MYTH & ROID初期の代表曲『ANGER/ANGER』
「日本のピクサーを作る」ことを目標に掲げるMYTH & ROID(ミスアンドロイド)。
中心メンバーのTom-H@ckが『けいおん!!』の音楽を手掛けることからアニソン界隈での知名度は絶大です。
アニメ『オーバーロード』シリーズや『ブギーポップは笑わない』等の主題歌で耳にした方も多いことでしょう。
今回取り上げたいのはMYTH & ROIDの初期の傑作『ANGER/ANGER』。
Limp Bizkit風のヘビーなサウンドで怒りの感情を表現した楽曲です。
アニメ『ブブキ・ブランキ』エンディングテーマ
『ANGER/ANGER』と相互関係にあるのがアニメ『ブブキ・ブランキ』の世界観です。
『ブブキ・ブランキ』は2016年に放送されたSFファンタジー作品。
その第1期エンディングテーマが『ANGER/ANGER』です。
不条理な悲劇を描いた『ブブキ・ブランキ』では様々な感情の発露が表現されています。
なぜMYTH & LOIDはその中から怒りの感情に焦点を当てたのでしょう?
今回は『ANGER/ANGER』の歌詞の持つ意味を紐解いてゆこうと思います。
「感情の最果て」を表現したMVをチェック
まずは『ANGER/ANGER』のMVを見てみましょう。
現在のMYTH & LOIDの主要メンバーとなっている映像クリエイターの大河臣。
彼がMYTH & LOIDと初めて関わりを持ったのが『ANGER/ANGER』のMVです。
メインテーマとして提示されたのは「感情の最果て」を表現すること。
内面で燻る怒りを白い靄が、そして放出される負の感情を炎でストレートに打ち出しています。
当時のボーカリストMayuの圧倒的存在感
もっとも目を引くのが当時のボーカリストMayuの存在感です。
Beyonceのようなフェミニズムを掲げるアーティストからの影響が強いMayu。
集団を引き連れ行進する姿、そして何よりも鋭い眼光がコンセプトを体現しています。
Mayuの内面そのものを歌っているような『ANGER/ANGER』。
しかしMYTH & LOIDのすべての楽曲の作詞を担うのはメンバーのhotaruです。
まるで巫女のように楽曲のコンセプトを体現するMayu。
彼女自身が世の中の、特に家父長的な価値観に対する怒りを抱えて生きてきたそうです。
「女の人だって怒っていいんだよ」
怒りの炎が焼き尽くすのは?
孤独が感情を支配する
…and so, we met in the deep dark and shattered place
No one will come to us. They left us here with disgrace
We’re alone
出典: ANGER/ANGER/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID
“...だから、私たちは深い闇に包まれ荒廃した場所で出会うことになった
私たちに会いに来るものなどいやしない
私たちは汚名を着せられここに残されたのだから
私たちは孤独だ”
難解なストーリー仕立てになっているのが『ANGER/ANGER』の歌詞の特徴です。
物語の冒頭、人気のない地下室のような場所で主人公は孤独を訴えています。
『ブブキ・ブランキ』における地下に幽閉されたブランキ(人型巨人)王舞(おうぶ)の哀しみ。
そして運命のいたずらで元親友を憎むようになった礼央子というキャラの内面とも重なります。
誰にも届かぬ呪詛
We all abandoned sadness. We all abandoned kindness
The world is full of hatred. There’s no hope, then take this
出典: ANGER/ANGER/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID