ミリオンを記録した「愛の言霊」とは?
サザンオールスターズ(以下サザン)は、年代問わず人気のある国民的バンドですね。
私自身、親が聴いていたのでハマってしまったという経歴があります。
今回ご紹介する楽曲「愛の言霊~Spiritual Message~」はサザンがミリオンセラーを記録した曲の1つ。
累計140万枚近くの売り上げを記録した「愛の言霊~Spiritual Message~」はどのような曲だったのでしょうか?
早速見ていきましょう!
「愛の言霊」は37thシングル
「愛の言霊~Spiritual Message~」は1996年5月にサザンの37枚目のシングルとしてリリースされました。
当時は8センチCDでリリース。現代のような正方形のサイズではなく、長方形だったんですよね。
「愛の言霊」はカセット盤とレコード盤も発売されていました。
当時、カセットからCDへと移り変わる過渡期だったことを感じます。
現在は、お馴染みの12センチCDとダウンロード盤も発売されています。
「愛の言霊」のMVの存在は確認できませんでしたが、鎌倉・建長寺で開催されたライブの模様が『ベストヒットUSAS (Ultra Southern All Stars)』に収録されています。
お寺という場所で妖しくも雰囲気抜群な映像となっていますから、ぜひ一度鑑賞してみてくださいね。
ドラマ『透明人間』の主題歌だった
「愛の言霊」には2つのタイアップが付きました。
1つはauの『LISTEN MOBILE SERVICE』キャンペーン、もう1つがドラマ『透明人間』の主題歌です。
特に平均視聴率18.2%を記録したドラマは好評で、ドラマから「愛の言霊」を知ったという人も少なくありませんでした。
1996年上半期に放送されたこのドラマでは、元・SMAPの香取慎吾さんが主人公・長谷川半蔵を演じました。
透明人間になれるようになった青年が事件を解決していくストーリーをコメディタッチで描いていますが、後半にはシリアスな展開も。
残念ながらVHSのみでレンタル・発売となっており、多くの人からDVD化が望まれている作品です。
造語多数?!「愛の言霊」の歌詞を解釈
「愛の言霊」の作詞者で、サザンのボーカルでもある桑田佳祐さんは、韻や言葉のリズムを重視して作詞することで知られています。
そのためファンの中には「歌詞に一定の意味はない」と考える人も。
確かにサザンの曲は、かっちりとイメージを固めると聴きごたえが無くなってしまう曲も少なくありません。
とはいえ「愛の言霊」の場合、桑田さんが何のメッセージも込めていないと考えるのは、やや暴論かもしれません。
ここでは本曲に込められたメッセージ性に焦点を当てて、歌詞を解釈していこうと思います。
地球にとっては単なる<挿話>
※生まれく叙情詩とは 蒼き星の挿話
夏の旋律とは 愛の言霊※
※繰り返し※
出典: 愛の言霊~Spiritual Message~/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐
本曲の歌詞では<叙情詩>を「セリフ」と読ませています。
そもそも<叙情詩>とは詩の分野の1つであり、語り手の主観的な感情を詠ったもの。
続く<蒼き星>では、私たちの住む星・地球が連想されます。
<挿話>とは、物語の本編とは直接関係のないエピソードのこと。
<旋律>は「しらべ」と読ませていますね。これはどちらも「メロディー」という意味です。
「夏のしらべ」というと、盆踊りなどで流れる音頭が連想されますね。
<言霊>というのは、言葉に宿る魂や霊力のこと。
言葉には霊力があるとされており、言葉に出すことが現実になるという思想がありました。
そこで、本曲のサビは
人から生まれる台詞というのは<叙情詩>とも言うべき強い感情の表れ。
何十億年も生きてきた地球にとっては短い<挿話>に過ぎない。
とはいえ、夏のしらべは人類にとって愛の言霊と生り得るのだろう。
といったニュアンスで歌われているのではないでしょうか。
侘びしさと希望が混在
宴はヤーレンソーラン
呑めど What Cha Cha
閻魔堂は 闇や 宵や宵や
新盆にゃ丸い丸い月も酔っちゃって
由比ヶ浜 鍵屋 たまや
童っぱラッパ 忘れ得ぬ父よ母よ
浮き世の侘しさよ
童っぱラッパ 名も無い花のために
カゴメやカゴメ 時間よ止まれ
エンヤコーラ!!
※繰り返し ×2※
出典: 愛の言霊~Spiritual Message~/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐
サビの歌詞からも感じられるとおり、本曲は全体を通して「日本のお盆」を感じざるを得ません。
日本のお盆は、先祖の霊を慰めるものであり、飲めや歌えやの祭りでもあります。
<鍵屋 たまや>というのは江戸時代の二大花火師の名称。花火が上がったときの掛け声でもありました。
最近はあまり見ませんが、花火を見て「たーまやー」と掛け声を上げる人がいますね。
江戸時代には、鍵屋とたまや(玉屋)という二大花火師が花火の競演を行っていたため、それを煽り盛り上げるのにこの掛け声が使われていたのです。
この花火も夏祭りの風物詩ですね。
ただ楽しく歌い騒ぐのではなく<父>や<母>へ思いを馳せたり、<侘びしさ>を感じたりするのも日本のお盆ならではと感じます。