1970年代から
大人の恋
大人になるということは経験が増えるということ。
経験が増えるということは、思い出が増えていくことでもあります。
楽しい思い出、辛い思い出、そして一言では言い表せないような切ない思い出。
時間を経ても消えない、そんな恋を思い出す一曲です。
別れるということ
愛がきえてしまえば 友達にもなれない
電話さえもかけられず
長い夜が悲しい追憶の糸をたぐり
あなたをまださがしてる
心から出て行って ひとりで眠ることが出来る
あなたに夢の中で もう一度ふれられたら
許してしまう そんなそんな気がして
出典: 追憶/作詞:荒木とよひさ 作曲:根本要
恋が消えてしまう、愛した人を失う、それはその直後よりも時間が経って実感できるもの。
長い夜に忍び寄る愛した人の記憶はどんな風に主人公を取り巻くのでしょうか。
なかったことにできますか
どきどきしながら電話をかけた片思いの頃。
当然のように決まった時間に交わし合ったメッセージ。
それらは、別れの日を境に断ち切らなければなりません。
別れた後も、偶然を装ったり、お酒の力を借りて勢いで連絡することは不可能ではないのですが。
本当に愛し、身を切るように別れた相手であるならそれすらもできない、いえ、してはいけないのです。
もし、お互いに納得してすっきりと別れられた場合なら、別れた後に友達になれるかもしれません。
愛がなくなったわけではないけれど、自分から断ち切るしかない恋。
どうしても好きだけど、続けるわけにはいかない愛。
そんな男女関係にけじめをつけた後は、もう戻ってはいけないのです。
夜に忍び寄る
日中、仕事をしている時間や学校で過ごす時間には過去のことは忘れていられます。
現在を生きることに没頭していると思い出が入るスキはありません。
夜になり一人になるとふと思い出す記憶。
記憶というのはなぜか断片的であったりします。
映画のようにしっかりとしたストーリー仕立てになっているのではなく、場面、場面が鮮やかに蘇ることが。
カフェでこちらに向けた笑顔。
待ち合わせで顔を上げた瞬間の表情。
そして、優しく自分の方へ引き寄せるときの少し怒ったような荒々しいしぐさ。
それらのすべては自分に向けられていたものであり、あのときの彼は確かに自分を愛していました。
そんな瞬間の記憶が破片のようにばらばらと胸に降り注ぐ夜。
自分では止めることのできない記憶の再生に主人公は眠れぬ夜を過ごすのです。
幻を抱きしめて
好きだった人の断片を思い出しながら、そばにあるものを握りしめてしまうことがあります。
そんなときは、記憶の中の思い出を捕まえているのかもしれません。
この腕の中に連れ戻すことのできないものを思いながら、幻を捕まえる。
追いかけても、握りしめても実際には戻らない過去の記憶は、いつになれば自分の中から消えるのでしょうか。
一人で眠らなければならないことはわかっているのに、記憶がそれを阻んできます。
もう、私の隣で実際に眠ることがないのなら、その幻もいらないから消えて欲しい。
理性を置き去りにして去った人を探す自分の記憶はどうすれば消すことができるのでしょうか。
消えてしまえば
愛が少しだけでも あなたにあるならもう
昨日なんかいらないわ
胸のすき間 涙でうずめてもこぼれ落ちて
あなたを まだ好きでいる
身体から出て行って ぬくもりなんかなくていいの
あなたに夢の中で もう一度抱かれたなら
拒みきれない そんなそんな気がして
出典: 追憶/作詞:荒木とよひさ 作曲:根本要