阿部真央の「天使はいたんだ」の歌の意味は

「天使はいたんだ」は、2013年発売の5枚目のアルバム「貴方を好きな私」の7曲目に収録されています。

シングル化もされていませんし、残念ながらPVも製作されていません。

ネット上でも、なぜかあまり情報がみつからない曲です。

この記事を書くにあたって、音楽配信サイトの「レコチョク」で阿部真央を検索してみました。

すると人気順での検索順位で、同アルバム収録曲の中では、タイトル曲などを抑えて上位に表示されています。

ミディアムテンポの柔らかめでポップな曲調に、良い意味で少女漫画的な優しいストーリー

爆発力はないですが、徐々にそして確実に、女子たちの間で評価されてきているのでしょう。

阿部真央の心の変化が現れている

 アルバム最後の曲「愛してる」もそうなのですが、それまでの阿部真央にはなかった世界観を持っています。

強さや若さだけではない、ありのままのすべてを受け入れる、優しさと許す心が描かれた歌です。

そこには、デビュー5年目の成長と、充実した心境を感じられます。

可能であれば、同アルバムに収録された「貴方が好きな私」を先に聴いてみてください。

そしてその歌詞をしっかり噛みしめながら聴いた後に、この「天使はいたんだ」を聴いてみましょう。

すると、じんわりと心に染みてきて、その良さが何倍にも増幅されます。

「貴方が好きな私」では、苦しい恋で、心がボロボロになって疲れ果ててしまうような辛い気持ち。

でもその先に、ピュアな心で優しく受け止めてくれる男子との、新たな出会が待っていた。

ふたつの曲には、そんなつながりを感じてしまいました。

そして、最後の曲「愛してる」で、穏やかな気持ちでアルバムを締めくくる構成です。

このことが、この歌がこのアルバムに収録されている理由なのではないかと思います。

阿部真央の「天使はいたんだ」歌詞解説

同アルバム内の「貴方が好きな私」や「boyfriend」は、恋する女子の複雑な心理を描いた歌です。

タイプこそ違いますが、苦しい恋心が描かれています。

それに対し、「天使はいたんだ」は、その恋に悩む女子を優しく受け止める、男子目線の恋の歌です。

それでは、その歌詞を思いっきり深読みしてみます。

恋に落ちていく男子の心を描いたストーリー

天使はいたんだ
ある日僕の目の前に降り立ったんだ
羽を濡らして 休む場所をひたすら探してるんだって
傷だらけの その訳を恐る恐る訊いてみたんだ
するとこう言うんだ
「誰かを愛す度ボロボロなんだ」って

出典: 天使はいたんだ/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央

恋に悩み、傷つき疲れ果てた彼女が、ある日僕の目の前に現れます。

突然現れたのかもしれませんが、もしかしたら、以前から近くにいたのに、気付かなかっただけなのかもしれません。

彼女が傷ついて弱り切ってしまったことで、はじめて僕の視界に入ってきたのでしょう。

今まで見えなかった彼女の存在が、彼女を見つめる心の視点が変わったことで見えるようになった。

つまり、傷ついた「天使」が見えるようになったのでしょう。

不器用な迷子 誰だって誰かの天使なんだ
そんな事思ったら 恋に落ちていた

出典: 天使はいたんだ/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央

恋をする度に、その恋によって傷つき、疲れきってしまう彼女。

でもきっと、一緒にいても傷つかないでいられる、傷を癒してくれる相手は存在する。

自分こそがそのための存在で、だからこそ彼女は、自分のもとに現れた。

 

突然の出会いなのに、すぐに恋してしまいます。

そして、そんな自分自身の気持ちに気付いてしまうんですね。

よくある「思い過ごし」や「勘違い」と紙一重の状況かもしれません。

でもこれは、同情や心配を超えて恋に変わっていく、恋に落ちる男子の心の動きです。

使命感に変わっていく恋心

天使はいたんだ
僕を選んで舞い降りたの
羽を濡らして 涙を拭う場所を探して
腫れた瞼にキスしたいよ こっちへおいで
天使はいるんだ、今僕の腕の中

出典: 天使はいたんだ/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央

恋に傷つき、その傷を癒せる、心休まる場所を探してさまよっていた彼女。

そして自分のもとに現れた。

自分なら必ず彼女の願いに応えることができる。

これからもずっと、彼女を守り続ける。

それができるのは自分だけだ。

 

彼女を守りたい、守らなければいけないという使命感が次第に強くなっていきます。

そして同時に、自らをどんどん深みに落としいってしまう男子の心理があります。

彼女を守り続けるために自分は生まれた

わがままな天使 よく分からぬタイミングで怒ったり
泣き虫な天使 上手く言葉を選べず悔しいんだって
他の奴じゃ とてもこんな君を手に負えなかっただろう
でも大丈夫、僕は絶対 君を諦めたりしない

出典: 天使はいたんだ/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央

彼女をこんなに傷つけ、癒すことができなかった他の男性の存在を意識しています。

それと同時に、複雑な感情を持った、彼女の重さにも気付いています。

それでも、決して逃げないで、ありのままの彼女をそのまますべて受け止める。

そんなこと自分にできるのか?

不安な気持ちに蓋をして、彼女をずっと守っていく決意をします。

ある意味、彼女の気持ちはここには存在していません。

優しさと、その裏側に隠れた、ピュアな恋心の身勝手さがどこかにあります。

自分だけの天使であってほしい