられる場でもあります。
自分たちを応援してくれるファンの存在が、いつだって自分たちを元気付けてくれた。
そのことを考えながら、ライブ会場でまたいつかファンと会える日のことを心待ちにしているのでしょう。
後悔をしないために
今日一日を精いっぱい やり遂げるなら
悔いはないだろう
今日の自分を 思い出す時
きれいな涙 流せるように
出典: いつかまたここで/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘
このパートでは稲葉浩志のストイックさが伝わってきます。
ここでも彼は今日という瞬間を見つめているのです。
そして、そんな瞬間に全力で取り組んでいくことの重要性を私たちに教えてくれています。
いつか自分が振り返った時、今日のことで後悔をしないように。
努力した日々を思い出して、自分自身に対してちゃんと感動したいと思っているのです。
ここでは、主人公が自分の人生にどれだけ真摯に向き合っているかが分かります。
私たちは生活の中で、怠惰になってしまいがちです。
しかしこういった志を1つ持つだけで、未来も良い方向へとどんどん変わっていくのかもしれません。