あの国道129号 南へのルート
焼けたアスファルト 空に飛行機雲
ふいにBGMが変わると あの夏の Love song
淡い潮風に寄り添って 蘇る思い出
砂浜座ってた 君は海が大好きだった
僕は夕焼けに染まるその笑顔が大好きだった
今も変わらない波音だけ さらっていく二人の面影
そこにはもう残り香もなく 今年も夏が終わる

出典: ナツミ/作詞:FUNKY MONKEY BABYS 作曲:FUNKY MONKEY BABYS

前述で紹介したうたまっぷインタビューにもあったように、イメージするのは茅ケ崎の海

FUNKY MONKEY BABYSにゆかりのある地で、実際によく行っていたそうです。

彼らの実体験が織り交ざっている本楽曲は、彼らの青春の1ページともいえるのではないでしょうか。

車の窓を全開にして、音楽を鳴らしながら走る車がイメージできますね。

ここでは、彼女と出会い、共に過ごし、そして別れた「あの夏」を思い出しているのでしょう。

今同じように車を走らせ国道129号を進んでいる主人公。

隣には居たはずの彼女がいない、そんな切ない情景が目に浮かぶようです。

車から見える景色すべてに、彼女との想い出が重なり、時の経つ早さを恨めしくさえ感じてしまいます。

そして茅ケ崎の海に着き、海辺を歩く主人公。彼女とはしゃいた日々が思い出されているようです。

未練を感じさせる歌詞からは、彼にとってひと夏の恋で終わらなかったことが分かりますね。

本気で愛した彼は、夏が終わって季節が巡っても、彼女と一緒に居たかったはずです。

しかし、彼らの恋はあの夏で幕を閉じました。

まるで砂に書いた絵を、波がさらっていくようにあっけなく

思い出すのはあの頃の君

いつまでも君が恋しくて

あの線路沿いの並木道 通り過ぎると思い出す
思い出は大事に 閉まってまだここにある
今も移り変わった景色の中 切ない気持ちに僕をまた
去ってく君の後姿 記憶に残ったまま
今頃は何をやっているの? まっすぐ今も笑ってるの?
So 君のクセや君のしぐさ 今でもたまに夢に見るさ
その姿は変わらず眩い 胸がギュッとなって歯がゆい
掛けがえない淡い思い出すら時は自然と解いて

出典: ナツミ/作詞:FUNKY MONKEY BABYS 作曲:FUNKY MONKEY BABYS

先ほどよりも鮮明に、彼女との日々を思い出し切ない気持ちになっています。

思い出といいつつも、彼が願うのはもう一度彼女に会えることでしょう。

3行目の表現から、夏が終わり季節は秋へと移り変わっていることがわかります。

もしかしたら何度めかの秋を迎えているのかもしれません。

2人でよく通った場所に行く度に、自然と思い出すのは愛した彼女のことなのです。

そして4行目から伝わってくるのは、2人の別れ

主人公からではなく、彼女から去っていったことが綴られています。

なぜ彼は止めることができなかったのでしょうか?

それは、「刹那的な恋」と分かっていたからにほかなりません。

本気になったのは自分だけだったと悟り、引き止めることすらできなかったのでしょう。

だからこそ、こんなにも未練を残し、夏が来るたびに思い出してしまうのです。

別れの時の彼女の姿は忘れたくても忘れられない記憶として残ってしまいました。

楽しかった日々は段々と記憶から薄れてしまうのに、恋しさだけは募るばかり

そんな切ない男心が伝わってくるようです。

その景色を今は1人で見ている主人公

いつの日かの海岸線 二人笑ったり泣いたり Oh Oh
重ねた手の温もりが忘れられない
季節が巡った今も まだ大好きだった darlin' でも
波が記憶さらってゆく ため息が 悲しいね

出典: ナツミ/作詞:FUNKY MONKEY BABYS 作曲:FUNKY MONKEY BABYS

2人はひと夏の間に、何度も海にきたのでしょう。

海岸線で色んなことを語り合ったのかもしれません。

時にはおしゃべりをして、時にはただ手を握るだけ。

そんな、何にもとらわれない自由な恋愛だったことがうかがえます。

それでもまた、彼女のいない夏がきて、終わっていくのです。

巡っていく季節の中で、徐々に薄れゆく彼女との想い出

忘れるつもりなど毛頭なくて、もう一度会いたいとさえ思っていたはずなのに…

記憶は段々とあいまいになり、そのうち「いい思い出だった」で済んでしまう時がくるのでしょうか。

最終行の「ため息」からはそんな悲しい気持ちが伝わってきます。

夏が来るたび君を恋しく思う

失いたくなかったけれど

あの日の Summer of love(笑顔のまま)
無くした Summer of love
あの日の Summer of love(夏の彼方)
無くした もう戻らない
今さらでも君のこと恋しくて
暮れてく渚に後姿 追い掛けた 追い掛けた 追い掛けた

出典: ナツミ/作詞:FUNKY MONKEY BABYS 作曲:FUNKY MONKEY BABYS

ここでは、敢えて終わった恋とは言いません。

無くしてしまったという表現から感じるのは、「失いたくなかったのに」という本音です。

ファンキー加藤さんはインタビューの中で振られたのか振ったのかは不明といっていました。

確かに、何かワケがあって、不本意だったけど主人公が振ってしまった、とも考えられます。

それは相手に対する優しさだった場合も考えられるのではないでしょうか。

恋の終わり方を不確かにすることで、私たちリスナーが自由に感情移入できるかもしれません。

好きだけど別れなければならないという辛い恋愛は確かに存在します。

それらを経験している方なら、主人公の気持ちにも共感できるのではないでしょうか。

こんな終わり方だからこそ、いつまでも忘れられず、思い出の一言で片づけることができません。

もう戻ることはないとわかっているのに、恋しくて胸が苦しくなる程の愛情。

主人公にとって「あの夏」は、これまでのどの夏とも比べられない夏だったのでしょう。

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回はFUNKY MONKEY BABYSの【ナツミ】の歌詞解釈をお届けしてきました。

ひと夏の恋にふさわしい情熱的な愛を描いた1曲は、実は終わった恋を忘れられない失恋ソングでした。

季節がどれだけ巡っても、夏が来るたびに思い出すほどの恋愛

ハッピーエンドにならないのは残念ですが、こんな刹那的な恋愛があってもいいのかもしれません。

夏のドライブにぴったりの1曲だったのではないでしょうか。

近しい実体験をしている方にはちょっぴり切ない1曲かもしれませんね。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました!

失恋ソングもいいですが、FUNKY MONKEY BABYSの他の楽曲もぜひチェックしてみてくださいね。