切なきバラード
シドの【声色】は2020年12月23日リリース“ほうき星”の1ピース。
こちらには演奏隊それぞれが作曲した3曲が収録されています。
またCD発売の前月より配信にて1曲ずつ先行リリースもされました。
今回紹介する【声色】はゆうやの作曲となっています。
曲の方は切なさ漂うラブバラードの様相です。
ここでは歌詞の意味について考察を入れてみたいと思います。
平穏さえも奪う
その声は思い出?
真夜中の声が 耳を包んで 離さない
少し掠れてるけど 優しい声 近くて遠い声
出典: 声色/作詞:マオ 作曲:ゆうや
物語は真夜中から始まりますね。
声の主は、語り手と長く親密な関係にあったことが窺えます。
温かい眼差しで見つめている様子が伝わってきます。
ここで気になる声が近くて遠いというのは何を意味しているのでしょう?
これは恐らくあの頃は近かった、ということではないでしょうか。
あの頃は近かった、でも今は遠くなってしまったね、と伝えていることが推測されます。
そう仮定すれば耳を包むあの声が今でも離れず忘れられない思い出となって甦っている今を歌っていることになります。
変わってしまった現実とは?
ねえ 繋がっていたいだけで
ずっと このままでよかったの
どうして? 世界は変わったの…
出典: 声色/作詞:マオ 作曲:ゆうや
語り手は大それた夢など持っていませんでした。
望むのはただ二人が繋がっている今が続くこと。
しかしその願いは儚く崩れ去ることになります。
では何が二人を引き裂いてしまったのでしょう?
語り手は世界が変わってしまったことを嘆いています。
二人の不仲が原因ではなく様変わりした世の中がそうさせたというのです。
その変化とは何かを歌詞では言及していません。
様々なことが考えられるでしょう。
例えば地震などの災害が相手の命を奪ってしまった可能性であるとか。
または戦争が起こり民族間の往来が自由にできなくなってしまうことなど。
ですがリリースされた時期はコロナ禍の真っ只中であったことを考えると、その世相と無関係ではないかもしれません。
このパンデミックにより、これまで当然だった平穏な日常でさえも奪われてしまった方も多いでしょう。
これはコロナにより親しい人と気軽に会うことでさえ難しくなってしまっている惨状を嘆いた歌なのかもしれません。
負けそうな心
会えない時間に 慣れてしまいそうで
思い出には 負けちゃいそうで
現実に心が 追いつかない
出典: 声色/作詞:マオ 作曲:ゆうや
サビの部分になりますね。
ここでは語り手が今抱える心情を訴えかけるような痛切な曲調となります。
世の中が一変したことで、むしろ会えないことの方が当たり前になりつつある。
そんな中でふと以前の当然のように会えた頃を思い出してしまうこともあるのでしょう。
そんな時には会えない今が辛く気持ちが負けてしまいそうになる。
そしてまだ今の現実が受け入れられない様子ですが、どういった状況にあるのでしょうか?
ここで思い出されるのはBメロで歌ったずっと繋がっていられる今と、これからもそうであって欲しい未来。
これが良き思い出となって度々フラッシュバックしてしまうことを描写していると考えられます。
それに対する現状は望んだものと余りにもかけ離れ過ぎていて、未だに受け入れることができないでいるのです。
出口は見えず
世界は雨色
降り続く雨は 今日も世界を濡らして
不意に晴れ間を見せて 期待させて 上手に裏切る
出典: 声色/作詞:マオ 作曲:ゆうや