①視界が晴れた美しい世界

2行目にあるのは、愛する誰かの声です。

そんな声がどこからともなく聞こえてきて、胸の鼓動はドキドキと高鳴り始めます。

愛するあなたの声が聞こえてきたことで、気持ちが晴れやかになったこの曲の主人公。

彼には悩みの晴れた世界が鮮やかに、美しく見えるようになっていったのです。

そうして鮮やかに美しくなった世界に輝く月。その月も、美しく見えるようになったという解釈が1つ目です。

②自分の気持ちとの対比

2行目にある声は、自分の中に眠っていた相手への深い愛を思い起こすきっかけを作りました。

こうして愛する相手のことを思い出したことで、いま会えない辛さが増幅されてしまったようです。

そんな悩ましい心模様とは対照的に、今日も変わらず月は空を明るく照らしています。

自分自身の心の中美しく輝く月

対照的だからこそ、月の美しさが際立っているように見える、という解釈が2つ目です。

③飛躍した解釈をすると

最後はちょっぴり飛躍した解釈です。

愛するあなたの声が聞こえた気がして、この曲の主人公は愛しさや切なさを募らせています。

相手を想う気持ちが強いあまりに、思わず涙をこぼしたのでしょう。

涙が溜まっている瞳を通して見つめる世界は、その涙に反射してキラキラと輝いて見えています

だから見上げた夜空の月も、キラキラといつもより輝いて見えている、というのが3つ目の解釈です。

儚い愛はまるで…

愛ゆえに

平らげたはずの狂喜乱舞散りゆく花ビラみたいでさ
夢中で足元むさぼり続ける
恍惚に拓く一瞬に心震えるほどに
もっと感じる苦悩で支配されているのさ
セツナの愛をもってしても

出典: セツナの愛/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明

1行目で散っていく花ビラとは、儚さの象徴です。

つまりこの曲でテーマとして掲げられている、愛を表現するものといえるでしょう。

また1行目前半にある平らげるという表現に合わせて、2行目ではむさぼるという言葉が登場しています。

これはどちらも食べることに関連した表現で、統一感のある比喩表現歌詞を彩っている部分でもあります。

さらに人の足元をむさぼるということは、どっしりと地につけた足が不安定になるということでもあります。

これは決してネガティブな表現ではなく、そうして不安定な浮ついた気持ちを表現しているのです。

フワフワとした、愛ゆえに幸せな様子が表れているといえるでしょう。

1番のサビと同様、嬉しくて幸せな気持ちに支配されている主人公。

しかしそのような素敵な気持ちは、花ビラのごとく儚く散っていきました。

しかし想像してみればわかると思いますが、咲いている時だけでなく散り際でさえ美しいのが花ビラです。

枝から離れ、風に揺れながら落ちていく過程はもちろん、地面に落ちてもなお美しいのです。

つまり誰かを愛することで感じた心の揺れ動きは、それほどまでに美しく尊いものだというわけです。

君のことを忘れたい

少しずつ君を忘れよう思い出せなくなるほどに
喜びだけの洪水で全てを呑み込んで欲しい

出典: セツナの愛/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明

あなたへの愛。それは刹那的だからこそ、もう君を忘れようと努力し始めています。

愛という大きな感情を忘れるためには、他の感情で心の中を満たすしか方法がありません。

喜びというポジティブな感情で自分をすべて呑み込んでしまえば…

そうしてしまえば、その感情に支配されて愛をしまい込むことができる。

そう考える主人公の、心の底からの願いが溢れ出ている部分といえるでしょう。

愛で満たされたい

愛される為の行為なんて味わう為に超悩んでさ
苦痛で対価を支払い続ける
恍惚に拓く一瞬に心震えるほどに
もっと感じる苦悩で支配されているのさ
キスは後にして
支配させているのさ
セツナの愛と知っていても

出典: セツナの愛/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明