A面3曲目「Moonage Daydream」
荒唐無稽なストーリー
邦題は「月世界の白昼夢」です。
自分は宇宙からの侵略者でお前らをロックするために降臨したという荒唐無稽な話です。
しかし設定に無茶があることこそが「ジギー・スターダスト」の真髄でしょう。
ロックとはこういうことだよ説明不能の魅力があるものさ。
そんなデヴィッド・ボウイの自信がうかがえる名曲でしょう。
詩才が全開であふれだす
I'm an alligator
I'm a mama-papa coming for you
I'm a space invader
I'll be a rock 'n' rollin' bitch for you
出典: Moonage Daydream/作詞: David Bowie 作曲: David Bowie
「オレはアリゲーターさ
君たちのためにやってきたパパでありママだよ
宇宙からの侵略者なんだ
君たちのためにロックンロールするビッチになるさ」
歌い出しの歌詞です。
これ以降の歌詞も荒唐無稽なのですがデヴィッド・ボウイの詩才が全開になっています。
ボウイの遊び心やらユーモアが「ジギー・スターダスト」の根底にあることを知るでしょう。
彼の全能感のようなものが溢れ出してきてドーパミンを大量に出しながら書いたような曲です。
ミック・ロンソンのギターがしびれます。
A面4曲目「Starman」
瀕死の地球を救うもの
超名曲ですから説明不要かもしれません。
すべての曲が名曲であるアルバム「ジギー・スターダスト」でも抜き出た印象があります。
本国イギリスではボウイにとって久しぶりにシングルがヒットしました。
ラジオからジギーのメッセージが流れます。
「Starman」が瀕死の地球を救うだろうと訴えるのです。
これについてはWikipediaにボウイの興味深いインタビューが転載されています。
大いなる者たちが到来して世界は終わる。それらは本当のことを言えばブラックホールだ、(中略)ジギーは夢の中で、大いなる者たちからスターマンの到来を作曲するように忠告される。だから彼は「スターマン」を作曲する。この曲は人々が耳にする最初の希望のニュースだ。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/スターマン_(曲)
ブラックホールについて1972年の知識がどの程度のものだったかは分かりません。
あの空間に何がしかの意識を持ったものが本当に存在できるのか。
しかし「ジギー・スターダスト」でそうした疑問は野暮でしょう。
すべてが荒唐無稽な話です。
指摘するまでもなくかなりの部分をSF的な発想に依拠しています。
それでも希望を歌うボウイの声に心の底からうっとりさせられるのです。
音楽の魔力とはこういうものだと思い知らされるでしょう。
作詞作曲はジギーによる
He told me
Let the children lose it
Let the children use it
Let all the children boogie
出典: Starman/作詞: David Bowie 作曲: David Bowie
「スターマンが僕にいうんだ
子どもたちを夢中にさせてって
子どもたちに楽しんでもらおうって
すべての子どもたちをブギーでロックさせようって」
完全な意訳です。
このロックなニュアンスは原詩で味わった方がストーレートに伝わります。
スターマンが天空で待っているという素敵な状況にワクワクする僕の視点で歌詞を紡ぎました。
作詞作曲はジギー・スターダスト。
地球があと5年で死滅すると絶望する人々にとって最初の希望のニュースです。
A面5曲目「It Ain’t Easy」
アメリカ合衆国のSSW(シンガー・ソング・ライター)であるRon Daviesの楽曲です。
本人よりもデヴィッド・ボウイのヴァージョンの方が有名になってしまいました。
「神のご加護により私たちは困難を乗り越えることができる」
この曲のそんなラインが「ジギー・スターダスト」のために必要だったのかもしれません。
一方で悲観的な内容も歌います。
タイトル「It Ain’t Easy」そのままの内容です。
It ain't easy, it ain't easy
It ain't easy to get to heaven when you're going down
出典: It Ain’t Easy/作詞: Ron Davies 作曲: Ron Davies