【両忘】を徹底解説

楽曲紹介

2021年7月7日にリリースされた【両忘】はコブクロ33枚目のニューシングルです。

作詞・作曲を務めたのは小渕健太郎さん。

これまでのコブクロとは一風違う曲調に、新たな挑戦が窺えるナンバーとなっています。

アップテンポなメロディーに乗って流れるメッセージ性の強い歌詞に酔いしれるリスナーが急増。

決してすべての事が思い描いた通りに進むわけではない世の中。

憤りや苦しさから「過ち」を犯してしまう人もいるでしょう。

ただ人生はそこで終わりではないのです。

一番大事なことはその後どう変わり、どう成長していくか。

歌詞に込められた、私たちリスナーに本当に伝えたい事が何なのかを読み取っていきます。

「両忘」ということばの持つ意味

コブクロ【両忘】歌詞の意味を考察!間違いと正解とは?人を信じられない理由と自分につけなかった嘘に迫るの画像

「両忘」は“りょうぼう”と読みます。

漢字からストレートに意味を考えると“両方忘れる”と読み取れるでしょう。

人間は基本的に物事に対し、白黒ハッキリ付けたがる傾向にあるといえます。

食べ物の好き嫌いなどが身近な例といえるでしょう。

「両忘」は白黒、善悪、好き嫌いなどに囚われることのない“領域”のことです。

「正しさ」は人によって違うもの。価値観の押し付け合いは和解することは難しいでしょう。

物事をおおらかに捉えることはきっと閉塞的な考えでいるよりも未来の可能性や選択肢が増えていきます。

これを踏まえて歌詞を深読みしていきましょう。

答えを出そうとするから苦しくなる

グレーな部分

「真実」の反対は ただの「嘘」でいいのか?
それだけで回る世界なら
「情け」なんて言葉 もう死語だね

出典: 両忘/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

歌い出しからリスナーに考えさせるような深い歌詞から始まります。

物事に対して白黒ハッキリ付けた方が分かりやすく、すっきりして気持ちがいいでしょう。

うやむやな、グレーな部分を残しておくと後で揉め事の原因になることもあります。

そのために世の中には“ルール”というものがあるのでしょう。

公式的なものから暗黙の了解のものまで、人は自然とルールに従いながら生活を送っているのです。

ではルールから外れてしまった人はどうなるのでしょう?

踏み外してしまった以上、罰を受けなければいけないのでしょうか。

ルールから外れた人のすべてが悪意を持った故意的であるとは限りません。

やむを得ない事情を持って仕方のなかった人もいるでしょう。

子供が何か失敗をしたときに、「次、もう1回頑張ってみよう」と声をかけませんか?

「情」で頂ける“チャンス”が無い場合、人は立ち上がれなくなってしまうでしょう。

すべての事に対し“答え”を出していいものなのか問いかけているように読み取れます。

自分では気付いていない顔

三面鏡にしか映らない 横顔があるように
君にも見えない君を 誰かが見てる

出典: 両忘/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

三面鏡に映る自分の横顔と目を合わせることはできません。

この様に、自分からは見えていない・気付いていないところから自分のことを見ている人がいます。

人知れず頑張っている姿をきっと見ていてくれる人はいるでしょう。

そしていつか手を差し伸べて現状よりも上に上がるチャンスをくれる人が現れるはずです。

同様に、誰かを蔑むような言葉や態度も、コソコソとしているつもりでもきっと見ている人がいるでしょう。

そんな姿を見られてしまえば良い評価を得ることは出来なくなります。

そのことを忘れてはいけないというメッセージのように読み取れます。

すべてが悪ではない

過ちの裏には 心 抗った爪痕
自分につけなかった嘘
隠せば隠すほど 記憶の中で暴れる
真実は 誰にも懐かない

出典: 両忘/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

1行目の“裏”という言葉から、過ちを犯したのには何か理由があるような様子が読み取れます。

自分のする事が“ルール違反”だということは最初から分かっていたのでしょう。

最初から分かった上でとなると余計に、故意的だと責められてしまうかもしれません。

心の中で色々な葛藤があったようです。

下した決断が世間からは“間違い”だとされるものでも、「そうする他なかった」のかもしれません。

もし自分の気持ちを閉じ込めて世間の言う「正しい」に従っていたら波風は立たないでしょう。

しかし自分をごまかし続けると、いつか本当の自分を見失ってしまうことになります。

気持ちを押し殺すことが常に正解というわけではなさそうですね。

2行目に出てくる“嘘”とは何なのか探るべくもう少し読み進めていきましょう。