神様が味方につけば
もちろん 何でもできる
すべて 思いのままね
何があっても私の勝ち
失敗はありえないわ
だってシナリオ通り
二人の運命なんて
どうにでも書き直せるわ

出典: 言霊砲/作詞:秋元康 作曲:Ryota Saito,TomoLow

主人公は運命を信じています。神様が味方ならば怖いものはありません。

たとえドジを踏んだり間違えても、彼と恋人になる運命は変わることがないのですから。

ライバルたちに負けるはずがありません。

二人の恋の物語を自由に書きつづって、おとぎ話のお姫様のようなハッピーエンドを迎えられるのです。

雑誌の占いページ
開いて呟く
この恋は必ず
うまく行くはず

出典: 言霊砲/作詞:秋元康 作曲:Ryota Saito,TomoLow

雑誌の占いは恋する乙女にとって非常に気になるポイント

占いの結果が良ければ今日は彼と近づけるかもと心が躍り、悪ければどうしようと落ち込むものです。

今日見た占いはあまり結果が良くなかったのでしょう。

不安にかられる気持ちを乗り越えるように、ポジティブであろうとしています。

この恋は神様が味方してくれている。だから大丈夫。思い通りのハッピーエンドが向かえられるはず。

そう信じ込もうとしているのです。

願うだけでは変わらない

しつこいくらいがいい
言葉にしよう
願うだけじゃ叶わない
彼が(彼が)
好きってことを
(胸の奥に)
しまいこまずに
声に出すんだ

出典: 言霊砲/作詞:秋元康 作曲:Ryota Saito,TomoLow

彼を思う気持ちを胸に秘めているだけでは状況は何も変わりません。

神様に導かれるような彼との出会いを待っていたけれど、それだけではだめなんだ。主人公は気づきます。

彼への想いを言葉にして伝えなくては。そう自分を奮い立たせます。

神様へ頼るような描写が目立っていた主人公の自分から動こうとする気持ちがここではじめて現れるのです。

一歩を踏み出す

神様は誰の味方?
立場 はっきりしてよ
私の味方なら
見えないように応援して…
作戦なんていらない
陰で支えて欲しい
奇跡が起きたように
とびきりの笑顔を見せたい

一人で空を見上げ
ブツブツ言ってる
この想い 届け
言霊になって…

出典: 言霊砲/作詞:秋元康 作曲:Ryota Saito,TomoLow

最後のサビです。

一番のサビと同じですが、Cメロを経たことで少し印象が変わります。

神様に味方をして欲しいという願いは、勇気を出す自分の背中を押して欲しいという意味に変わっています。

難しい駆け引きなどは必要ない。ありのままの言葉だけで、彼へと向かおうという意志を思わせます。

何度も口に出した彼への思いが現実となるように。

主人公は自分を奮い立たせ、言葉を彼へと伝えようとするのです。

言霊が表すものとは

言葉がもつ力

運命へのあこがれゆえに、恋する相手に近づきたいと思いながら一歩前へ踏み出すことができない主人公。

彼女に足りないもの、それは自ら行動する勇気ですね。

それに気づいた主人公は運命を待つのではなく、彼への思いを言葉にすることを決意するのです。

ただ思うことと、実際に言葉にすることの間には大きな差があります。

心の中に思い描くだけでは誰気付くことができません。ですが言葉にして発することで形を持ちます。

形があれば触れることができますし、誰かに届くこともあるかもしれません。

言葉は他人だけでなく自分に対しても効果を持ちます。

「大丈夫だ、やれる。」そんなポジティブな言葉を口にすることで自分の気持ちを高める効果があるのです。

言葉が現実になる。

それは超能力的な不思議な力ではありません。

放った言葉によって奮い立たされた自分自身が、自分の力で望む方向へ進んでゆく。

その結果、望んでいたことが現実になる。これが言霊の正体です。

主人公が何度も呟いた言葉は彼へと向かうだけでなく、自分自身にも効果を発しているのです。

言葉の力に背中を押されて、彼女は前へと進みます。

それは神様でもなんでもない、彼女自身の力によるものです。

そうして起こした行動はきっと言の葉通りの結果を呼び寄せるのではないでしょうか。

言霊の砲撃

タイトルの「言霊砲」は言霊のあとに砲がついています。

鉄砲や大砲を使う砲撃の意味合いでしょう。狙い放つ先はもちろん恋する彼ですね。

砲撃を放った後は大きな音と衝撃があります。砲撃を撃たれた相手は、いやでも放った相手に意識が向きます。

そのくらい大きな衝撃でもって、自分の存在を相手に認識させたい。

相手の心に自分の存在を刻みつけたいという主人公の強い気持ちが表れています。

もちろん主人公が放つのは実際の弾ではなく、言霊です。弾(たま)と言霊(ことだま)の言葉遊びですね。

言霊が言葉通りの力を持つなら、相手に自分を振り向かせるのと同時に放った言葉が現実になります。

それならば、言霊砲は彼と絶対に恋人同士になれる必殺技なのです。

そんな自由でいて少し自分勝手な少女の妄想。

タイトル「言霊砲」にはそんな可愛らしい純粋な願いが詰まっているのです。