あなたを閉じ込めていた黄昏
私を待つのは君と黄昏
構わず幸せへ向かって行け
見えなくなったらもうさよなら
出典: 誰そ彼/作詞:カワノ 作曲:カワノ
2人が思い出を紡いだ時間は黄昏時がほとんど。
仕事をしていたり、学校に行っていれば日中は会えないのは当然です。
きっとお互い、夕方に会えることを楽しみにしていたのでしょう。
歌詞では、黄昏が恋人を縛っていたというような表現があります。
まるで恋人が夕暮れ時から抜け出せないかのような表現です。
恐らく恋人は主人公に本当に束縛されていたわけではないでしょう。
それでも、「閉じ込めた」という表現を用いています。
反対に今はその束縛から逃れ、恋人が解放されたことを暗喩していますね。
過去を悲観的な表現で表すことで、主人公は今の状況を飲み込もうとしているのかもしれません。
「恋人は解放されたことできっと幸せになっている。」
そう思いたいのかもしれません。
2人の約束
案外人は優しいし あなたはとてもかわいいし
誰かにとってあなたは大切な人になれるし
「歩く速度を落とさないで」「もう二度と振り向かないで」
私とあなたの約束 破って欲しかったのに
出典: 誰そ彼/作詞:カワノ 作曲:カワノ
歌詞には2人の交わした約束が登場します。
そして主人公はそれを「破ってほしかった」と表現。
つまり自分に合わせて歩いてほしかったのでしょう。
そして自分の方を一度でも振り返ってほしかったと考えられます。
これを見ると、主人公は恋人に対して少し強がりをしていたのかもしれません。
本当は自分のことをもっと見てほしかった。
恋人を応援する気持ちはあれど、自分を愛してほしかった。
そんな心情が窺えます。
恋人の支えになろうと、努力した結果かもしれませんね。
結果的に、恋人は自分の元から消えてしまいました。
やるせない主人公の気持ちと喪失感が感じ取れます。
また、恋人を肯定する歌詞が並んでいますね。
この歌詞は自分がいなくてもどこかでうまくやっていける恋人を想像させます。
残された主人公はやりきれないでしょう。
主人公の気持ち
まだ忘れられない
今までを想って あなたを解れて
嬉しいけど あなたと離れたいわ
出典: 誰そ彼/作詞:カワノ 作曲:カワノ
主人公の率直な気持ちは、「まだ忘れられない」というものでしょう。
歌詞を見ると、「恋人のことが理解できて嬉しい」とあります。
冒頭では「理解したい」と言っていたのが、少し進展していますね。
恋人のことをよく考えている証拠です。
つまり自分から離れていった恋人の心情を、理解したのでしょう。
理解したというよりは、自分でこの状況を飲み込んだのかもしれません。
ただし、その後には「別れたい」といった歌詞があります。
これは一体どういった意味なのでしょうか。
2人はすでに別れています。
となると考えられるのは、「頭の中から消えて欲しい」という想いです。
主人公はおそらく、しばらく恋人のことを忘れられないでしょう。
それでも時間と共に、あなたを忘れたいと願っているようです。
この街と時間が愛しい
夜によく行った映画館は
いつかなくなってしまうのかな
夜によく行った惣菜屋は
今じゃコンビニになったってよ
出典: 誰そ彼/作詞:カワノ 作曲:カワノ
別の地に旅立った恋人とは違い、主人公はいまだこの街に残っています。
街には、2人の思い出が染みついたお店や建物が数多くあることでしょう。
歌詞を見ても、2人の思い出がよみがえる描写があります。
それを見るたびに恋人を思い出してしまうのは、主人公にとって辛いことかもしれません。
それでも主人公はこの街を出ようとは思わないようです。
それは美しい思い出が残っているからでしょうか。
または単に住み慣れているからかもしれません。
恐らく理由はどちらも正解でしょう。
また、街は時間と共に景色を変えます。
昔よく行ったお店は無くなり、徐々に姿を変えていく街。
その変化とともに、主人公は恋人を忘れられることでしょう。
これからは心地よい思い出に胸を痛めながら過ごしていくようです。
私だけの黄昏とは
あなたとの優しい時間
あなたと私がいた黄昏 あなたを見送った黄昏
あなたと私がいた黄昏
出典: 誰そ彼/作詞:カワノ 作曲:カワノ