Just one day out of life
It would be, it would be so nice
出典: ホリデイ/作詞:Curtis Hudson Lisa Stevens 作曲:Curtis Hudson Lisa Stevens
「その日一日だけ生活から離れよう
それはきっと、とても素晴らしい日になるはず」
休日によって私たちは英気を養います。
リフレッシュすることでまた労働の現場に戻ってゆけるのです。
マドンナは休日をそれ以上に素晴らしいことに使いたいと願いました。
もう普段の暮らしから解放されて最高の一日にしたいと歌います。
労働の楔というものが私たちをがんじがらめにしている。
休日も仕事のことを考えながら過ごすのは当たり前のことです。
マドンナはそうした休日の過ごし方を嫌います。
この日だけは本当の人間らしくいたいでしょうと私たちを誘うのです。
好きなだけ寝て、好きなだけ食べて、適度な運動をする。
さらに日常では考えられないようなことを楽しみたい。
なぜってこれが本当の休日の過ごし方だから。
いざ休みの日になると何をしていいのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。
そうした生き方が如何に人間らしくないのかということをマドンナは問うているのです。
「ホリデイ」は歌詞のように楽しめたらいいのですが、そうしたことすら難しく思える。
現代の日本社会も仕事人間じゃないと弾かれます。
しかし1983年の日本はもっとブラックな労働が当たり前の世界でした。
欧米社会から日本人は「エコノミック・アニマル」という蔑称で呼ばれていました。
マドンナの「ホリデイ」を大切にしてという問いかけは日本社会にこそ切実に響いたかもしれません。
休日は必要だからある
ようやく1番の歌詞が始まります。
休日を全員で祝おうとする心意気が覗けるのです。
国境を超えて世界中へ
Everybody spread the word
We're gonna have a celebration
All across the world
In every nation
出典: ホリデイ/作詞:Curtis Hudson Lisa Stevens 作曲:Curtis Hudson Lisa Stevens
「誰もがその言葉を拡散して
私たちは祭典の日にする
世界中を横断して
あらゆる国で」
その言葉とは「ホリデイ」。
休日であり聖なる日です。
太古の昔に神から授かったのが休日でありました。
しかし現代の休日は労働者自身が獲得してゆきます。
また資本家にとっても労働者を酷使することが生産性を下げることに繋がると認識されました。
資本家も労働者も双方の利益になるのが休日だと考えられるようになります。
政府が祝日を増やすのは労働者のための政策です。
社会を持続させるためには休日がどうしても必要なのでしょう。
世界ではまだまだ初期の資本主義のような過酷な社会がたくさんあります。
そうした社会を改良するのに一番必要なのは「ホリデイ」なのです。
「ホリデイ」を世界中に拡散することが正義に叶います。
私たちはもっと堂々と休んで人生を楽しみましょう。
プレッシャーを解放して
It's time for the good times
Forget about the bad times, oh yeah
One day to come together to release the pressure
We need a holiday
出典: ホリデイ/作詞:Curtis Hudson Lisa Stevens 作曲:Curtis Hudson Lisa Stevens
「楽しい時間になる
嫌な日々は忘れなさい
プレッシャーを解き放つために一緒に集まる日
私たちには休日が必要なの」
「good times」「bad times」の対比は原詩の方で確認してください。
せっかくの休日に悲しい思いをすることこそ虚しいものはない。
せっかくの休日を虚しく過ごすことほど悲しいものはありません。
日々の重圧は私たちを圧し潰します。
そうした苦痛から逃れるために私たちは休息を取るのです。
太古から人間にとって不可欠のものとして休日は存在します。
「旧約聖書」の世界創造の最後は休息の日で終わるのです。
カレンダーの日付が無意味になる暮らしは人心を荒廃させるでしょう。
荒んだ気持ちで生きていると健康にもよくありません。
労働者が消耗品だった初期の資本主義社会では様々な健康被害が生まれました。
平均寿命は現在と比べると異常に感じるほどに短かったです。
私たちが社会を持続発展させるためにも休日が必要でしょう。
何よりも主体的に労働者が休息の権利を訴えてゆくべきだとマドンナは考えています。
生活を再生産するために
マドンナの想いとは
You can turn this world around
And bring back all of those happy days
Put your troubles down
It's time to celebrate
出典: ホリデイ/作詞:Curtis Hudson Lisa Stevens 作曲:Curtis Hudson Lisa Stevens
「あなたはこの世界を回転させることができるの
そうして幸せな日々を取り返せるわ
あなたのトラブルは脇に置きなさい
今は祭典のときよ」
マドンナは労働者ひとりひとりに語りかけるように歌います。
自分の力をもっと信じて欲しいという想いを抱いているようです。
人間にとって本来的な暮らしというものはもっと穏やかだったはず。
文明が未熟だった頃の方が幸せであったこともあるでしょう。
社会の生産力を高めるために労働者が現場に送り込まれます。
就学児童であっても労働力と見做されていた時代もあったのです。
少年少女でさえ過酷な労働に駆り出される社会。
成人男女に至ってはもっと酷い暮らしが待っていました。
初期の資本主義社会は本当にグロテスクな世界。
カール・マルクスの「資本論」はそのことを鮮明に描いているルポルタージュでもあります。
彼が起こした社会運動が花開いて労働者の意識も向上しました。
やっと手に入れた休息なのだから祭典の日のようにお祝いしましょう。
マドンナのような自由人がこうした視点を持ちえたのが謎です。
下積み時代は相当な辛酸を嘗めた苦労人であるマドンナ。
「ホリデイ」は提供された曲ではありますが、歌おうと決めたのはマドンナでしょう。
休息の必要を実感していたマドンナ。
スターになるためにがむしゃらだった日々の中でも休日は大切だと想ったのかもしれません。