『Happier』
今回Ed Sheeran(エド・シーラン)の名曲の中から取り上げたいのは『Happier』です。
世界中でもっとも再生されたアルバム『÷(ディバイド)』。
その中でもっともセンチメンタルで泣ける楽曲、それが『Happier』なのです。
MVを手掛けたEmil Nava(エイミル・ナヴァ)
2019年現在も再生数が伸び続ける『Happier』のMVには彼の紡ぐストーリーが端的に語られています。
“happier”とは“happy”の比較級で“~より幸せ”という意味。
エド・シーランがなぜ『Happier』というタイトルを付けたのか?
それはMVのストーリーで何となく予想がつきます...。
『Sing feat.Pharrell Williams』でも登場するエド・シーランを模した風刺漫画風パペット。
同じくEmil Nava(エイミル・ナヴァ)が監督を手掛けています。
ストーリーを忠実に描いているだけにズシンと心に残る映像作品です。
アルバム『÷(ディバイド)』に収録!
自身のルーツと正面から向き合った作品集
前述しましたように『Happier』は2017年のアルバム『÷(ディバイド)』に収録されています。
この作品はエド・シーランが世界中を巡ることで自身のルーツと向き合った作品として有名です。
エド・シーランのルーツとはすなわち祖父の故郷であるアイルランド。
アイルランドは苦難の歴史を持つ土地として知られており、伝統を重んじる風習が根強く残っています。
特にフィドルやバグパイプを用いたケルト音楽はここ日本にも愛好家が多数存在するほどです。
今回紹介する『Happier』もどこか郷愁を誘うメロディーに彼のルーツを感じずにはいられません。
今日、君を見かけたんだ...
偶然見かけた元カノ
Walking down 29th and park
I saw you in another's arms
Only a month we've been apart
You look happier
出典: Happier/作詞:RYAN B TEDDER, BEN LEVIN, EDWARD CHRISTOPHER SHEERAN 作曲:RYAN B TEDDER, BEN LEVIN, EDWARD CHRISTOPHER SHEERAN
エド・シーランが語るには『Happier』は若き日の苦い初恋の思い出を歌にしたそうです。
物語はある日唐突に始まります。
いつもの街並みを歩いていた主人公は偶然にも元カノの姿を目にするのです。
以前なら自分が並んでいた彼女の隣には別の男性の姿が...。
“パーク・アヴェニューの29番ストリートを歩いていた
僕は見てしまったんだ 君が他の誰かの腕の中にいるところを
僕らが分かれてまだ1か月しか経っていないのに
君は以前より幸せそうに見えたんだ”
パーク・アヴェニューの29番ストリートとはマンハッタンに実在する通りです。
偶然見かけてしまった元カノの姿に主人公は愕然とします。
彼女は傍目から見ても『Happier』、つまり以前よりも幸せに満ちた表情をしていたのです。
おそらく主人公は声をかけるどころではなく姿を隠しそっと覗き見ていたのでしょう。
僕の記憶の何倍も楽しそうな笑顔
Saw you walk inside a bar
He said something to make you laugh
I saw that both your smiles were twice as wide as ours
Yeah you look happier, you do
出典: Happier/作詞:RYAN B TEDDER, BEN LEVIN, EDWARD CHRISTOPHER SHEERAN 作曲:RYAN B TEDDER, BEN LEVIN, EDWARD CHRISTOPHER SHEERAN
以下の和訳には多少の意訳をしています。
“君はBarに入っていったね
隣にいる彼は何かを囁き、君を笑わせていたんだ
君の笑顔は僕と一緒にいた頃より何倍も楽しそうに見えた
ああ、君は以前より幸せに見えたんだ、そうだよね”
今カレの軽いジョークで楽しそうに笑う君。
2人は何か他愛のない会話を楽しんでいただけかもしれません。
その時、主人公の目に映ったのは元カノの見たことのない輝かしい笑顔です。
別れて1か月しか経過していないとはいえ人の記憶は曖昧なもの。
別れた直後だからこそ素直な目で見ることができなかった可能性もあります。
しかしその笑顔が眩しすぎて主人公は幸せな頃の記憶を思い出してしまったのです。