「この曲だからこそ」が詰め込まれた作品

2ndデジタルシングル「Peek a boo」

2ndデジタルシングル「Peek a boo」は2020年12月16日に配信リリースされました。

作詞はano自らが手掛けています。

1stシングル「デリート」と同じように「試しでやってみよう」という気持ちで作られたということです。

音楽観や歌詞のテイストはこの先リリースする曲とは変わるかもしれないとの話もあります。

つまり「この曲だからこそ」が詰め込まれた刹那的な作品に仕上がっているといえるでしょう。

「Peek a boo」に込められた想い

ano自身は普通のことを普通にすることが苦手だという話があります。

クレジットカードを何回も紛失してしまったり免許を何十回と受けに行ったりするなどが明かされていました。

anoにとっては「普通のことを普通にする」が理想なのでしょう。

生きづらさを感じているからこそ、多くの人を救えるのかもしれません。

ポジティブなアーティストではないからこそ、希望や王道から外れた楽曲を産み出せます。

それがポジティブになれない人に深く刺さりファンを増やしているといえるでしょう。

「Peek a boo」にも生きづらさやその苦悩が込められています。

はじめから漂う不穏な空気感

楽曲のタイトルである「Peek a boo」とは「いないいないばー」という意味です。

誰にでも馴染み深い遊びを使って自身の感情を描き出していることに遊び心を感じました。

「いないいないばー」は、隠れていた顔を出すことで笑いを誘う楽しさがあります。

子供の頃に、親と遊んだ記憶がある方もいらっしゃるでのはないでしょうか。

しかし歌詞を紐解いていくと、幼い頃の遊びとは違った妙な違和感が見えてくるのです。

ではさっそく歌詞を解釈していきましょう。

自分の居場所がない

一人になると聞こえてくるんだ
寂しいとか虚しいって
ぼくの居場所なんてないないないな

出典: Peek a boo /作詞:あの 作曲:TAKU INOUE

一人になると聞こえてくるということは、主人公には普段一人ではない時間があることが分かります。

誰しも大勢でいたときのことを思い出して「一人は寂しい」「一人は虚しい」と思うこともあるでしょう。

歌詞を書いたano自身もアイドルを辞めた時やライブができなくなった時は一人だったのかもしれません。

一人きりで寂しさや虚しさを実感していると、まるで自分の居場所なんかないように感じるでしょう。

歌詞からは自分の居場所がないことに失望している様子がうかがえます。

一人きりで寂しさや虚しさを感じることは、とても辛いことです。

明日はないという悲観

バイバイ
此処だと見えてくるんだ
お先真っ暗じゃない?
ぼくたちに明日はないないないないな

出典: Peek a boo /作詞:あの 作曲:TAKU INOUE

非常に悲観的な歌詞で不穏な空気が漂っています。

バイバイということから別れが連想されるでしょう。

主人公が別れを告げているのは何に対してなのでしょうか。

「此処」がどこなのかは明記されていません。

しかし主人公が現実に絶望していることから、幸福感溢れる明るく楽しい場所ではないでしょう。

お先が真っ暗だということが実感できるという悲壮感が漂っています。

「ぼく」が複数形になっていることから、生きづらさを感じている人の心情を歌っているのでしょう。

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