ライブ中に起きた些細な出来事です。

自然の変わらない営みがクルマの中から観察されます。

歌詞和訳しながら見ていきましょう。

「窓から風が私を吹き抜けるわ

太陽の光が雨雲全体を突き抜ける

なるようにしかならないものだと私は思う」

風や太陽、そして雨雲などクルマの中にいながらにして自然の移り変わりを感じる瞬間です。

様々な雑念を吹き飛ばしてくれるような自然現象の偉大さに目を啓きます。

人の営みである恋愛にまつわるあれこれが、どこか小さな物事であるかのように感じられたのでしょう。

なるようにしかならない

捨鉢な印象もありますが運命を世界に任せてみる姿勢の顕れなのでしょう。

雨雲を貫いて射し込む日光の神々しさ

こうした情景を目の当たりにすると自分の悩み事は相対的に小さく見えてくるものです。

「虹」を待望する女性

他人がどう思おうとも気にしない

安室奈美恵【Rainbow】歌詞を和訳して徹底解説!昨日よりも強くなれるはず…傷ついているあなたへの画像

I'm breaking out like a shooting star
輝き出す このheart
No matter what they say 今は
I'll be waiting for the rainbow

出典: Rainbow/作詞:Lukas Nathanson Scott Effman Lauren Dyson TIGER 作曲:Lukas Nathanson Scott Effman Lauren Dyson TIGER

サビの歌詞です。

虹を待つと何度も歌う実際の楽曲の魅力を伝えきれるといいのですが。

引き続き和訳しながら見ていきましょう。

「私は流れ星のように一瞬に飛び出す

輝き出す この心

誰が何といおうとも今は関係ないわ

私は虹がかかるのを待っているの」

「break out」は逃げ出す、脱出すると訳す場合もあります。

ただし、夜空に現れて一瞬に消えてゆく流れ星のニュアンスを訳詞に反映させるとこうなるでしょう。

別れ話に関して周囲の人たちが何かいいたてることもあるでしょう。

しかし主人公の女性はそんなことはまるで意に介しません。

すでに前を向いて進んでゆくことを心に決めた人は強いです。

恋愛というものはふたりにしか真実は分からないものでしょう。

そうした分からない事情にくちばしを突っ込む人はあまり信用がならないものです。

自分が相手にしたい人はそうした無責任な人たちではないと考えているのでしょう。

他人からの評価が社会的な地位に関係する社会です。

しかし恋愛などのプライベートな事情にまで土足で踏み込んでくるような輩は端から無視したい。

スキャンダルが取り沙汰された安室奈美恵もリスナー以外からの評価など気にしないのかもしれません。

「虹」とは何の隠喩か

安室奈美恵【Rainbow】歌詞を和訳して徹底解説!昨日よりも強くなれるはず…傷ついているあなたへの画像

この曲の主題である「虹」とは何の隠喩でしょう。

隠喩ではなく直喩として「虹がかかるのを待っている」のかもしれません。

しかし、主人公が待望しているのはそれだけではないはずです。

彼のいない新しい生活でしょうか。

はたまた新しく現れるパートナーとの出逢いでしょうか。

この「Rainbow」の歌詞を読み込むと様々な想像ができます。

もっと高尚な価値のあるものを「虹」と表現しているのではないでしょうか。

この主人公のような新しい女性像が受け入れられるような新時代の幕開けのようなもの。

「虹」のスケールの大きさに合うような、大きな価値観をもつものを待望しているようです。

自然が起こす奇跡の中で「虹」はとりわけ美しいスペクタクルショーでしょう。

「虹」が起こる仕組みを私たち現代人は知っています。

それでも実際の「虹」の美しさにはいつでも目を啓かされるでしょう。

主人公は人生に起こる何か特別な出来事を待望しています。

具体的に「虹」が何を指すのかはリスナーひとりひとりの解釈に任されているのです。

安室奈美恵が何度かリピートするこの箇所にリスナーは希望を見出します。

「虹」とは吉兆の最たるものでしょう

リスナーは主人公の人生がよりよい方向に進んでいると自ずと確信させられるのです。

安室奈美恵しか歌えない

失恋で私たちが得るもの

安室奈美恵【Rainbow】歌詞を和訳して徹底解説!昨日よりも強くなれるはず…傷ついているあなたへの画像

No pain, no gain
振り向かず ただ move on
So let's just move on
It's time to relive

出典: Rainbow/作詞:Lukas Nathanson Scott Effman Lauren Dyson TIGER 作曲:Lukas Nathanson Scott Effman Lauren Dyson TIGER

主人公の女性の強い心情が歌われる箇所です。

「痛みがなければ何も得られない

振り向かず ただ前進するのみ

そうよ前進あるのみだわ

生まれ変わるときよ」

恋に破れた「痛み」も人生の糧にすると歌います。

失恋を経験した人は皆、このラインに同意していただけるはずです。

失恋はしないに越したことはないのですが、この経験が後の人生に役立つ日も来ます。

人として「痛み」が分かることは、他者の不幸に同情できる大切な感情の基礎になるのです。

「move on」は物理的に前進することだけを指すものではありません。

過去に執着せずに未来へと突き進む心模様を表します。

ライブ中に様々な感情が芽生えてきたのでしょう。

クルマを走らせるときの爽快感が主人公の気持ちを鼓舞します。

自分はこの失恋を経て生まれ変われるのではないかと気持ちを切り替えるのです。

本当に強い女性像は安室奈美恵のために用意されたためでしょう。

新しい時代のメンタリティを先取りするような姿勢は彼女でしか表現できません。

雨上がりのドライブ

見慣れた街並みも新鮮に

安室奈美恵【Rainbow】歌詞を和訳して徹底解説!昨日よりも強くなれるはず…傷ついているあなたへの画像

I drove away from the parking lot
飛ばす freeway no rewind
思い出はもう left behind
Wind blowing me through the window
Sun shining through all the rain clouds
I guess it's the way that it goes

出典: Rainbow/作詞:Lukas Nathanson Scott Effman Lauren Dyson TIGER 作曲:Lukas Nathanson Scott Effman Lauren Dyson TIGER

以降の歌詞はリフレインになります。

組み合わせに妙味があるのですが繰り返しになりますので意訳にいたしました。

「私は駐車場から車を走らせ

高速道路を飛ばす 巻き戻しできない恋

思い出はもう 片隅に置いてゆくの

窓から風が私を吹き抜けるわ

太陽光線が雨雲すべてを突き抜ける

なるようにしかならないものね」

3分のわずかな楽曲であります。

楽曲の短さはライブ中の疾走感に由来するのでしょう。

雨が上がる瞬間の街並みをクルマで走ったことが分かると思います。

ドライブというものは固有の幸福感を得られるものです。

都心でクルマを所有できる人は少なくなりましたが、見慣れた街並みも吹く風によって変わって見える

雨上がりに差し込む太陽の光の神々しさ。

すべてが雨に洗い流された後の街並みであることがこの曲では大事なポイントです。

旧い恋を清算する心模様と雨上がりの街並みの風景が絶妙にマッチしています。

再び「虹」について考える