言葉を表現する力や理解力を失っていく世代のことを嘆いているようです。
世の中を占領していくPCや便利な機械は私達の脳を徐々に壊していきます。
人は一度便利なものや楽なことを知ってしまうと時間を遡ることはしません。
そこに目をつけることは大きなビジネスチャンスです。
時代遅れを「ダサい」と笑い民衆をコントロールしていくのです。
そこに相乗効果が生まれます。
簡単に手に入り、見た目の良いものは毒のあるものが多いですね。
バブル期には環境ホルモンという言葉も流行りました。
住宅建材などに多く使われた接着剤は防腐剤と同じ材料でできています。
体内に大量に入ることでアレルギーなどを引き起こすので一時問題になりました。
裕福で便利な暮らしと引き換えに蝕んでいくものがあったことを示しています。
化学物質に覆われたハイソな高層ビルの中では億万の金が飛び交ったのです。
無知
「蒙昧(もうまい)」の文字は書けねど 未来は廉価
なべて迷信と笑え因果のストーリ
出典: Parade/作詞:平沢進 作曲:平沢進
「難しい漢字など書けなくても」というのは、「人としての礼節や教養などなくても」ということです。
そのようなものなどなくても成功は保証されているという人達。
他人の忠告など議論にもならないようです。
根拠のない自信はどこからやってくるのでしょうか。
彼らには何をいっても無駄だと批判的です。
笑いたい奴は笑うがいい。
いずれツケは回ってくるのだとほのめかしています。
怨念
さあ異臭を放ち来る キミの影を喰い
恐怖のパレードが来るキミの名の下に
出典: Parade/作詞:平沢進 作曲:平沢進
さあついにあの大行進はやって来ます。
「キミ」の側にも未知なる恐怖が…。
不敵な笑みを浮かべやって来るのです。
危険を知らせる匂いの中で無意識を食い散らかす怪物たちがやって来ます。
ここから始まる戦いがこの物語の主題となるフロイトVSユングです。
夢を個人の無意識の廃棄物と捉えているのがフロイトだとします。
そして集団的無意識の中に現れる「影」はユングの捉え方です。
この集団的無意識というのは皆が持つ共通する夢のようなものですね。
いわゆるシンクロニシティーです。
両者の戦いの行方も気になります。
迷走
轟音のMC シビリアンには致死量
廃人や売るダイヤや血に堕ちた道理の通り
あれがリバティ ユートピアのパロディ
頼みはSSRI さて流行のテラスでハイホー
出典: Parade/作詞:平沢進 作曲:平沢進
この行進を指揮する者達の牽制(けんせい)や威力は想像を絶する強さです。
特殊な訓練を受けていない一般市民達にとっては耐えられるものではありません。
栄華を身にまとい堕ちて行った者たちの怨念や未練がこの大通りを埋め尽くします。
これが彼らが望んだ自由と理想郷だったのかと問いかけているようですね。
睡眠薬(抗うつ剤)だけが救いなのです。
夜景を見ながらグラスを傾け語った夢物語は今も何処かにあるのでしょうか。
喪失
マイナーな説はたわごと 享楽は廉価
努々(ゆめゆめ)省みるな 手遅れゆえ
出典: Parade/作詞:平沢進 作曲:平沢進
真面目な話なんて周りがしらけるだけだ。
みせかけだけのオシャレな遊びだけで十分なはずだっただろう。
この先どうなろうと二度と振り返るな。
後悔してももう遅いと威圧的に迫っているようですね。
狂乱
さあ異臭を放ち来る キミの影を喰い
恐怖のパレードが来る キミの名の下に
さあ地を埋めつくすほどキミの影が産む
狂気のパレードが来る キミの名の下に
出典: Parade/作詞:平沢進 作曲:平沢進
街を覆いつくすものの正体はいったい何だったのでしょうか。
満たされなかった欲望。
取り戻せない愛。
果たせなかった希望。
解決できなかった憎悪。
失敗した計画、等々数えきれない夢の集合体になります。
すでに機能しなくなった夢は不用品です。
回りを覆いつくすほど大きくなった怪物は自ら破裂してしまうものもあります。
そして様々な夢の落ち武者達があらゆる者に姿を変えて襲って来るのです。
その情景の中、狂い死ぬ者や果敢に戦う者もいます。
この収束は一体いつになるのでしょうか?