人間の醜さに対する嫌悪感
「ケッペキショウ」とは
「ケッペキショウ」とは、有名ボカロP「すこっぷ」によって作られたGUMIオリジナル楽曲です。
通常「潔癖症」と聞いた際、物理的な不潔さを嫌悪するさまを連想するかと思います。
ですが「ケッペキショウ」で嫌悪の対象となっているのは、人間の醜悪な性根についてでした。
目を背けたくなるような現実をえぐり出すさまは、まさに圧巻の一言です。
作りこまれたPVとあわせてご覧ください。
自己中心的すぎて気持ち悪い
いらない 汚い 感情なんてもう
いらない 嫌な 思いなんて
人は 誰も 幸せとか
求めすぎて こんな汚い
出典: ケッペキショウ/作詞:すこっぷ 作曲:すこっぷ
人間とは自分の幸せのために他者を利用したり、反対に蹴落としたりできる生き物です。
この歌詞はそんな人間の醜悪さに対する嫌悪感を表していました。
この歌の主人公は、そういった人間の醜さに何度も不快な思いをさせられてきたようです。
具体的にどのようなことが苦痛だったのでしょうか。
正しく生きたいのに
すさまじい同調圧力
「人それぞれ」と言うくせして
価値観 快感 分かち合って
都合悪くなれば今度は
「人はみな」どーのこーのって言うんだ
出典: ケッペキショウ/作詞:すこっぷ 作曲:すこっぷ
社会とは往々にして本音と建前を使い分けています。
「たとえ異なる考え方だったとしても、お互いを尊重し合いましょう」という建前。
ですが本音では、そんなことを認めるつもりはまったくありません。
社会にとって正しいこととは常に1つしかなく、それに反する人間は間違っていると糾弾されます。
「お互い尊重し合おうと言っていたのに…」という反論は許されませんでした。
反論しようものなら、「人としてこうするのが当然でしょう」と上から押さえつけられるだけです。
このフレーズは、そんな矛盾した社会への反感を表していました。
それじゃ ちゃんと 教科書でも
作り ちゃんと 定義してよ
人のあるべき生き方 とか
清く正しい男女関係
出典: ケッペキショウ/作詞:すこっぷ 作曲:すこっぷ
建前と矛盾する本音や、同調するようにという圧力は耐え難い苦痛でしかありませんでした。
この歌の主人公は、そんな社会における暗黙の了解に対して大きな声で批判しています。
ですが、何度批判しても上から押さえつけられるばかりなのでしょう。
ただの恋愛ごっこ
そうさ僕ら寂しいって言葉吐いては
分かり合えたフリしてるだけで本当は
満たされることを愛と勘違いして
何も分かっちゃいないな
出典: ケッペキショウ/作詞:すこっぷ 作曲:すこっぷ
現代では、誰もがなんらかの不安を抱えています。
自分の不安を埋めるためだけに他者を利用するさまは、醜悪というよりほかにないでしょう。
ですが、そんな風に傷を舐め合うことを「愛」と呼ぶのが暗黙の了解となっていました。
この歌詞はそんな醜い行動を自分も無意識にしてしまっていることを表しています。