Yea, I was resurrected!
My mind disconnected the feet from the ground, and I passed through the storm after enduring massacre, overtaken by noise and chaos, pathos oozing outta loophole!

出典: Philip/作詞:Yuta Nakano 作曲:Daiki Tsuneta

和訳の文章を見てみましょう。

ついに僕は復活したんだ!

あの嵐を抜け、虐殺に耐え抜き、混沌と共に穴の外へと抜け出すんだ!

出典: Philip/作詞:Yuta Nakano 作曲:Daiki Tsuneta

Stanは、ようやく心の奥に閉じこめていた本当の自分に気がつきます。

子供の頃、「雑種だから」という理由でShalaと一緒にいられなくなった時のあの気持ち……。

大人になるにつれて忘れてしまっていたその感情を思い出し、Shalaに会いたい一心で銃を撃ち続けます。

死の神・ハデスのように殺戮を繰り返し、ついに外へと出て行くStan。

ようやくShalaの待つ家へと辿り着いた……と思ったその瞬間、思いもよらない事態が待っていました。

そう、かつてタッグを組んでいた相棒が自分に銃口を向けていることに気がつくのです。

たくさんの命を奪ってきた自分だからこそ、簡単に幸せになることはできないだろう……。

前々からそう感じていたであろうStanは、ある人物に向けて手紙を用意していました。

そして迎えた終わり

Time to go back now

Hey, morning has broken and roll the drops of dew
The world's all cleaned up

Go Philip as you like
It's all fine

出典: Philip/作詞:Yuta Nakano 作曲:Daiki Tsuneta

和訳はいったいどうなるのでしょうか。

そろそろ昔話は終わりさ

雲が転がるように流れていく、気持ちの良い朝がきた 世界はもう、まっさらになっているさ

赴くままに生きていけ、フィリップ

すべてはうまくいくさ

出典: Philip/作詞:Yuta Nakano 作曲:Daiki Tsuneta

相棒が撃ち込んだ弾丸により、Stanは死んでしまいます

家の中では身重のShalaが、Stanの帰りを待っているのでしょう。

届かないこの想いは、彼女と、やがて生まれてくる子供へと引き継がれていくことを祈るばかりです。

手紙が読まれるのは、彼の死からずっと先の未来

To a big hole in the sky, I flew up at top speed and reached the black space with no ups or downs
Nor was the wind blowing
So I finally dismantles my wings;
It's just an old story

出典: Philip/作詞:Yuta Nakano 作曲:Daiki Tsuneta

こちらも、素敵な意味が込められています。

空の大きな穴に向かって全速力で飛び上がったら、上も下もないような真っ黒な宇宙に辿り着いたんだ

そこは、風すらも吹いていないような場所

ここでやっと、僕は翼を捨てることにしたんだ

古い、古いただの物語さ

出典: Philip/作詞:Yuta Nakano 作曲:Daiki Tsuneta

今の状況について、Stanは「古い物語さ」と表現しているのが印象的です。

つまり、この手紙は今からずっと先の未来で読まれることを想定している、ということ。

読み手にとってはずっと昔のこと、でも忘れて欲しくない、知っておいてほしい出来事なのです。

最後まで読み解いてわかる、「Philip」の意味

「Philip」に対し、「赴くままに生きていけ」と語りかけるStan。

ここまで読めば、「Philip」がStanの子供のことだとわかるでしょう。

物語中ではまだ生まれていなかった「Philip」に向けて、Stanはさまざまな思いを込めていました。

1つは、彼の死後「Philip」が無事に生まれることを祈りながら。

もう1つは、その後も無事に成長し、この手紙を読んでくれることを祈りながら。

「Philip」の生まれる前の世界では、差別が渦巻き、「ノイズの枝」がそこら中にはびこっている状態でした。

そんな差別を打ち砕き、愛を貫いたStanとShalaは、この世界の「光」だったとも言えるでしょう。

その絆と、差別に負けないことの大切さを、Stanは「Philip」に理解してほしかったのではないでしょうか。

残念ながら父親に会うことなく生きることとなってしまった「Philip」。

差別に苦しむことなく、自由に生きてほしいというStanの思いに、締め付けられるような気持ちになります。

「Philip」の原曲はSrv. Vinciの「Stem」