青い鳥眺めて 林檎齧る
お伽話みたいね ボクは笑った
僕と二人のパペット ロードショー
テトラポット登って 夕日沈む
出典: 漂流少女/作詞:苺ミルクをかけたらぶっ殺す。 作曲: 苺ミルクをかけたらぶっ殺す。
ここでは2つのモチーフを見てとることができます。
1つ目は「青い鳥」です。
これはもともと童話劇で、子どもたちが幸せの象徴である鳥を探しに行くストーリー。
また、リンゴは神話にも出てくる果物で、不老や若さなど多様な意味を持っています。
これらは「ボク」が望んでいるものの象徴なのでしょうか。
幸せや、美しさ。
「ボク」は「キミ」に恋心を抱いている時ですから、特に幸福を欲しているかもしれません。
また、「もっと見た目に自信が持てれば……」と考えている可能性もあります。
小さな失敗
独りのほうが気楽 そう強がって後悔
ねぇ大声出して叫んでみても 宛先のない送信
出典: 漂流少女/作詞:苺ミルクをかけたらぶっ殺す。 作曲: 苺ミルクをかけたらぶっ殺す。
1番のサビで、「ボク」は孤独感を抱いていることがすでに分かっています。
ところが、感じていることを隠しておくこともできるのが人間です。
ふとした会話の最中だったのでしょうか。
「ボク」は「ひとりの方が良い」と心にもない発言をしてしまったようです。
そして、それを深く悔やんでいます。
この何気ない強がりが、「キミ」の耳にも入ってしまったかもしれないのです。
「ひとりで居たい人なんだな」と思われたら、どうしよう。
「ボク」はそんな風に、「キミ」の反応を気にかけているのでしょうか。
一度口に出した言葉は、取り消すことができません。
「忘れて!」と懇願しても無理な話です。
本当は孤独を嫌がっていることも、心にもない言葉だったことも、誰にも打ち明けられません。
メールで伝えようとしても、誰に宛てて書けば良いか分からない状態なのです。
届かない想い
気づいてもらえない
漂流少女ロンリー 気づいたら
誰もいない 僕もいない 鐘の音
出典: 漂流少女/作詞:苺ミルクをかけたらぶっ殺す。 作曲: 苺ミルクをかけたらぶっ殺す。
「ボク」があれこれ思い悩むうちに、現実の時間は進んでいます。
一口に「鐘」といっても様々ありますが、ここでは学校のチャイムではないかと思います。
最大の理由は、「ボク」を取り巻く世界が現代的であること。
「ボク」はヘッドホンで音楽を聴き、上手く言えなかった弁解をメールで済まそうとしています。
「ボク」の年齢は分からないまでも、どこか学生的な雰囲気を感じるところがあるのです。
2番のはじめに夕暮れを連想させるフレーズもありました。
空想している間に1日が終わり、下校時刻を知らせるチャイムが鳴っている。
そのような情景を表しているのではないでしょうか。
遭難少女オンリー キミのいない
世界が勝手に動いて 消えてゆくメロディー
出典: 漂流少女/作詞:苺ミルクをかけたらぶっ殺す。 作曲: 苺ミルクをかけたらぶっ殺す。
「ボク」は持ち前の想像力を活かして、いろいろなことを思い浮かべています。
その中には、「キミ」と仲良く話しているなど、進展した関係のものもあるかもしれません。
ですが、それはあくまでも想像です。
実際の「ボク」は、まだ「キミ」と交際しているわけではない様子。
「ボク」は「キミ」への想いを膨らませていますが、それは届いていません。
伝える瞬間を逃したまま、どんどん時間が過ぎてしまう。
そのうちに想いの形も変化して、熱意が冷めてしまうかもしれません。
「ボク」のもどかしさが伝わってくるかのようです。
「キミ」が遠ざかる
だんだん遠くに行っちゃって ねぇねぇ、声は掻き消されて
こんなに近くにいるボクとキミは
透明な距離開いちゃって 沈没気味溺れそうだ
どうして どうして
出典: 漂流少女/作詞:苺ミルクをかけたらぶっ殺す。 作曲: 苺ミルクをかけたらぶっ殺す。
「ボク」と「キミ」は同じクラスなのでしょうか。
物理的な距離は近くても、親しく話す間柄ではなさそうです。
教室がざわざわしている中で、話しかけようとしても声が届かない。
こと「ボク」にとっては、好きな相手に話しかけることになります。
緊張して、小さな声しか出せないのかもしれません。
様々な事情が重なって、「ボク」は想いを秘めたままでいます。
気持ちを心に閉じ込めたままでいると、心が塞いだようになって苦しく感じるものです。
それを溺れて息苦しくなることに例えています。
なぜ、「ボク」は想いを伝えられないのでしょうか。
「ボク」なりに頑張っているはずなのに、なぜ上手くいかないのでしょう。
「ボク」自身にも、その理由が分からずに葛藤しています。