迷えるアラフォー女性に寄り添う名曲
2008年の大人気TVドラマ「Around40 〜注文の多いオンナたち〜」。
アラフォー女性ならではの苦悩や自己肯定感・自己否定感をリアルに描き出し、同世代の女性に支持されました。
そのテーマソングとなったのが、この「幸せのものさし」という曲。
竹内まりやさんといえば、リアルな本音を歌詞に綴ることで世の女性の共感を得るアーティスト。
気取りのないまっすぐな歌詞が心に刺さります。
日常の隙間にふと影を落とす、アラフォー女性の不安な気持ち。
その複雑な感情を丸ごと受け入れ包み込んでくれる温かい歌です。
<私は私のままで素敵>
そう思い込もうとするほど、かえって不安に陥りやすいアラフォー世代。
ありのままを認める怖さ、難しさをしのばせつつ、それでも歩いていく。
「幸せのものさし」は試行錯誤しながらもしなやかに生きる女性へのエールです。
さて、この歌詞から読み取れる女性の自己否定感とは?
さっそく紐解いていきたいと思います。
アラフォー女性の「幸せのものさし」とは?歌詞考察
Count what you have now, don't count what you don't have
出典: 幸せのものさし/作詞:竹内まりや 作曲:竹内まりや
「今持っているものを数えて、持っていないものは数えない」
この英語の部分はアラフォー女性だけでなくどの世代にも当てはまる教訓です。
いつも人は自分と誰かとを比較します。
本当は自分だけの幸せ、生き方だけを見つめていればいいのです。
なのに満たされず、つい同世代の人に目が行ってしまう…。
人はいつもいつも横並びでなくてもいい筈です。
ですが同調圧力を意識しやすい人ほど横並び重視になりやすい。
そして“人並み”からはみ出してしまう自分を卑下してしまう…。
アラフォー女性はとくに、このあたりの差にシビアです。
「私だって素敵な生き方をしている筈。
でもやっぱりあの人のほうが満たされている気がする」
そんなふうに自分の立ち位置を確かめ、また不安になるのです。
<そんなに比較ばかりで生きていたら行き詰まりますよ>
竹内まりやさんの静かなメッセージがこの英語の歌詞に表れています。
ふと自分を振り返って…
がんばりすぎる自分に 疲れてふと泣けてきた
真夜中のバスルームで
まだ手にしたことのない 幸せがどこかにある気がして
焦るのは年のせい?
出典: 幸せのものさし/作詞:竹内まりや 作曲:竹内まりや
気の緩むひとりのバスタイム。
張り詰めていた日中から一転、自分自身のことを振り返る時間です。
思い出すのはその日あったことだけではありません。
連なるように思い出される過去たち…。
「私のしてきた選択はどこかで間違っていたのかも…?」
気が付けばレールを外れているような気がする。
同世代のあの人ともあの人とも、私はズレている気がする…。
なぜか精神的にくたびれ果てている自分に気がつく瞬間です。
過去の選択が間違っていたように感じられ始めて辛くなります。
「あの時ああしておけばよかった?」
「もっと違う現在があったのではないか?」
そう自問しているうちになぜか涙があふれてきます。
お風呂って自分の本当の気持ちと対峙する大切なひとときです。
暮らしそのものに不満はない。
生活も満ち足りていて思い通りです。
「なのにこの不安定さはなんだろう?気持ちが揺らぐ」
人は誰も疲れているとこんな思考に陥りますね。
女性の“岐路”と“年齢”
ひとり楽しく生きてきたの 何ひとつ悔やんでないけど
曇った鏡のように 明日が見えない
出典: 幸せのものさし/作詞:竹内まりや 作曲:竹内まりや
女性の人生は年齢を無視して進むことはできません。
なぜなら“女性の岐路”というのは年齢にまつわるものが多いからです。
ですので、ひとつ手にすればひとつ手放さねばならないこともあります。
ここが男性と異なる女性ならではの悩みどころ。
この歌の主人公の女性はひとりで生きているようです。
周囲は結婚したり子供を授かったり、自分とは違う形の幸せを謳歌しています。
「でも私も幸せなの。これが私流の幸せ」
そう自分に言い聞かせつつ「でも、本当に…?」とも思ってしまう。
アラフォー世代をひとりで生き抜く女性にとってはよく理解できる感情です。
竹内まりやさんらしい2行目の歌詞の表現が胸を打ちますね。
孤独=自由な幸せ?
(Can't you see? Can't you see?)
自由と孤独はふたつでセット 気ままなほど寂しさもついてくる
(Don't you know? Don't you know?)
隣の芝生が青く見えたら この庭に花を植えればいい
出典: 幸せのものさし/作詞:竹内まりや 作曲:竹内まりや
「今のままであなたは十分に幸せ。
それが見えているかな?分かっているかな?」
竹内まりやさんの語りかけ部分です。
同じ女性ならではの優しい視点。
竹内まりやさんにもアラフォーの悩める時代があった筈です。
そのときの自分にも語り掛けるかのような温かさですね。
「自分で選び取った孤独。その分今自由を謳歌できているのよ」
「自分の世界だけを大事に見つめていけばいいのよ」
そんなメッセージが読みとれる歌詞です。
勝ち負けや比較からは決して得ることのできない自分だけの幸せ。
それはとても穏やかで静かなもの。
他人に見せるための幸福って、いつかは虚しくなるものです…。