「生きる」とは

ザ・クロマニヨンズは2006年に日本のメジャーシーンに登場してから、数々の楽曲を世に送り出しています。

ストレートな歌詞と力強いメッセージ。

心に直接訴えかけるようなパワフルな歌声は一度聴いたら耳から離れなくなります。

彼らが2018年にリリースした「生きる」という楽曲

大ヒットしたドラマ主題歌であったこともあり、誰もが一度は耳にしたのではないでしょうか。

一人の探検家に寄り添った歌詞と、ストレートでありながら奥深いフレーズが特徴的です。

作詞作曲はボーカリストの甲本ヒロト。彼はこの歌でどんなメッセージを伝えようとしたのでしょう。

「生きる」の歌詞の意味を深く掘り下げながら、込められたメッセージに迫っていきたいと思います。

一人の旅人の姿

旅人の目的

黄土色の サファリルック
中南米あたりの探検家
捕虫網と虫眼鏡とカメラ

探しものが あるのではなく
出会うものすべてを 待っていた
見たいものと 見せたいものばかり

出典: 生きる/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト

まず最初に登場するのは一人の探検家です。中南米あたり、と言っているので旅の舞台は地球ですね。

持ち物からみるに、珍しい昆虫を探しているのでしょうか。

そう思って聴いていると、次の歌詞で探しものがあるわけではないと言っています。

どうやら昆虫探しが目的ではなかったようです。

旅に出ればあとはどうにでもなる。歌詞からはそんな思いを感じます。

この旅で得られる新たな出会い。それこそが旅の目的なのですね。

手にしているカメラはそこで出会ったものを収めるための物のようです。

彼が旅する理由。

それはまだ見ぬ新しいものと出会うこと。

人物だったり、動物だったり、素晴らしい景色やそこでしかできない経験かもしれません。

そこで得た経験を写真にとって、誰かに見せることなのです。

謎のキノコ=未知への挑戦

謎のキノコをかじる
三億年か四億年

出典: 生きる/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト

サビ前のフレーズにキノコをかじる描写があります。これは未知への挑戦なのではないかと思います。

キノコはたくさん種類があって、おいしいものから毒のあるものまでさまざまです。

正体不明のキノコをかじってどうなるか、それは誰にもわかりません。

毒があって死んでしまうかもしれないし、とっても美味しいかもしれない。

一か八か、勇気のいるものすごい挑戦です。

旅=人生

「生きる」において描写される旅。まるで人生のように思えませんか。

人生もまた、始まった時から目的を持っている人はいません。

あらゆるものと出会って、未知に挑戦しそこで何かを感じたり。手に入れたり、失ったりという経験をする。

そういった繰り返しがその人という人間を作り上げていきます。

生きることは冒険です。何が起こるか分からない、果ての見えない長い旅。

その旅路こそが人生であり、それを歩む一人一人が旅人です。

一番で歌われている旅人は、今を生きる人。すなわちあなた自身なのです。

空っぽのままで良い

人生に迷うあなたへの言葉

いつか どこか わからないけど
なにかを好きになるかもしれない
その時まで 空っぽでもいいよ

出典: 生きる/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト

続いては二番です。

一番とはまた違った雰囲気ですね。

何かを例えているようでもなく、歌詞をそのまま受け止めても意味が感じ取れます。

二番の歌詞は一番の歌詞に出てくる旅人、つまり人生の肯定です。

そして、聴いているあなたへのメッセージでもあります。

何年か人生を歩んでいたけれど、ふと振り返って何もないなと感じることはありませんか。

大きな成功を手にしている人や満ち足りた人生を歩んでる人と比べ、自分の人生はなんて空っぽなのだろう。

そんな風に悔しくて、惨めに思えることもあるでしょう。

そんな時に二番のフレーズを思い出してみてください。そっと背中を押してくれる、そんな気がしませんか。

今はまだ得られていなくても、いつか好きと言えるものを得られ、自分にとってのかけがえのないものを見つけられる。

だから焦る必要はない

そんな力強いメッセージを感じられると思います。

このメッセージはこの歌を歌っている本人へ向かっても投げかけられています。

自分へのエール