あんたと行った
あのクソみたいな居酒屋も
あんたと行ったってだけで
また何回も行くんだろ
あんたが書いた
あのクソみたいな歌も
あんたが書いたってだけで
大事なものになって
出典: ばいばい/作詞:ircle 作曲:ircle
いきなり汚い言葉がずらっと並びます。
普通なら「君」や「あなた」と呼ぶところ、相手を呼ぶ名称は「あんた」です。
主人公と「あんた」とは、素直に言葉で愛を表現するのが恥ずかしいくらいに親しい存在。
その汚い言葉の全てから夫婦のような深い愛情が感じられます。
どうしていなくなってしまったんだ?
いつも一緒にいたはずの人が突然いなくなってしまったことで出てきた、相手に対する怒りにも似た感情。
そんな感情を、今となってはぶちまける相手もいません。
思い出すのはしょうもない「あんた」と過ごしたしょうもない時間。
ところが、しょうもない「あんた」が残した思い出は、決してしょうもないものではなくなっているようです。
笑えない現実
ばいばい 今はね
ばいばい どうせまた会えるって
ばいばい 笑えるくらい馬鹿だね
馬鹿たれ
出典: ばいばい/作詞:ircle 作曲:ircle
「突然消えてしまって、もう会えないなんて笑えねえ。」
笑えないシチュエーションの中で、必死でもがいている主人公がいます。
もうこの世界では会えないことは分かっていながら、もう届かないことは分かっていながら。
それでもこの曲を全力で歌い続けるしかありません。
不器用な言葉を並べて叫び続けることで、行き場のない感情が伝わるような気がするのかもしれません。
「最後までバカだったあんたとはまだ一緒にいたかった。」
でも失ってしまった今は、「バカだね」と一人で呟くことしかできません。
友人がとんでもない失敗をしたとき。
きっと主人公は、例え彼が目の前にいても同じ言葉をかけていたことでしょう。
上から目線で「大丈夫だよ」なんて、気取った言葉をかけるような間柄ではありません。
「あんた」と「俺」は、同じ目線でものを見ていました。
「バカたれ」とは、夫婦喧嘩によく出てくる言葉。
彼らもまた心から「バカだね」と言い合える仲なのです。
そんなリアルな言葉を使った歌詞は、天国の友人のところにまで届いていると確信しています。
失って気付くもの
その後の世界
あんたが好きだったあの子だって
見送りに来てたよ
あんたが好きだった煙草だって
全部灰になって
あんたが好きだった世界で
また俺は愛を持って
あんたが失った時間で
笑い泣き生きていくよ
出典: ばいばい/作詞:ircle 作曲:ircle
ここは、友人がいなくなってしまった世界について書かれた歌詞です。
いなくなっても、「あんた」が好きだったものが変わってしまった世界。
あれからたくさんのことが変わってしまったけど、変わらないものもあります。
それは「残された自分」。
「残された自分」は、今も変わらずにここで確かに生きているのです。
あんたが消えてしまった傷跡を胸に秘めて。
「バカを言い合ったあんたの片割れはここにいるよ。」
そんなこの世から天国に向けたメッセージが伝わってくるようです。
最高にかっこいい「ばいばい」がここに!
サヨナラはしたくない
ばいばい 今はね
ばいばい 今はね
ばいばい 今はね
今はね おやすみ
出典: ばいばい/作詞:ircle 作曲:ircle
サビの部分の歌詞は、とてもシンプルであっけらかんとした歌詞のように見えます。
一見すると、天国に向かう彼に向けてサヨナラする歌詞だと考えられます。
しかし、歌詞を深読みするとより深い意味も浮上してくるのです。
言いたいことはたくさんある。
でも余計なことを言ってしまうと別れがつらくなってしまいそう。
だからこそ、いつかまた会えることを意味した歌詞を使い、シンプルな言葉でまとめたのかもしれません。
いつかあの世でまた会おう。
その日までバカなままの「あんた」でいてくれ。
ありのままの「あんた」を肯定しているのです。
いつか一緒に
いつかまた 一緒にお酒飲んで
いつかまた あの子の話しような
いつかまた 一緒に駅で歌おう
出典: ばいばい/作詞:ircle 作曲:ircle
考えれば考えるほどに会いたいという感情が膨らんでいくのでしょう。
「またあの世で会えたなら、たわいもない会話に花を咲かせよう。」
「あんた」とまた会ってしたいことは、特に変わらないいつもの生活。
特別なことはしなくていいのです。
「まだ2人は終わってないから。」
変わらずに「あんた」と会える日を夢見て前を向きます。