Kalafinaの「to the beginning」を解説!

【to the beginning(Kalafina)】Fate/Zeroに沿った歌詞の意味を解釈!の画像

絶妙なコーラスワークと深い世界観が魅力のユニット、Kalafina

アニメなどの音楽を数多く手がける梶浦由記さんがプロデューサーとなり、名曲を生み出してきました。

私自身本当に大好きで、ライブにもよく足を運んだアーティストです。

今回紹介する「to the beginning」アニメ「Fate/Zero」のオープニングテーマ。

歌詞もサウンドもアニメの世界観に寄り添っていて、何度聴いても鳥肌が立つ曲です。

そんな「to the beginning」の歌詞の意味について、独自の解釈を加えて解説していきます!

「Fate/Zero」のOP

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「to the beginning」はテレビアニメ「Fate/Zero」のオープニングテーマとしてつくられました。

「Fate/Zero」は2011年から2012年にかけて放送され、Kalafinaは2期目のオープニングテーマを担当

「Fate/Zero」の劇伴を手がける梶浦由記さんがつくったこの曲で、アニメの世界観を見事に表現しました!

「Fate/Zero」とは

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「Fate/Zero」は「Fate」シリーズの中で最も重厚といっても過言ではない作品です。

他の「Fate」作品同様、根幹にあるのはどんな願いでもかなえることのできる「聖杯」をめぐる争い。

「Fate/Zero」で描かれる「第四次聖杯戦争」は、参加者のほとんどが成人男性であることが特徴的です。

聖杯戦争に参加する7人の魔術師、通称「マスター」は「サーヴァント」と呼ばれる英霊を召喚し、戦います。

戦いの中に垣間見えるのは、「マスター」や「サーヴァント」の強い願い

背負うものがある大人ならではの重厚なドラマが魅力的です。

主人公である「マスター」、衛宮切嗣(えみや きりつぐ)の願いは争いを根絶し、世界を救済すること

現実味のないその願いを叶えるために「聖杯」を手にしようとする切嗣。

その背景には、あまりにも残酷な過去がありました。

「to the beginning」の歌詞は、特に切嗣の目線で「Fate/Zero」を描いているように思えます。

あきらめきれない願いがあるから

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「Fate/Zero」の世界観に寄り添った「to the beginning」の歌詞

あきらめきれない願いを叶えるために「聖杯」にすがるキャラクターたちの想いが表れています。

まずは1番の歌詞を見てみましょう。

「あと一度だけ」願えるなら

あと一度だけ奇跡は起こるだろう
優しい声で描く歪んだ未来

出典: to the beginning/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記

この部分だけを見ても、「Fate/Zero」ファンには泣けてくる歌詞ですね。

どうしても叶えたい願いがある。

今までに考えられる行動をすべてしてきたけれど、それは叶うことがなかった。

「奇跡」のようなこの願いを叶えるためには、もう「聖杯」にすがるしかない。

そう考えるキャラクターたちの想いが見事に表現されています。

「to the beginning」の歌詞は、特に切嗣の気持ちが強く表れているのではないでしょうか。

「Fate/Zero」で切嗣は、「第四次聖杯戦争」を最後の戦いにしようと決意しています。

「絶対にこれで最後にする」という覚悟。

「願いはかなうはず」という祈りにも似た想い。

そうした気持ちが歌詞から伝わってきます。

また、「優しい」と「歪んだ」という対立するような表現があるのも「Fate/Zero」ならでは。

「Fate/Zero」には人の優しさが描かれている場面もありますが、同時に人の歪みも描かれています。

ただ美しいだけではない歌詞は、そんな人間や世界の在り方も表現しているようです。

理想を叶えるために捨てていくもの

もう誰も泣かない世界の為に
紅く汚された空の
何処にも届かず消える叫びと祈り
慰めは捨てて行ける

出典: to the beginning/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記

1行目の歌詞が表しているのは、切嗣が願っている世界のこと。

争いが根絶され、恒久的な平和が訪れた世界のことです。

その願いを叶えるためなら、自分はいくら手を汚してもかまわない。切嗣はそう考えています。

切嗣がこんな夢のような願いを抱いた背景には、切嗣の過去が大きく関係しています。

かつて南の島で平穏な日々を過ごしていた少年時代の切嗣。

しかしその日常は、もっとも残酷な形で幕を閉じました。

切嗣は大切な人をその手にかけることで、世界を救うことを選んだのです。

より多くの命を救うために、少数の命を奪う。

切嗣はこうすることが正しいのだと自分に言い聞かせ続けてきました。

理想とする世界を実現させるためならば、自分には「慰め」もいらない

このパートの歌詞には、そんな切嗣の「叫びと祈り」、そして覚悟が表れているように思えます。

あきらめきれずに手を伸ばす