“私たちは悲しみを捨てた

私たちは優しさを捨てた

世界は憎しみで溢れている

希望なんてないんだ、どこかに持ち去られてしまった”

長い孤独を味わうことでいつしか世界を憎むようになった主人公。

呪詛の言葉を吐き捨てます。

ボコーダーを多用したウィスパーボイスで歌われるこちらのパート。

歌詞はほとんど聴き取れず、地下の底からのうめき声のようです。

決して世界に届かない負の感情が主人公の内面を浸蝕してゆきます...。

不条理な世界を焼き尽くすために...

【ANGER/ANGER(MYTH & ROID)】歌詞を和訳&考察!負の感情を吐き出し…浄化しようの画像

嘘で建った塔の 深層で燃える炎
早々気を付けろ背後 A matter of time

出典: ANGER/ANGER/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID

1行目の塔とは理不尽で成り立つこの世界そのもののメタファーです。

長い幽閉生活で溜め込んだ怒りの感情がついに爆発します。

ここで叫ばれる英詞は“時間の問題だ”という意味です。

『ANGER/ANGER』の世界では憎しみは炎となり全てを焼き尽くそうとします

また『ブブキ・ブランキ』の中で礼央子が操る人型巨人は炎帝という名前です。

そのことから彼女の持つ負の感情は楽曲の持つテーマとシンクロしていることが推察されます。

Burn up!,Liars!

憎むべき「嘘つき」

【ANGER/ANGER(MYTH & ROID)】歌詞を和訳&考察!負の感情を吐き出し…浄化しようの画像

Be ready. Burn up! Liars! In this cold night
ただで消え去る罪など無い

出典: ANGER/ANGER/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID

サビに入ると英語と日本語の境界が曖昧になってゆきます。

歌詞の英語部分の和訳は下記の通りです。

“体制は整った、焼き尽くせ!嘘つきめ!凍える夜に”

『ANGER/ANGER』の歌詞で頻繁に断罪される「嘘つき」とは誰を指すのでしょう?

『ブブキ・ブランキ』の世界では様々な嘘が明らかになってゆきます。

印象操作のための薄汚い嘘、誰かを守るための優しい嘘...。

それはまるで現実世界の写し絵のようです。

ボーカリストのMayuが抱える怒りは正に世の中すべての欺瞞に向けられています。

決して抗うことのできない不条理がまかり通る世界

それこそが燃やし尽くすべき「嘘つき」そのものなのです。

吐き出された怒りの炎、浄化される感情...

Oh baby, cry out louder to this bad luck
God, hear the scream, share us your light
Tonight, now stand up and head up cause we’re falling up
Who is the bloody liar? You all the bloody liar

出典: ANGER/ANGER/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID

“なんてことだ、この悲劇に向かって泣き叫べ

神よ、この叫びが聞こえますか、輝きを分け与えてください

今夜、今こそが立ち上がる時だ、私たちは駆け上がっているから

大きな嘘をついているのは誰だ?お前がすべての元凶だ”

救いのない世界で抱いてしまった絶望。

主人公はすがるべき対象を神に求めます。

怒りに囚われていた感情は少しずつ浄化されていったのでしょう

ついに暗い地下から這い上がることを決意するのです。

bloody liarとは大嘘つきというニュアンスで翻訳できます。

絶望を乗り越え広大な世界に飛び出す理由はすべての元凶を断ち切ることなのです

創傷疼いている 何故痛いくらい ah 今疼き出す…

出典: ANGER/ANGER/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID

しかし固めた決意を鈍らすように古傷が痛み出します。

古傷の痛みは心理的な迷いの象徴です。

まだ何かに恐れているのでしょうか?

真実を疑え!

This is what’s behind the truth. We know what we gotta do

出典: ANGER/ANGER/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID

ハードコア風の演奏とウィスパーボイスで繰り返される歌詞は以下のように訳せます。

“真実の裏側に隠されているもの、私たちがすべきこと”

真実とは実に厄介な概念です。

人は見たいと思うものだけを真実と捉える傾向があるからです。

人の数だけ真実があるとすればそれは存在しないも同然でしょう

だから主人公は目の前の真実を疑い現実を直視することを覚悟します。