壮大なスケールを描く「9inch Space Ship」
「9inch Space Ship」は、秦基博さんの5thアルバム「コペルニクス」の収録曲です。
コペルニクスは地動説を唱えた人として知っている人も多いのではないでしょうか。
そんな人をタイトルに掲げたこのアルバムは、宇宙をテーマにした曲を中心に構成されています。
星座や天文が大好きな人にはたまりませんね! もちろん、「9inch Space Ship」もその一つです。
メロディも宇宙を連想させるビッグスケールな響きになっていて、聴いているとワクワクします。
それはまるで宇宙旅行に行ったかのよう。
タイトルの9inchは約27cmのことで、秦さんの靴の大きさと丁度同じサイズなのだそうです。
つまりタイトルは、「27cmの宇宙船」ということになるでしょう。
かなり小さな宇宙船ですが、いったいどこへ向かおうとしているのでしょうか。
これから語られる宇宙旅行に同行してみましょう。
宇宙へ羽ばたこう
約27㎝の船に乗って、主人公は宇宙に飛び立ちます。
…しかし27cmの宇宙船なんて、人ひとり乗れません。
どうやらこの宇宙船は、本物の宇宙船ではなく何かのたとえのようです。
どんな宇宙船で、どこが目的地なのでしょうか。
主人公が話す宇宙旅行のお話を聞いてみましょう。
スニーカーで歩き続ける
履き潰してきたスニーカー
その数だけ ずっと 歩いてきたんだ
出典: 9inch Space Ship/作詞:秦基博 作曲:秦基博
主人公はいくつものスニーカーが履けなくなるほど、歩き続けていたようです。
靴は履き続ければ傷んで段々履けなくなります。
履けなくなってしまうのは悲しいことかもしれませんが、逆にそれだけ歩き続けた証明になるでしょう。
そして靴は、世界を歩けるようにしてくれる存在です。
つまり、主人公は靴を履くことで宇宙へ旅をしているのでしょう。
どうやら27cmの宇宙船とは、今主人公が履いているスニーカーのことを指しているようです。
スニーカーを履くことが、「宇宙船に乗る」とたとえているのかもしれません。
ゴールはまだ遠い
でも まだ たどり着いちゃいない
アインシュタインも知らない 僕だけの宇宙を翔けているんだ
出典: 9inch Space Ship/作詞:秦基博 作曲:秦基博
いくつものスニーカーを履きつぶしながらも歩き続けた主人公。
随分歩いたようですが、ゴールまではまだまだ遠いのでしょう。
主人公の目的地は、物理学者のアインシュタインも知らない場所です。
物理学は宇宙とも密接な関係にあり、彼もまた宇宙の研究をしていました。
しかし宇宙はどこまで広がっているのかは誰にも分かりません。
アインシュタインだって、宇宙の全てを解明したわけではないでしょう。
主人公は誰も知らない宇宙の果てまで行きたいのですね。
ただし、この宇宙は実際の宇宙ではありません。
ここで登場する宇宙は、自分の可能性という宇宙だと考えられます。
想像し続けて
想像を超えるような未来ってのは
想像を止めないやつだけのもんだろ
出典: 9inch Space Ship/作詞:秦基博 作曲:秦基博
宇宙の果てがどんなところなのかは、地球上では誰も知りません。
しかし、せめて想像することはできる筈です。
本当に凄いところまでいける人は、ゴールの先まで見据えた人だけなのでしょう。
想像しない人は、それだけ自分で可能性を狭めてしまっているのかもしれません。
主人公は果てから先の光景をずっと想像しているのでしょう。