THE ORAL CIGARETTES『Color Tokyo』とは
大人の余裕を感じさせる、クールで怪しげな雰囲気が漂うこの楽曲。
この楽曲の歌詞を読み解くにあたってポイントになるのが、タイトルにもある「色」です。
読み進めるとわかる通り、歌詞のいたるところに様々な色が登場しています。
その言葉たちは、ただその色を表現するためだけに使われているのではありません。
ここでの色の表現は、この楽曲の主人公の心境、そしてその変化を鮮やかに描き出しているのです。
色とともに変化し続ける、主人公の心の移り変わりに注目しながら歌詞の世界を覗いてみましょう。
冷たい都会の空気に触れて
黒+赤
Tokyoの地上で蠢いた
黒い誘惑をそっと吸い込んで
赤いPencilで点を書き足した
出典: Color Tokyo/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也
人がたくさん集まる大都会だからこそ蔓延する、様々な誘惑。
もちろんそれは良いことばかりではありません。
むしろ、悪いことの方が多く含まれているかもしれないくらいです。
ここではそんな出来事の中でも、悪い方に注目して歌詞が綴られています。
2行目の「黒い~」がその象徴でしょう。
それに対して赤というと、学校の先生がテストや宿題などをチェックする時に使用するイメージがあります。
主人公にとっての赤もそのような意味を持っているようです。
目の前に次々と現れる黒い誘惑を、赤ペンでチェックする先生のように受け流していきます。
青×灰色≠橙
青い肌に灰色のLove song
硬い材質にちょっと飽きだした
Orangeには程遠い色してる
出典: Color Tokyo/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也
ここでも様々な色が登場しています。
1行目で表現されている肌の色は、あまり血の気がなく不健康そうな印象を受けます。
これはもちろん単純な顔色の悪さを意味しているのではありません。
あまり感情の感じられない、東京の人たちの内面的な冷たさを表現しているのでしょう。
そんな人たちが歌う愛の歌には、当然気持ちなどこもっていません。
だからこそモノクロのままで、あたたかみが感じられないものとして表現されています。
そんな東京人の冷たさとは対照的に、人間としてのあたたかみを表現するのが3行目に登場する色。
想像すればわかる通り、太陽のような包み込むあたたかさを感じられる色です。
大都会、東京に対する警戒心の強さを感じさせるフレーズですね。
大都会に負けそうな主人公
東京を前に、心を閉じる
飾らない世界きどっては
心を塞ぎ込んで行く
今にも溶けそうな
出典: Color Tokyo/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也
東京という大都会の空気感にまだまだ馴染むことができない主人公。
自分らしく自然体でいようとすればするほど、大都会の雰囲気に圧倒されてしまいます。
自由に開放していたい心でさえ、その空気に委縮して扉を固く閉ざしているようです。
自分自身は都会の空気に溶け込めないのに、都会の空気に負けそうな心は溶けそうになっている。
恐怖、不安、緊張…主人公の中でうごめく感情たちが、お洒落に表現されている部分です。
それでもやっぱり近づきたい…
ゆらめくように
はばたくように 間違いだらけの街並みの空
怖いくらい 怖いくらいに
手を伸ばした
ひらめくより
かがやくよりも 確かに見えるこの瞬間はさ
わかってる わかってるって
出典: Color Tokyo/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也